![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/125722514/rectangle_large_type_2_c842a9c7e03e7a57d9988caad7fdc7c1.png?width=1200)
#125 【2023年末時点 ポータブルオーディオまとめ記事】 最安構成で構築する!おすすめイヤホン&ヘッドホンのご紹介と、イヤホンスパイラルに陥らない、コスパ最強なオーディオ沼の泳ぎかた。(ETYMOTIC関連アクセサリーガイド付き)
これまで、イヤホンを中心に、ポータブルオーディオに関する記事をいくつか書かせていただきました。特に、最初に書いた記事「イヤホンスパイラルが終わった話」は、Google検索でそこそこ上位に表示されるようになりました。
ただし、検索キーワードが「イヤホンスパイラル」である事という前提なので、既にオーディオ沼に片足をつっこんでいる人向けの記事なんですね。そのため、新たにイヤホン・ヘッドホンの購入を検討している方を想定して3つの記事を追加で投稿いたしました。
本稿では、これまでの記事でご紹介しきれなかったおすすめの製品をとりあげ、過去記事の補完を行うとともに、私自身がイヤホンスパイラルに陥った経験から得た「沼らないイヤホンの選び方とおすすめの機種」をご紹介します。
なお、本文で紹介する製品・サービスについては、全て私自身が購入したものであり、特にイヤホン、ヘッドホン、アンプ等のハードウェアは本記事執筆時点でも使用し続けているものに限定しております。これは、個人的な責任感でそのスタンスを取りたいからです。
「自分は○○の理由で手放したけど、△△という用途ならオススメだよ」という情報も有益かとは思いますが、この記事を読んでくれた人がお金を払っても本当に損をさせない自信があるかを再確認するため、改めて実機を聴きながら執筆する、それができない機種は取りあげないということです。
※キュレーションサイトみたいな「この記事書いたやつ、絶対買ってないだろ!何なら使ってすらいないし、お前触った事すらないだろ!」という何の意味もない記事が検索上位にヒットする事に日々ムカついているということでもあります。あいつらはいったい何をSakidoriしているんだ?
オーディオマニアの感覚では1万円程度のイヤホンはエントリークラスという認識ですが、一般的な感覚ではかなりの贅沢品になると思います。AirPods Proのようなハイテクイヤホン(ヒアリングデバイスとしてイヤホンの枠を超えた価値を持つ製品)ならともかく、昔ながらのイヤホンに出せる金額って、沼の住民が思っているよりもずっと少ないです。
そのため、これから先の記述はマニア目線ではまったく物足りないものになることでしょう。長文になりますので、この時点で自分向けの記事ではないとお感じになった方は、ブラウザバックしていただければと思います。
①過去記事で未紹介の、おすすめのイヤホン・ヘッドホン
過去記事でご紹介した、アンダー5千円のイヤホンと、ワイヤレスイヤホン・ヘッドホンは本記事執筆時点でも間違いなくおすすめの製品です。ご興味のある方は、ぜひ上記リンクから過去記事の方もご参照ください。ここでは、過去記事で取り上げていなかった製品の中から、本稿の趣旨に沿った製品を追加でご紹介いたします。
・final E1000
以前から度々取り上げているfinalのEシリーズですが、最廉価モデルであるE1000も非常におすすめできる製品です。ボーカルやバイオリン、ピアノの音など、音楽の聴きどころが映えるチューニングです。長時間の使用でも疲れにくい、柔らかい音色が特徴です。スペックの低さを逆手にとって、耳に優しいと感じる絶妙な音作りをしていると思います。当然、総合的な音質では上位機種に劣りますが、音の情報量より聴き心地を重視する場合なら、E1000の方が優れているのではないか、と感じることもあるほどです。
私は、E1000からE5000までのEシリーズ各機種を所有していますが、就寝前のリラックスモードの時には、むしろE1000をよく使います。小音量でも歌声がはっきり聞こえるうえ、目が覚めるような派手な音を出さないからです。他のEシリーズと合わせて目的別に使い分けできる製品という意味では、単なる廉価版ではなくバリエーション違いとも言えますね。
ちなみに、E1000は「子供のお小遣いでも買える価格で、本格的な音のイヤホンを作る」というコンセプトの製品です。将来オーディオに興味を持ってもらうための、いい音を判断するための基礎的な感覚が身につくイヤホンとも言えるのかもしれません。
・final ZE3000
完全ワイヤレスイヤホンでありながら、無線のハンデなどなかったかのようなすごい音を奏でるイヤホンです。有線イヤホンのE3000系統のサウンド(厚みと広がりのあるどっしりとした低域に支えられた空気感の伝わる表現)と、Aシリーズのデザインでワイヤレスを作ってみた。そんな位置付けの製品だと思いますが、その音はE3000を余裕で超えていると思います。(近い価格帯で、ヘッドホンのUX3000も良く使いますが、どちらの音が好きかというとやはりZE3000です。便利なのはUX3000の方なんですけどね…)
ノイズキャンセルやマルチポイントはありませんが、音だけは抜群にいいです。実はこれまで所有したワイヤレスイヤホンで最も好きだと思っているくらいなのですが、果たしてこれを人様におすすめしていいものか、迷いがあったため記事にはしていませんでした。
タッチセンサーがですね、超敏感なんですよ。ほんのちょっとイヤホンに触れただけで、タップ判定されて一時停止したり、慣れるまではかなりストレスが溜まるんですよね。それさえなければ、音質重視のワイヤレスとして絶対的なおすすめなんですが…悩ましいところです。でもまあ、慣れの問題でもありますし、やっぱりすごくいい音なのは間違いないので、今回ご紹介しておこうと思いました。
タッチセンサーをうまく扱えるまで修行が必要(修行を重ねてもたまに誤タッチするので、それを受け入れる精神的な修行も必要)という点のみ事前に分かっていただければ、音には満足できるお買い物になると思います。
加えて、デザインの似ている有線のAシリーズにはあったベント(空気圧を調整する穴)がなく、密閉度が高くて音漏れに強いイヤホンでもあります。finalサウンドを持ち歩きたいけれど、どの機種も音漏れしがちで電車内では使いにくい、という場合にも最適なチョイスです。
適切なサイズのイヤーピースで耳をしっかりと密閉できていれば、アクティブノイズキャンセリングがなくてもかなりの静寂が得られます。遮音性重視なら、イヤーピースをコンプライ等の低反発素材のものに変えると更にいいですね。
finalの公式noteでも紹介されていますので、ご興味のある方はこちらもお読みになると、より特徴が掴めると思います。
・AKG K240 STUDIO-Y3
モニターヘッドホンのため、聴いて楽しいかどうかということよりも、音源のチェックがしやすいかどうかという事がこの製品の本分なのでしょうが、一般リスナーの音楽鑑賞用としても十二分に使えるヘッドホンです。
