映画『学校をつくる、難民の挑戦』レビュー
第19回難民映画祭では、困難を生き抜く難民の力強さに光をあてた6作品(日本初公開4作品を含む)をオンラインと劇場で公開。
第19回難民映画祭・広報サポーター星有希が、上映される『学校をつくる、難民の挑戦』について紹介します!
あらすじ
オーストラリア政府がボートで到着したすべての庇護希望者を強制収容する事態となり、インドネシアのチサルア村で数年を過ごすことになったハザラ系アフガニスタン難民、ムザファルとカディムという2人の若者がいた。宙ぶらりんな状況の中でも、よりよい生活を求めて立ち上がった彼らは、コミュニティを作り、難民のための教育革命となる学校を立ち上げた。友情、つながり、コミュニティの力がもたらした大きな希望についての実話である。
前向きな青年たちの姿
映画では、インドネシアのチサルア村で、ハザラの人々が難民認定の結果を待ちながら暮らしている様子が描かれています。
そこで私がまず驚いたのは、4人で共同生活を送る、まだ10代そこそこの若者たちの姿です。彼らは、自分たちで部屋を丁寧に掃除して、食事を手作りし、さらには楽器まで手作りして音楽を楽しんでいます。就労も許されず、教育も受けられず、先が見えない状況の中でも、自主的に、健康的で文化的な生活を保っているのです。みんな、とてつもなくしっかり者です。
主人公の1人であるハディムは、スマートフォンを駆使して映像作品をつくり、世界に向けて発信するという活動までしています。行動力がすごいです。
厳しい現実を変えていく、コミュニティの力
次第に人々は、組織立った活動を始めます。子どもたちに教育を受けさせるために、お金を出し合って学校を作ってしまうのです。市場で道具を買い揃え、部屋を大掃除して教室を作り上げていく様子は、見ていてワクワクします。
その後も、女性たちが集まってスポーツをしたり、コミュニティの外の人々とも交流したり、次々と新しいことに挑戦していきます。
実は、もともとインドネシアのUNHCRは、難民の組織的な行動を禁止していたそうです。しかしハザラの人々の活動を知り、学校の存在を認めるに至ります。難民の活動が、UNHCRの方針をも変えてしまったのです。
「難民」から学ぶこと
「難民というのは常に新しい生き方を模索している」。
ハディムのこの言葉に私は「なるほど!」と共感しました。
難民は、知らない土地で、ゼロから生活を築かなければならない状況に置かれます。ほしいモノは十分には手に入らないでしょうし、住む場所も満足のいくところではないはずです。
それでも工夫を凝らして、衣食住を整え、勉強したり生計を立てたりしていく。不安定な状況の中で、少しでも将来が良くなるように行動していく。気持ちの面でも、さまざまな葛藤を乗り越えているのだと思います。
彼らの暮らし方や考え方を知れば、そこから学べるものがたくさんあるような気がしてなりません。ぜひ映画で、ハザラの人々の姿を見てみてください!
参加方法
⚫︎オンラインで参加
※外部サイト(Peatix)へ移動します。
広報サポーター 星有希
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