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数学科でもエンジニアに就職できる

自分は大学の数学科に所属している。そしてつい先日、情報セキュリティ系の会社から内定をもらった。

今回は、数学科出身の人間でもエンジニア職に就職できるということ、そしてその例として自分がどのような経緯で情報系の会社から内定を獲得したかについて話す。

情報系の知識と積極性をアピールする

エンジニア職の内定をもらうというか、要は人事・面接官の人たちが「この人にはぜひうちで一緒に働いていほしい!」と思うかどうか。

たとえそれが非情報系、数学科出身の人でも。

そのためにはそのIT分野の、その会社に就職したいと思う意志・積極性と情報系の専門知識をアピールすればよい。

その方法として例えば次の二つがある:

  • 情報系資格の取得

  • 面接での知識アピール

資格があればそれは履歴書に書けて人事の目に入るから知識・積極性のアピールになる。

「専門的な知識」のアピールは一次面接以降の、技術者が面接官を務めるような場でするとより効果的。

実体験を示すと、自分(セキュリティ系志望)がやったこととして

  • CTFへの参加

  • Hack The Boxへの取り組み

  • セキュリティカンファレンスへの参加

  • 情報系の資格取得

  • 仮想環境を用意してハンズオンでの攻撃

でもここで注意すべきこととして、闇雲に何でもかんでも取り組むのではなく、なぜそれをしたのか?という目的・理由を持って取り組まなければいけない。

面接でも必ず質問される。

「なんで特にPythonの資格なの?他の言語もあるよね?」

「カンファレンスに参加して何を得た?」

など。それに対して、

「非情報系の自分でも知識あることを示すためです」

という つまらん回答 ではなく、

「セキュリティの分野ではエクスプロイトコードがPythonで書かれることが多く、自分で書いたり解析できるようになるため特にPythonにしました」

とか、

「会場にある脆弱なWEP規格のwi-fiをクラックして…」

とか、ここまでしっかり(専門性も加えて)言えればもう「数学科だから情報系はちょっと…」みたいな懸念はなくなる。

好きで自ら積極的に勉強しているんだなということが伝わる。

個人的に次のアピールには自信があった:

「最近は、ロシアとウクライナ情勢にアノニマスが絡んできてますが、そこでアノニマスのIRCを訪れて情報収集したり…」

「そこから何を学んだの?」

「匿名化の技術です。VPNやproxychainsやTor,Whonixについて知りました。将来的にはKaliのゲートウェイをWhonixにしてKali上の操作を匿名化してみたいです」

この回答の意図は

  • 最新の情報に敏感、アンテナを張っている

  • IRCなるツールで情報収集する知識・積極性

  • VPNやproxychainsなど情報系の専門知識

  • 学んだことをどう活かすかまで考える。ただのインプットにしない

  • IRCでの会話は英語だからその読み・書き能力があることを示唆できる

(IRC:チャットツールの一つ)

情報系学問の独学はやっておいた方がいい

理由は、まず単純に知識0でエンジニア職に就くと大変だから。

成長が遅いとどうしても知識ある情報系の人間が優先されて、結果的に自分の希望する部門に配属されづらくなる。

また、上で話したように、情報系の専門知識や積極性のアピールができる。

情報系学部出身の人が情報系の勉強をしているのは当たり前だが、非情報系の人が情報系の勉強をしているとアピールになる。

とにかく、IT系の職(と言っても分野は千差万別だが)、その分野に関する勉強をしておいた方がいい。

数学科と情報系学科どっちがいいの?