この機種は、プロケーブルという思想強めのお店が怪しくもハイテンションな文章で激推ししている製品で、オーオタの間では変な意味でも有名なヘッドホンです。その推し方があまりにも過剰であるため、ついつい「いくらなんでも大袈裟すぎるだろ!」とツッコミたくなるのですが、実際に購入して使ってみると、なかなかどうして、非常にコストパフォーマンスの高いヘッドホンであることは間違いありませんでした。
筐体の外側にスリットのある、半開放型のヘッドホンです。構造上、激しく音漏れするため屋内用になります。音の傾向は、中域から高域にかけての明瞭かつ煌びやかな音が魅力で、低域の迫力はそれほどありません。高域の伸びも少し頭打ち感があり、突き抜けるような爽快感があるわけではありません。しかしながら、それらを不満と感じるほどではなく、むしろ過度な強調がない分、明るめのサウンドなのに長時間聴いていても疲れない、絶妙な心地よさがあります。
ケーブルが着脱できるので、断線してもケーブルを交換して使い続けることができます。イヤーパッドの交換も可能です。また、現在国内で流通しているもの(品番の後ろに-Y3とついているもの)は代理店の3年保証がついています。
付属品のケーブルは3mです。長すぎる場合は交換ケーブルも同時に購入することをおすすめします。K240 Studioのリケーブルは、ベルデンの88761というケーブルが定番(というか、プロケーブルのおすすめで有名)で、確かに音は良いのですが、針金のように硬くて取り回しが悪すぎるため、私は別のものを使っています。
ipovoqという、私はよく知らない謎ブランドのケーブルではありますが、廉価でかつ軽く、柔らかいので非常に扱いやすいです。
注意点として、このヘッドホンは音量を取りづらいため、スマホ直挿しでは最大音量付近で聴くことになります。音質的にも別途アンプがあった方がいい機種です。満足に再生するには追加投資が必要な点には注意が必要です。(もっとも、ポータブルを前提としていないヘッドホンにはありがちなことで、K240 Studioが特に扱いづらいという話ではありません)
私自身はどちらかというと、ヘッドホンよりはイヤホンの方が好きだということもあるのですが、この価格でここまでの音が出せるのなら、有線のヘッドホンはもうこれだけでいいなと思っています。
以前、ソニーのMDR-1AM2と、ゼンハイザーのHD599も所有していたのですが、K240 Studioばかり使うので、価格帯では格上のはずのその2機種を手放したほどです。K240 Studioの方が個人的に好みの音であったことと、装着感が特に良いと感じたこと、ビッグニュースで鬼門だと思ったことがその理由です。
(装着感について、K240のイヤーパッドはそれほど良いとは思わないのですが、AKG特有の左右の長さを調節しなくてもおのずと適度な側圧で頭のサイズに収まるギミック、あれがとても楽です。ちなみに、パッド部分はbeyerdynamic用のベロアに変えると素晴らしい装着感になります)
実際、ときどきヨドバシカメラ等の家電店で、他のヘッドホンを視聴してみたりもするのですが、最終的にはいつも有線ヘッドホンならK240 Studioがあるからいいや、ということで買わずじまいに終わります。結局、プロケーブルの言う通り、私にとっては事実上、ヘッドホンの最終回答になっています。
②音源はストリーミングかローカルか
オーディオの音が最も変わるのは、スピーカー(イヤホン・ヘッドホン)部分ですが、その次には音源とプレイヤーの選択が重要になります。音源はまず、サブスクリプション型の音楽配信サービスか、ローカル音源かの2択です。
・サブスクの場合、おすすめはApple Musicです
その理由は、私自身Apple MusicとSpotify Premium、Amazon music Unlimitedをそれぞれ契約して試した結果、Apple Musicが最も高音質だと感じたからです。アプリも使いやすく、不満を感じる要素が見当たりません。
※聴感による評価ですので、技術的な裏付けを説明できる訳ではなく、あくまで私の感想である点はご容赦ください。また、YouTube Musicは使ったことがないため触れません。
・最も不満を感じたのはAmazon Music Unlimitedです
Apple Musicではロスレスで配信されている音源が、Amazonではなぜかハイレゾになっている事があり、しかもぼやけた音がします。これがアップサンプリングによる擬似ハイレゾであれば、余計なお世話という感じがします。それと、ロッシー(非可逆圧縮)の音源は、呆れるほどに音が悪いです。Amazonは買い切りの音源もありますが、これもかなり残念な音質です。アプリもAlexaが統合されていて邪魔だったり、妙に使いにくいですね。
ただし、プライム会員で年払いを選ぶ場合は安くなるので、ローカル音源をメインにAmazonをサブで使うというのであれば、アリかと思います。
・Spotify Premiumについて
ロスレスやハイレゾに対応していない点を許容できれば、特に不満のないサービスでした。実際、私はSpotify Premiumの最高音質(320kbps)と、同じ曲のロスレスとハイレゾがあったとしても、聴き分けられる自信はありませんので、実質の問題というよりは精神衛生上の問題なのかもしれません。
ただ、サービススペックを他と比べると、AppleやAmazonはDolby Atmosや360 Reality Audioといった空間オーディオに対応していますが、Spotifyは未だロスレスのサービスすら提供できていません。その割に月額料金はたいして差がありませんので、やはりApple Musicの方がおすすめしやすいです。また、SpotifyとAmazon Musicのアプリにはポッドキャストが統合されていますが、ポッドキャストを聴く場合の使い勝手は、Spotifyの方が良いと感じました。
料金面では、Spotify Premiumも年払いがあり少しお得になります。特に、Spotify PremiumのFamilyプランはかなりお得だと思います。音楽サブスクを家族で共有したい場合に限っては、Spotifyを第一選択としても良いでしょう。
また、どのサービスにも無料お試し期間やキャンペーン価格で安く使えるタイミングがあるので、その時々でお得になるものを渡り歩いて、最終的にどこに課金するかを決めるというのも良いかと思います。
私自身はどうしているかというと、以前はApple Musicを使っていましたが、最近はTSUTAYAディスカスでCDを借りたり、moraでハイレゾ音源を購入したりして、ローカル音源を充実させるようにしています。サブスクは解約して、また新しい音楽に出会いたくなった頃に再契約しようと思っていたのですが、Amazon music Unlimitedの年払い契約を解除する事を忘れていたため、現状はAmazonのみ契約中ですがあまり使っていません。(というわけで、各サービスとも、お試し期間を過ぎた後や、他サービスに乗り換えた後の解約忘れにはくれぐれもご注意ください!)
