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更年期と東洋医学 – 腎虚(腎気虚・腎陰虚・腎陽虚)とその影響

はじめに

「最近、疲れやすくなった」「ほてりやのぼせを感じる」「冷えが気になる」——このような症状が増えていませんか?

更年期になると、ホルモンバランスの変化により、自律神経が乱れやすくなります。東洋医学では、更年期の不調を「腎の衰え(腎虚)」と捉えます。腎は生命エネルギーやホルモンの調整に深く関わっており、腎の機能が低下すると、さまざまな不調が現れます。

腎虚には 「腎気虚」「腎陰虚」「腎陽虚」 の3つのタイプがあり、それぞれ特徴が異なります。本記事では、更年期の症状と腎虚の関係を解説し、タイプ別のセルフケア方法を紹介します。


腎虚と更年期 – 東洋医学の考え方

1. 東洋医学における「腎」の役割

東洋医学では、「腎」は生命エネルギーの貯蔵庫であり、成長・発育・老化を司る重要な臓腑とされています。また、ホルモンバランスや自律神経の調整にも関わっています。

更年期は「腎の衰え」が表面化する時期であり、腎の働きが弱まると、ホルモンバランスや体のエネルギーが低下し、不調が現れます。

2. 腎虚の3つのタイプ

腎虚には 「腎気虚」「腎陰虚」「腎陽虚」 の3つのタイプがあります。

  1. 腎気虚(じんききょ) – 「エネルギー不足タイプ」

  2. 腎陰虚(じんいんきょ) – 「ほてり・のぼせタイプ」

  3. 腎陽虚(じんようきょ) – 「冷え・むくみタイプ」

これらのタイプごとに、更年期症状の出方が異なります。


腎気虚・腎陰虚・腎陽虚の特徴と更年期症状

❶ 腎気虚(じんききょ) – エネルギー不足タイプ

こんな症状がある

  • 疲れやすい(体力が持たない)

  • 集中力・記憶力の低下(ぼんやりしがち)

  • 尿トラブル(頻尿・尿もれ)

  • 耳鳴り・聴力低下

おすすめのセルフケア

  • 気を補う食材(もち米、大豆、ナツメ)

  • ツボ刺激(関元・腎兪)


❷ 腎陰虚(じんいんきょ) – ほてり・のぼせタイプ

こんな症状がある

  • ほてり・のぼせ(ホットフラッシュ)

  • 寝汗・口の渇き

  • イライラしやすい(情緒不安定)

  • 皮膚や髪の乾燥

おすすめのセルフケア

  • 潤いを補う食材(白きくらげ、黒ゴマ、豆腐)

  • ツボ刺激(太渓・三陰交)


❸ 腎陽虚(じんようきょ) – 冷え・むくみタイプ

こんな症状がある

  • 手足の冷え・むくみ

  • 腰痛や関節の痛み

  • 代謝の低下(太りやすい)

  • 気力がなく、落ち込みやすい

おすすめのセルフケア

  • 体を温める食材(羊肉、生姜、ニンニク)

  • ツボ刺激(命門・関元)


腎虚のタイプ別にできる更年期ケア

1. 食事で腎を補う

  • 腎気虚 → 大豆、もち米、黒ゴマ

  • 腎陰虚 → 白きくらげ、黒豆、豆腐

  • 腎陽虚 → 羊肉、生姜、シナモン

2. ツボ刺激で腎を活性化

  • 腎気虚関元(かんげん)、腎兪(じんゆ)

  • 腎陰虚太渓(たいけい)、三陰交(さんいんこう)

  • 腎陽虚命門(めいもん)、関元(かんげん)

3. 適度な運動を取り入れる

  • 軽いウォーキングやストレッチ

  • 腹式呼吸で自律神経を整える

4. 鍼灸治療で腎の働きをサポート

更年期の症状がつらい場合、鍼灸治療は腎の機能を補い、自律神経のバランスを整えるのに効果的です。


まとめ

更年期は「腎の衰え」と深く関係しており、腎虚のタイプに応じた対策が必要です。

腎気虚(エネルギー不足) → 気を補う食事・ツボ刺激で対策

腎陰虚(ほてり・のぼせ) → 潤いを補い、熱を鎮めるケア

腎陽虚(冷え・むくみ) → 体を温め、代謝を高める工夫

セルフケアを取り入れても改善が難しい場合は、鍼灸治療を活用することで、腎の働きを高め、自律神経のバランスを整えることができます。

更年期の不調に悩んでいる方は、自分の体質を理解し、適切なケアを取り入れてみてください。

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