この二つで迷ってるなら大学では数学科を選択した方がいいと思う。

理由としては、大学数学の方が独学が難しいから(大学でガッツリ専門的な情報系学問を勉強してない俺が言うのもアレだが…)。

また、数学を専門的に勉強する場所として大学はとても良い環境だから。

最悪情報系の知識が無くても会社に入ってから必要なスキルは研修で身に付く。数学の研修は無いけどね。

研究職でなければ、IT系に就職後より必要になるのは理論よりも実践的なスキルが。そしてスキル(プログラミング、サービス、ツールの使用方法)はハンズオンの独学で十分身に付く。そういう観点から情報系の独学は比較的簡単だということ。

ポートフォリオはいらなかった

情報系の就活生ならポートフォリオとか成果物が必要だと思ってたけど、今考えてみるとまったく必要なかった。

ポートフォリオは単にアピール方法の一つに過ぎない。だから成果物が無くても上で挙げた例のように、その他の方法でアピールすればいいだけ。

ちなみに自分は就活においてTOEICの点数を言ったり書いたりしなかったけどそれも大丈夫だった。

大学院か就職か?

自分は数学科から大学院へ行かず学部卒での就職を選んだ。

まず数学の大学院に行くという選択肢は次の理由から消えた:

  • 将来的に数学専門でない仕事(IT系、セキュリティ)をするという考えが固まっていたから

  • 数学者になる道は険しいから(またそれにより数学の博士課程までいく選択肢も消えた)

  • 数学者になるわけでもないのに修士まで数学を勉強するくらいなら、学部卒で就職して実践的な経験を積んだりITのスキルを磨いた方が仕事をしていくにあたり良いと考えたから

  • 修士卒と学部卒でそこまで給料に差がでるとは思わなかったから(そもそも給料へのこだわりが無い。生活できるだけのお金が得られれば十分)

また情報系の大学院へ進むという選択肢もなくなった:

  • 大学院は学部で学んだことのさらに応用であり、情報系学部を卒業してない自分が行く場所ではないと思ったから

  • 専門的な理論を大学院で研究するよりも、今の状態で就職して実践的なスキルを身につけ、成長していく方が将来的に良いと考えたから

以上の理由から、自分は数学科の学部卒でIT系の就職という結論に至った。

でも、就職後に、何年かして専門的なスキルが身についてきたらそのタイミングで大学院へ行くという会社と大学院を両立する方法も一つあると思ってる。

数学科はどの職種に対しても強いと思う

数学科は就職やばいと言われてるかもしれなが、個人的に数学科出身の人間はどの職種でも向いてると思う。

理由は、数学科で養った論理的思考力と問題解決力。

具体的に、自分がセキュリティの分野でペネトレーション的なことやってる時も、問題解決の場面が多々出てくる。だからそういう点に数学力を活かすということを伝えた。

別にセキュリティでなくても、もっと汎用的に、「新卒で入って困難が多々あるがそこで問題解決力を活かす」とか、「数学の問題を解いていて諦めない力がついたからそれを活かす」とか、けっこう数学力って活かせる。

私情

大学入学直後、自分のパソコンを持ち始めてからセキュリティにのめり込んだ。

自分の大学には情報系の学部が無いから、完全に情報系の勉強は独学するしかなかった(というか実際は趣味の感覚だが)。

自分も以前は

「数学科出身の俺がセキュリティエンジニアという職に就けるのだろうか?」

「数学科でなく情報系の学部に進学するべきだったのか?」

とだいぶ苦悩した。

でも今考えてみるとそんな心配はだたの杞憂だった。少しばかりの情報系の知識と、その職に就きたいという強い意志・積極性があればいける。

数学を直に活かせる職種として金融系やAI、暗号とかあるが、自分は別に数学を直接活かそうとは思わなかった。

そもそも就職のことを考えて数学科に入ったわけじゃない。だから高校の時「数学科って就職どうなの?」って聞いてくるクラスメートがいたけど少しムカついた。

俺は単純に大学の複雑な数学を勉強したいから、ガウス、オイラー、ガロア、アーベル、ヤコビ、コーシーの軌跡をたどりたいと思ったから、複素解析なる虚数の世界に溺れてみたかったから数学科に入った。マジで就職のことなんて1mmも考えてねー。

最後に改めて、

数学科の人間でもエンジニアになれる

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