私がローカル音源に拘る理由ですが、同じアルバムを繰り返し聴く傾向がある(聴き放題のメリットがあまりない)こと、ストリーミングに比べて若干音が良いと感じたこと、Android用の音楽プレイヤーアプリ、USB Audio Player PRO(以下、UAPP)の使い勝手が非常に良いからということ、併せてShanling M0 Proという非Androidの音楽プレーヤーを使用したい、ということからです。
こちらの、Shanling M0 Proは良い製品ではあるのですが、令和のデバイスとは思えない尋常ならざる操作性の悪さがあり、自分用で使う分にはいいけれど、決して人にはおすすめできないアイテムですので本稿では取り上げません…と、いうアイテムでしたが、その後のアップデートで、わりかしまともになりました。
何にせよ、クセのあるガジェットをいじくりたおすことに悦びを感じるタイプの人向きの製品です。PCオーディオ派の人が、持ち出し用に使う向きには最適かと思います。また、Shanlingがやっとクリップケースを発売してくれたので、昔懐かしいiPod Shuffleやnano第6世代のようなイメージで持ち出せるようにもなりました。
③音楽プレーヤーの選定
(先にShanling M0 Proの話をしてしまいましたが…)ウォークマンのようなデジタルオーディオプレイヤー(以下、DAP)を購入するのも良いのですが、スマホでも音楽は聴けるのに、わざわざ専用の機械を買うというのは、かなりニッチな選択です。
そして当然ながら、そうした製品はスマホと比べて明確な差のある音質でなければ存在意義がないため、DAPはどんどん高音質・高価格化しています。ポータブル環境でのQOLを最大限に上げていくというなら選択肢としてアリですが、個人的にはあまりお金をかけたくない要素です。
スマホと同じく、使うほどにバッテリーは劣化し続けますし、Android OSのバージョンアップの頻度とDAPの買い替えサイクルは噛み合わないので、長く愛用するほどに、妙に古臭いOSのまま使い続けることになっていく(まあ、ローカル音源で音楽再生するだけなら、OSが古くても支障はないですけどね…)という、そんな未来の可能性を想像するとどうしても、もうそれスマホでよくない?と思ってしまいます。
iPhoneまたはiPadユーザーなら、下手にDAPを買わなくとも、十分に良い音が楽しめます。iPhoneとApple純正のLightning→イヤホンジャック変換ケーブルでも、個人的には割と良い音が出ていると思います。
Apple製品はオーディオ的な部分よりも、SDカードが使えないこと、ローカル音源を再生したい場合に使い勝手の良いアプリがないこと、Bluetooth経由でのロスレス・ハイレゾ再生ができないことが欠点です。(ただし、Apple製品のAAC接続は音質と接続安定性のバランスが良く、使い勝手に不満が出ることはあまりないと思います)
Androidの場合は、中古のXperiaを買うのがおすすめです。私は最近、Xperia10Ⅱの中古品を2万円程度で購入し、プリインストールアプリを片っ端からアンインストールまたは無効化したうえで、UAPPをインストールしてDAP代わりに使っています。
以前、ウォークマンのA300を使用していましたが、Xperiaは画面が大きくて操作しやすい(個人的にはこの点が特にXperiaを選びたい理由です。もっとも、画面の大きい高価なウォークマンもありますが…)ですし、SIMも入るためストリーミング用でもローカル音源用でも、どちらにでも対応できます。特にストリーミングで聴く場合、SIMを使って単独で通信できるかは、利便性に大きく関わります。
Xperiaに拘らなければ、Androidにはもっと廉価な機種はありますが、USB-C端子にDACを接続した際に、SRCを回避できない機種が多いうえ、その可否がカタログスペックでは判別できないという落とし穴が存在します。
(SRC回避について、AndroidをDAP代わりに活用したい方はぜひググってみてください。わかりやすく伝えられる自信がないので、私からは説明しません(笑)が、Android OS14以降はその問題が解消されるという記事も見かけましたので、Androidでも今後は気にしなくてもよくなるのだろうと思います)
また、これはXperia10Ⅱを入手した後に気づいたことですが、音量調節のステップ数がDAP並みに細かく、この点は明確にiPhoneより優れています。(ちなみに、10Ⅱの前に使っていたXperia AceⅢのボリュームは一般的なスマホと同じく、大雑把なステップ数でした。XperiaをDAP代わりに使うなら、10以上の製品が良いのかもしれません。もっとも、外部アンプ側で音量調節できる環境なら、そこまで神経質になる必要はありません)
いずれにせよ、あまり高価なDAPを無理して買う必要はないという事です。機種変更して余った古いiPhoneとか、中古のXperiaとかで何の問題もなく使えます。そのうえで、やはりDAPを購入すべきと思った場合には、その際には奮発すれば良いかと思います。
④ヘッドホンアンプの導入
ここは結構な沼地です。気をつけてください。数千円のものから、数十万円のものまであり、オーオタがズブズブに沈んでいく危険地帯です。しかし、スマホをDAPとして使う際にはキモとなるアイテムです。
デジタルの音源データを、アナログの音声信号に変換するD/Aコンバーターと、音を増幅するアンプの機能が一体化したものが主流です。イヤホンジャックの無いスマホが増えてきたこともあり、USB-CやLightning端子に繋ぐだけで使えるドングルDACというタイプが特に人気です。
・Shanling UA1s
イヤホンジャックがないスマホを使っていて、とりあえず有線イヤホンを繋ぎたい場合に。また、ドングルDACとはどんなものかを知るために、とりあえず最安クラスの機種を使ってみたいという場合にもおすすめです。小さいドングルDACが欲しいという場合にもいいですね。(でかいドングルがぶらぶらしてるのって、結構邪魔なんですよ)
性能は、USB-C→3.5mmイヤホンジャック変換アダプターとして売られているようなものの、ほんのちょっと音がいいバージョンくらいに捉えておくといいと思います。
iPhoneを使っている場合は、純正のLightning→イヤホンジャック変換ケーブルで十分です。iPhoneはオーディオ的に素性が良く、この程度のドングルでは音質変化はたいして感じられないと思います。(その上、Lightning接続するためのケーブルは付属しないので追加で買うことになります)
どちらにせよ、それほど大きく音質向上するわけではありませんが、ドングルDACの入門機種としては手を出しやすい価格の製品です。
・Shanling UA3
ドングルDACを選ぶ際は、USBケーブルが着脱できること(断線したら終わり、にならないこと)、ドングル側に独立したボリュームがあること、3.5mmシングルエンドと4.4mmバランス接続の両方に対応していること。以上の条件を満たしていれば、末長く使える頼もしい相棒になると思います。私が使っている中で、その条件を満たすものはShanlingのUA3です。
前述のUA1sと異なり、このクラスになると明確に音質が向上します。ただし、スマホのバッテリーをめちゃくちゃ吸います。(私の知る限りドングルDAC全般にある挙動だと思いますが、何も再生していなくても接続しているだけで電池を吸います。ドングルをつけっぱなしにして寝落ちすると、朝スマホの電池がゼロになっていたりして、めっちゃ腹が立ったりしますのでご注意ください)
また、先ほどのUA1sと同様ですが、UA3をLightning端子のiPhoneで使用する際は別売りのケーブルが必要です。合わせると結構な出費になります。
※所有していないのであくまで参考までに。FIIOのKA13は、Lightning端子用のケーブルも付属するようです。詳細は公式サイトをご確認ください。
とまあ、一口にドングルDACと言っても種類が多く(新製品の発売も多いジャンルです)選ぶのも一苦労かもしれませんが、まずはドングルDACを使ってみるのが手頃でいいと思います。
実際に活用してみて、スマホの電池が持たなくて困るようなら、バッテリー内蔵のポータブルヘッドホンアンプかBluetoothヘッドホンアンプ、またはDAPの購入を検討しましょう。ドングルDACで満足できるなら、それが一番コストが安く手間も少ないと思います。
・FIIO K7
イヤホンやヘッドホンを持ち歩くのではなく、デスクワークのお供として定位置で使うなら、据え置きのヘッドホンアンプがおすすめです。スマホやPCのUSB端子から供給される限られた電力で動かすドングルDACと比べて、コンセントから電源を取るわけですから、パワーが段違いです。バッテリー内蔵のポータブルヘッドホンアンプと比べても、持ち歩く事がないならば当然こちらの方が割安です。
イヤホンやヘッドホンを繋ぐだけではなく、複数の機器から入力したり、アナログアンプやアクティブスピーカー等の機器に出力するなど、活用の範囲が広いので長く使えるアイテムになると思います。(パッシブスピーカーに接続できない点はご注意ください)
最近はドングルDACも音質重視の高価格な製品が増えており度々話題になりますが、据え置きで済む環境ならば素直にこのK7あたりを購入した方が安くて良い音が手に入るでしょう。
ポータブル製品を中心としたデジタルオーディオの世界は未だ「ユーザーはどのような環境を欲しているのか」を探っている途中です。スマホとイヤホンで聴くパターンが多数派なのは当然ですが、そこからステップアップしたいユーザーにどのようなソリューションを提供するべきか、様々なパターンを想定したチャレンジングなラインナップを揃えているのがFIIOです。
その中でK7の位置付けは、スマホやPCから音楽を再生したいデジタルオーディオユーザーが使うハブ的な役割を担えるアイテム、PCの横に置いて使ってね、という製品だと思います。単体オーディオ的な発想だと、もっとリモコンがついたりとか、ディスプレイがあったりとか、SDカードやUSBメモリが刺せたりとかしそうなものですが、K7はそうした機能をばっさりと切り捨てています。スペックの割に安いというのも、機能の取捨選択が上手だからでしょう。
FIIOの据置ラインナップには他にも、高級タイプのK9やDAPを一体化したR7等があります。私自身は所有していませんのでそれらの感想は書けませんが、予算に余裕があるならこちらも検討する価値がある製品だと思います。
余談ですが、据置機には音質改善グッズという、これまた深い沼が存在します。そこにも落ちたことがあるので、ご興味のある方は下記の記事も参考にしてみてください。アドパワーソニックはただの小さいシールです。
■中古のすすめ
意外に思われるかもしれませんが、イヤホン・ヘッドホンは中古売買が盛んです。かくいう私も、eイヤホンで買ったり売ったりと(こんなにアフェリエイトリンクを張りまくっていて、こう言うのも何ですが…)中古品のお世話になっています。
経験した範囲内の話ではありますが、eイヤホンの中古品の状態(AとBとか)は、納得感があります。サイトで「中古 A:美品」になっている品ならば、新品同様に綺麗です。
そこに付属品(ケーブルとか、イヤーピースとか保護ケースとか)の欠品があって、ちょっと値引きされていたりすると、個人的には尚更お得だと感じます。本体のみ美品&付属品全なしとか、ケーブルやイヤーピースを余らせている身としては、むしろ最高の状態です。
ここまでご紹介した製品でも、ShanlingのUA3やFIIO K7などは、状態のいいものが見つかれば、中古で安く買う方がおすすめですね。ドングルDACや据え置きヘッドホンアンプはバッテリーが入っていないので、パーツの劣化をそれほど心配する必要がありません。
(ちなみに…K7の中古は少ないです。据え置きアンプはやはり定位置を決めて配線してしまえば、長く使われるのだと思います。UA3の方は、中古が手に入りやすくなっていますね。ドングルDACやBluetoothヘッドホンアンプは、発売した後にばーっと売れて、しばらくすると中古の棚にずらっと並ぶ印象がありますね。話題の製品がどんどん発売するジャンルで、いろんな種類を所持している人が「使ってみて不要なら高いうちに売る」ケースが多いのかなと思います)
また、ワイヤレスイヤホンも、中古はかなりおすすめです。これは当然、バッテリーの劣化があるわけですが、ワイヤレスは頻繁にモデルチェンジが行われる競争の激しいカテゴリです。どのみち数年で買い替えになる儚いアイテムなので、中古もありかなと思っています。
人気商品のモデルチェンジがあると、1世代前の製品が中古の棚にずらりと並びます。この記事を書いている時点なら、AirPods Proの第1世代あたりは、状態がいいならかなりお得だと思います。それとこちらは現行機ですが、先にご紹介したZE3000も中古がお買い得な価格になってきましたね。
さてさて、ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます。ここからやっと、本題に入ります。上述の②音源はストリーミングかローカルかと、③音楽プレーヤーの選定については、各々の事情に合ったものを選べていると仮定して進めさせていただきます。
※選べてないし、お前のいう事はよくわからん!という方へ。とりあえずスマホで音楽サブスクを契約しましょう。一応おすすめはApple Musicですが(使っているスマホがAndroidでもApple Musicがおすすめです)他のサービスでも大丈夫です。DACがどうとかも、イヤホンジャックさえあればとりあえず無視してOKです。なにせ、一番音に影響するのはイヤホン本体なのですから。
■最安構成で構築する!コスパのいいオーディオ沼の泳ぎ方
ここから先は、さらに私の独断と偏見が入ってきますが、私自身が実際に所有している製品の中から、コストパフォーマンスの高い(というか、個人的にぶっちゃけこれだけあればいいんじゃない?と思ってしまう)おすすめ構成をご紹介します。そして最後に、中古で是非とも狙ってほしい、これがあれば沼など平気で泳いでいける私の愛するイヤホン数機種をご紹介します。
・おすすめ構成① オーオタも内心「こういうのでいいんだよこういうので…」と思ってしまうセット
final E3000+E2000
実際、これでほとんどの音楽ジャンルをカバーできます。この2機種は家電量販店ならだいたい取り扱いがあって、ほとんどの場合試聴機もありますので、無試聴で購入するリスクを避ける事ができます。
冒頭でご紹介したE1000を含めても3機種を使いまわすのもいいと思いますし、音楽鑑賞とは別にゲームやASMR用のイヤホンも必要な場合はE500を追加しても良いかもしれません。
※E500については、個別記事を書きました。ご興味のある方は下記リンク先の記事を参照してください。
それほど上流の影響を受けないうえバランス接続もできないので、スマホ直挿しでもいいですし、ドングルDACと合わせる場合でもShanling UA1sのような安価なモデルで良いと思います。中華イヤホンを買い漁ってコスパガーとか騒ぐのも楽しいですが、結局あれもこれもと試したくなって、あっという間にイヤホンスパイラルに陥ってしまいます。(世間一般ではそれを無駄遣いと言います)
中華イヤホンを追いかけるのは、本当に疲れます。次から次へと新製品が出てはブロガーやYouTuberに(最近はXのオーディオ系アカウントにも)サンプルを配ってPRレビューをさせる。オーオタがこぞって褒めているように見えるから、なんだか自分も欲しくなってくる。それがずーっと続きます。
それがうまく回る背景には、中華イヤホンの質の高さがあることは肯定します(なのでレビュアーが褒めていても嘘ではないと思います)が、商売のやり方というのが、どうしてもスパイラルにハメようとしているように見えるのです。(中華系セラーの中の人へ。あんまり🥝配りまわっているとお金を出す気が失せるから考え直した方がいいですよ…)実際、有線イヤホンってマニアが何本も買っているだけで、裾野はそんなに広くないと思います。
という訳で、くそ狭いオーオタ村のトレンドは無視して、定評あるロングセラーでどこにでも売っているうえ、値段もお手頃なEシリーズを買い揃えてしまえば、それでいいんですよ、というご提案です。
・おすすめ構成② プロケーブルさん馬鹿にしてごめんね!なんだかんだで最終回答だったよセット
AKG K240 Studio+FIIO K7
前述のとおりK240 Studioは良いヘッドホンなのですが、音量をとりづらい機種です。スマホ直挿しでは音量の上限ぎりぎりで使うことになります。ドングルDAC(UA3で試してみました)ならもう少し余裕はあるのですが、音質的になんだか厚みのないか細い音で、K240 Studioのポテンシャルを活かせていない感じがしました。
そもそも十分な出力のあるアンプに繋ぐ事を想定した機種でしょうし、据置アンプとセットで使うものだと思います。先におすすめしたK7を買うならぜひ、K240 Studioと組み合わせてみてください。
※私が所有している据置機がK7なので、これはいいぞと自信を持っておすすめできるのがK7だというだけです。K240を鳴らすという目的のみなら、もっと廉価な製品でも大丈夫だと思います。
・おすすめ構成③ 音楽を聴きながらリモートワークしたい人向け、ワイヤレス中心のコスパセット
Apple EarPods
+Technics EAH-AZ40M2
または、final UX3000
EAH-AZ40M2はマルチポイントで3台同時接続が可能(本記事執筆時点でで、3台同時ができるのはTecnicsだけです)でありかつ本体の動作も安定しており、アプリの使い勝手も良いという、なんか神みたいな製品です。完全ワイヤレスイヤホンに求められる機能を完備していますし、音も結構良いんですよね。個人的には、人におすすめするTWSの第一選択にしています。
UX3000は「仕事中もfinalサウンドに浸っていたいんだよなぁ」という私の我儘に応えてくれる製品です。こちらはヘッドホンです。先にご紹介したZE3000にはないマルチポイント接続があり、仕事用スマホと音楽再生用スマホに同時接続できるので重宝しています。
ということで、仕事中はこのどちらかを使っていることが多いのですが、オンライン会議とか大事な通話をする時には、有線の安心感を重視してEarPodsを使っています。
リモートワーカーはまじで全員EarPodsを持っておいた方がいいです。充電していなかったとか間違って本体タップしちゃって通話が切れたとか、そうしたトラブルがありませんし、何より全世界のiPhoneユーザーが通話品質に問題がない事を実験済みという逸品です。しかも普通に音楽再生しても結構いい音するので、安くても侮れないイヤホンです。
さらに蛇足ですが、リモートワークで誰にも見られていないからといって、イヤホンやヘッドホンでノリノリになっているとですね、電話がかかってきても気づけないんですよ。おさぼりを疑われてしまうので、仕事中は基本的にマルチポイント機能のついたワイヤレス製品を使って仕事用の携帯と同時接続しておくのが安心安全です。
■状態のいい中古を見かけたら保護してあげて!沼らないアンチイヤホンスパイラル機種のご紹介
オーディオ沼に落ちて、イヤホンスパイラルに財産と限度額を吸い取られる罠にハマらない方法があります。
1.新製品に飛びつかない
2.評価の固まった、定評のある製品を選ぶ
3.シングルドライバーの製品を選ぶ
4.価格と音質に相関関係はない事を理解する
1と2は、ある程度分かっていただけると思います。イヤホンやヘッドホンは、スマホのように年々パワーアップしていくようなものではありません。有線の製品だと尚更です。発売から何年経っても定番としてその名が挙げられ続けるような、そういうものを買えばいいのです。3については、異論もあろうかと思いますが、個人的にはこう捉えています。
多ドラやハイブリッドのイヤホンは、シングルドライバーでは実現できない個性的な音を実現するために存在している。つまり、普通の良い音を聞き飽きたマニアのために作られている。
いかがでしょう?そうではない製品もあるかもしれませんが、マニアックな御仁ほど、変態的なドライバー構成の機種が発表されると好奇心を刺激され、聴いてみたくてたまらなくなるのではないでしょうか。そうした製品は、やはりマニアを惹きつけるために作られているのです。
4についても、異論はあると思います。これについての私の意見はシンプルです。価格の違いは、製造原価や商売のあり方の違いであり、音の良し悪しとは関係がない。
フラッグシップという位置付けの製品であれば、メーカーが持てる技術の到達点を世に示すための存在ですから、むしろコストのかかることをやる訳です。そうした製品は良いのです。
しかしながら、そのような製品ばかりではないということは、むしろオーオタほど理解しているはずです。高級ブランドのような雰囲気を醸して、数十万円ものイヤホンを売ろうとするメーカーの存在と、その金額になる理由のわからなさを。私はそうしたものに否定的な感情を持っています。
もしも、私にお金がうなるほどあるのなら、HA-FW10000やD8000なら、買いたいと思うかもしれません。しかし、EMPIRE EARSが欲しくなる事は無いでしょう。もちろん、EMPIRE EARSのユーザーを貶める意図はありません。おでんは私の大好物です。特に大根。
・アンチイヤホンスパイラル機種① final E4000
という訳で、まずはこの機種です。私がポタオデ関連の記事を書く時に、頻繁におすすめとして挙げている製品ですね。世の中には、E4000より高価でラジオみたいな音がするイヤホン(Kiwi EarsのOrchestra Liteとか、新品で買ったから堂々と言わせてもらうけどあれAMラジオだろ)も存在します。
このE4000こそ、まさに価格と音質には相関関係がない事を証明する製品ではないかと思います。eイヤホンの購入履歴を見ると、1万円を切る程度の価格で購入したようです。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/125728349/picture_pc_b96fc89dc531d46ac88650627e56f59b.png?width=1200)
この機種はfinalの公式ストアから頭売り(ケーブルが付属しない)で購入する事もできます。頭売りの価格は11,000円(税込)なので、mmcxのケーブルを余らせている沼の住民なら、公式ストアの方がお得だと思います。
※final E5000について
クラシック音楽を聴く方で、コンサートホールでオーケストラが奏でる壮大な音を耳もとで再現したいなら、E5000は超おすすめです。ただし、それ以外の用途ではいまいち盛り上がらないボヤッとした音に聴こえますので、汎用性のないジャンル特化のイヤホンであることにはご注意ください。
・アンチイヤホンスパイラル機種② JVC HA-FD01
JVCの看板商品といえば木の振動板を使ったWOODシリーズですが、その影に隠れながらもマニアから一定の評価を得ていたSOLIDEGEというシリーズがあります。HA-FD01はその中の最上位モデルです。おそらく、現在市場にある新品在庫がなくなり次第、終売になるかと思います。(FD02がそんな感じで店頭からフェードアウトしていきましたので、FD01もそうなるでしょう、という個人的な予想です)
この記事を書いている時点で、新品価格もかなり下がっていますが、中古価格も「え?これいいの!?」と驚く値段になっています。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/125733078/picture_pc_d2c649cd1002297215d03086242b0988.png?width=1200)
実はこれ、わりと最近買いました。過去にHA-FD02を使って好印象だったので、安くなったら欲しいなと思っていた機種です。音と金額は関係ないみたいな事をついさっき書いた気もしますが、その舌の根も乾かぬうちに言うのもなんですが、これ販売開始当時は確か4万円台の製品で、しかも当時のオーオタから「この音でこの価格ならむしろ安い!」とまで言われていた品なんですよ。
実際、はちゃめちゃに音はいいです。FD02が荒々しい金属系の響きがある機種(メタルとか聴くと気持ちいいよ)だったのですが、FD01は全然違いますね。超がつくほど王道のど真ん中、ローからハイまで滞りなくクリアに描くイヤホンです。高価なイヤホンって、むしろ個性的でクセのある音だったりするものですが、FD01は正統派のいい音、JVCが奇をてらわずダイナミック一発の直球勝負で作った高性能イヤホンという感じがします。(ちなみにチタンノズルを使ってます)
私が過去に所有していたJVCのイヤホンで、HA-FX1100という機種がありました。これも販売開始時は5万円を切るくらいの価格だったと思いますが、私は確かモデル末期にAmazonのセールで2万円ちょっとくらいの値で買ったと記憶しています。それが今ですよ、FX1100の中古価格(比較的状態のいいもの)は2万円前後で張り付いて動きません。もう新品では手に入らない名機なので、なかなか価値が下がらないのでしょう。
FD01が同じような道を辿るかは分かりません(そもそも、SOLIDEGEよりWOODのほうが人気がありますし、FX1100はアレにしかない個性的な音がありますからね…)が、新品にせよ中古にせよ、安く買えるうちに拾った方がいい機種だと思います。
特に最近、変態的なドライバー構成をアピールして、新しいサウンドですよと売り込むイヤホンが結構ありますね。FD01を聴くと、そんなのどうでもよくなりますよ。
・アンチイヤホンスパイラル機種③ Ethmotic ER4シリーズ各機種
BAイヤホン三銃士を連れてきたよ。
BAイヤホン三銃士?
BAイヤホンの原点にして頂点、ER-4S
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/125774516/picture_pc_473942c202412396919580eb8be037c4.png?width=1200)
スタジオリファレンスの、ER4SR
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/125774551/picture_pc_2788502dcf372f8d457dc3cab3d7b575.png?width=1200)
チャーシュー、メンマなど具の専門家、ER4XR
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/125774583/picture_pc_e3db100fe8a4f697e184c44ad75e5e03.png?width=1200)
なんちゅうもんを聴かせてくれたんや…
なんちゅうもんを…
こんな音ええイヤホンは聴いたことない…
いや、そやない、
何十年か前に聴いた記憶がある。
旨い、ほんま旨い…
これに比べると○○さんのイヤホンはカスや。
※新品での販売価格は下記リンク先を参照してください。また、本稿にてご紹介する機種のうち、ER-4S、ER-4P、ER-4PTは現行機種ではないため、現在入手できるものは中古品のみになります
『2001年宇宙の旅』という、SF映画の金字塔というべき作品があります。古い映画なので、その映像はもちろんフィルムで撮影されたものですが、一般的な35mmではなく70mmの巨大なフィルムで撮影されていました。そのため、後年になり4Kや8Kといった高解像度版が制作されても、元の映像の素性が良すぎるため、現代の映画と比べても遜色のない画質で生まれ変わることができました。
数年前、各地のIMAXシアターで4K版の上映が行われました。私も観に行きました。しかし、そもそもこれは1968年に公開された作品です。さすがに画質面でいくらか「頑張って4K版作りました感」があるだろうと思っていたのですが、それどこかあまりにも美麗な映像に感激の涙を流してしまうほどでした。
(私の生涯のベストムービーなので、それはもう大感動でした。さらに言うとエンドロールが終わって劇場が明るくなっても『美しく青きドナウ』が流れ続ける、というキューブリック監督の指示した通りの上映でした。当然ながら、インターミッションもありました)
再生環境が進化したことで、やはりあの映画は当時としては信じられないほど美麗な映像であったという事が、再確認されたという訳です。
イヤホンの話に戻りましょう。ETYMOTIC RESEARCH社が、ER-4Sを発売したのは2000年頃の事です。発売当時のことなど私には知る由もありませんが、その6,7年後くらいか、とにかく私がKOSSのThe PlugとSHUREのE2Cで初めてイヤホン沼に足を踏み入れた頃には、Ultimate Earsと並んで高級イヤホンの代名詞、これを買ったら「あがり」の製品として語られていた記憶があります。
当時は今ほどイヤホンの価格がインフレしていなかったので、ER-4Sなんかは超高価なイヤホンで、これを買うのは清水の舞台から飛び降りるようなものだと思っていました。サウンドハウスのサイトを眺めて、せめてER6iならなんとか買えるんじゃないか…いや…それでも結構お高い…ER-4Sを持っている人はいったいどんなお金持ちなんだろう…と思っていました。そんな時代です。
そういえば、昔はER-4Sについて、抵抗値が高くて(100Ω)音量がとりにくいという評判もありました。AppleのiPodがバカ売れしている時代です。イヤホンを買う人は、ほとんどの人がiPodに繋いで使いたいわけで、ER-4Sというのは果たしてそれを十分に鳴らせるのかという、オーディオ環境まで問われてしまう、マニアックな感じがさらに憧れを掻き立てるイヤホンでした。
(そのような時代の中で、ポータブルオーディオの駆動力をアップさせる、ポータブルヘッドホンアンプを販売してヒットさせたのが、今をときめくFIIOでした)
なお、エティモもそこは意識したのか、低インピーダンス(27Ω)版のER-4Pという製品も出していました。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/125783796/picture_pc_a0f679bf781ce101ee6ae2928a4a6278.png?width=1200)
私が購入したこのER-4PTは、ER-4Pのケーブルに連結すると4Sと同等の抵抗値になる「S化ケーブル」が付属するものです。(ちなみに、ER4の本体のみ付属品全無しのようなものは「ER4」とだけ書いて売られています)ケーブルは欠品でも構わなかったですし、何よりS化ケーブルの方は付属するようだったので、これは面白いなという事でポチりました。
・ついでに…ETYMOTIC関連アクセサリーガイド
ここまで挙げた、ER-4SとER-4P(PT)は、商品としては別の機種扱いになるのですが、実はイヤホン本体は同じものです。ケーブル側に抵抗が入っているため、純正ケーブルを使わないなら、実はSでもPでもどちらでもいいという事になります。
私はこの変換コネクタを使って、mmcxのケーブルを使えるようにしています。ER-4S、ER-4Pの独自端子を変換する商品は他にもありますが、抵抗入りのものでなければ純正ケーブルの音からかけ離れたものになってしまうため、注意が必要です。
ER4SRとXRに関しては、独自のmmcxコネクタ(爪があってコネクタが回らないようになっている)ではあるものの、抵抗がケーブル側ではなく本体側にあるという事で、リケーブルの選択はもう少し楽になります。
onsoが現行のERシリーズで使える独自mmcx用のケーブルを販売していますが、正直これがいつまで入手可能なのか、ちょっと心配でもあります。純正ケーブルについても同じくです。
ケーブルが手に入らなくなる、もしもの事態に備えて通常のmmcxに変換するコネクタを買っておくのも良いでしょう。
ただこちらの変換コネクタ、大変ありがたい存在なのですが、本体の端子とかっちり噛み合うかはわかりません。私はこのコネクタを使うと接触が甘くて途切れてしまう事があるため、mmcx部のがた付きを抑えるためにワッシャーをかましています。
SHUREのワッシャーです。これを複数個買っておき、イヤホンと変換コネクタ間のガタつきがなくなるまで追加します。コネクタ側の製造クオリティの問題なのか、1枚では済まない場合があります。
ケーブル関連でもう一つ、ER2SE,XRという、ERシリーズのエントリーモデルがあります。その付属ケーブルは、ER4SR,XRでも使えます。もし、ER4SR,XRのケーブルが別途必要になった時には、ER2SEかXRの本体を買ってしまうというのもアリかもしれません。
※240113追記
ER2SE,XRともに、私が昨年購入した頃(1万円台前半だった記憶があります)より値上がりしているようです。そのため、ケーブル確保目的での購入はおすすめしません。ちなみに、ER2XRは過去に所有していましたが、良いイヤホンでした。ただし、これを書いている現在の価格はAmazon、ヨドバシ、eイヤホンともに18,000程度です。この金額だと正直おすすめには挙げられないですね。
ERシリーズのカスタマイズネタをもうひとつ。このイヤホンには細長いステムの部分に、小さなフィルターが入っています。標準で付属するのは緑色のフィルターです。
Amazonから購入できますが、やけに高いです。(海外から送られてきました)緑のフィルターはeイヤホンやサウンドハウスで普通に買えますので、無理をして入手する必要はないのですが、オレンジのフィルター(ウォーム系の音になります)をつけたER4XRの音が大好きで、個人的には割高でも買えてよかったと思えたアイテムです。
■どうでもいい話ですが…
お前のイヤホン、中古ばっかじゃねーか!
って思いましたかね。サーセン。
いやいや、中華イヤホンなんかはほとんど全て無試聴特攻でポチってますよ。ほとんど売りましたけど。たまたま、中古で出会った機種が運命のイヤホンだっただけです。さて、本編はここでおしまいです。後はオーディオ関連で私が思うこと、愚痴や雑文を書き殴って終わりにしたいと思います。
■ハイレゾについて
私はロスレスであることには拘りますが、ハイレゾかどうかという事にはそれほど執着していません。録音が優秀である事と、そのデータに欠落がないこと(ロスレスであること)の方が重要です。そして、その音源をビットパーフェクトで出力する。ここまでで十分です。ただ、moraで楽曲を買う場合には、ハイレゾでなければロッシー(非可逆圧縮)になってしまうので、配信で買う場合はロスレスへの拘りから、結局ハイレゾの方を買う事になってしまいます。
配信音源にflacとDSDの両方がある場合は、なんとなくDSDを買ってみたりもしますが、そもそも私のリファレンスイヤホンであるER-4Sはハイレゾに対応していません(笑)
つまり、ここにどれだけ拘るかは、再生機器のスペック次第だという事です。DSDの音源を買ってもネイティブ再生する環境がないなら、flacの方が扱いやすくていいと思いますし、DACを買う時にいちいち手持ちの音源が再生できるかどうかを調べるというのも面倒です。
特にお気に入りの音源は、CDからExact Audio Copyを使ってWAVで保存したりもしていましたが、最近ではCDからのエンコードもflacにする事が多いですね。DSDやWAVはタグを編集する時に対応するアプリが限られるので、特にタグ管理の面でflacの方が楽です。
という訳で、ロスレスであることさえ担保されていれば、ハイレゾかどうかという事よりも、自身の性格を鑑みて将来に渡って管理しやすいフォーマットを選択する事に拘る方が、よほど大事な事じゃないかな、という事です。
■エージングについて
ポタオデ界隈にはよほど聴覚に自信があるのか、イヤホンの経年劣化を耳で判別できる人がいるようです。曰く、新品のイヤホンは何十時間も鳴らしっぱなしにして、部品が馴染んだ頃にやっと本来の音が出るそうです。その筋の猛者にもなると、ケーブルもエージングしたり、エージング用の音源や果てにはエージング専用の機械を買ったりもするそうです。それをやっているうちに、人間の方が経年劣化しそうな話です。
エージングの効果が無い事を証明できる訳ではないので、やっている人を非難するつもりはありませんが、これからいいイヤホンを買ってみようと思っている新規の方にはそっと「よく寝てよく食べて、適正な音量で聴覚を守って、健康な体を維持する事の方がよっぽど大事だよ」と、教えてあげたいですね。
finalの見解がこちらに書いてありますので、音質変化に纏わる様々な疑問についてはこの説明である程度、溜飲を下げることにしております。
■リケーブルについて
音楽再生に関わる何かしらのパーツを変えると、音が変化するという事はあります。ケーブルによって抵抗値が違ったりしますし、知覚できるかどうかは別にして、変化があること自体は当たり前だと思います。ただし、それによって音が良くなるのかどうかはまた別の話、という事です。
私もケーブルはいろいろ買いましたが、結論としては「めっちゃコスパ悪い!」ですね。数万円のケーブルを買うなら、イヤホン本体のコレクションを増やした方が絶対いいです。
リケーブルは、中華イヤホンにありがちなひょろいケーブルがダサいとか、材質がゴムゴムしていて取り回しが悪いとか、かっこいいケーブルに変えたい(見た目の満足度の問題)とか、バランス接続をしたらどんな音になるのか試してみたいときなどに、買えばいいかなと思います。
イヤホン沼を回避できても、愛機を愛でたい気持ちがケーブルに向かうということもあるかと思います。肝に銘じてください。どんなに高価なケーブルでも、イヤホン本体を取り替えるほどの音質変化はありません。しつこいようですが、そこにお金をかけてしまうなら、手持ちのイヤホンとは別の音質傾向を持つイヤホンを買い増しした方が、よっぽど幸せになれます。
■ここまで読んでくださったあなたへ
こんなに長いオタクの早口みたいな文章を最後まで読んでくださり、ほんとうにありがとうございます。当初はイヤホンスパイラルの実体験を綴る予定だった本アカウントで、いろんなnoterさんの記事に触発された結果、短めのエッセイなどを投稿するようになりました。
ポータブルオーディオへの関心はもともとあった方なのですが、コロナ禍以降のリモートワーク開始から、仕事に最適なイヤホンを探し始めた事をきっかけに、オーディオ熱が再燃していました。(結果、会議用イヤホンってEarPodsで良くない?というアホみたいな結論を得ました)
特にここ1年は、メンタルの不調で映画の方の趣味が滞るようになり、希死念慮をはじめとしたよからぬ雑念をシャットアウトするために、いつも音楽を聴いていました。病んでるアピールみたいで恐縮ですが、実際病んでるため、夢中になって書き散らす事で、ずいぶん気を逸らすことができました。過去に買ったり売ったりした、いろんなイヤホンの思い出が蘇り、とっても楽しく書けました。
いずれまた、オーディオの技術革新、MEMSドライバーとか空間オーディオとか、ワイヤレスイヤホンのヒアリングデバイス化とか…等々にハマる事があった際には、発信するかもしれませんが、ネタが溜まるまでにはずいぶん時間とお金をかける必要があるでしょう。そのため当面は、ここまでまとまったオーディオ関連の記事を書く事はないだろうと思います。
普段の私の投稿は、特定の集団を目掛けて投げかけるようなものではなく、どちらかというと空に向かって独り言を呟くようなイメージで書いております。しかし、オーディオ関連については、イヤホンの購入を検討している人がお金を損じないためにと、明確に記事のタイトルに関心を持ってくれた人に、自身が得た知見をシェアする目的で書いておりました。本稿について、有益な情報だと思って頂けましたらSNS等でシェアしてもらえると嬉しいです。
また、オーディオやガジェット、Amazonのおすすめ商品(アフェリエイトです)などの記事を書いた際は、こちらのマガジンに追加しております。ご興味がおあり方は、フォローしていただけると嬉しいです。
あ、それとですね、いちオーオタとして物申す限りはやはり「どんな人物が、どのような背景で、どの立ち位置から意見しているのか」という事をしっかりと分かるようにしておきたいので、過去記事の中から、私の人物像や背景が伝わるであろうリンクを貼っておきます。ご興味があれば読んでみてください。