[初級] 接尾辞 "-keit"の付く名詞
前回は "-heit" という接尾辞の付いた名詞を扱いました。
今回は "-heit" と同じように形容詞を名詞にする "-keit" という接尾辞の付く名詞をまとめます。この場合もすべて女性名詞になります。
"-keit" が付くのは、元となる形容詞が "-bar", "-el"(すべてではない), "-er", "-ig", "-lich", "-sam" で終わる場合です。
太字は例によって比較的重要な単語です。
-bar + -keit
dankbar「感謝している」 → Dankbarkeit「感謝、謝意」
fruchtbar「実り豊かな」→ Fruchtbarkeit「豊穣、肥沃」
-el + -keit
eitel「虚栄心の強い」→ Eitelkeit「虚栄心、うぬぼれ」
*これに関しては "Dunkelheit", "Einzelheit"といった語もあるので、必ず "-keit" になるというわけではないようです。というか "-el + -keit" の他の例が思いつきません…。
-er + -keit
heiter「晴れた、朗らかな」→ Heiterkeit「明朗、快活、陽気」
munter「活発な、元気な」→ Munterkeit「活発、元気」
*これも "Düsterheit" という単語があったりするので、全てではないようです。
-ig + -keit
einig「統一された、一致した」→ Einigkeit「一致、和合」
ewig「永遠の」→ Ewigkeit「永遠、不滅」
schwierig「難しい」→ Schwierigkeit「困難、難点」
*元の形容詞に "-ig" を付けて、さらに "-keit" を付けるケースもあります。
süß「甘い」→ Süßigkeit「甘さ、甘み(複数形で)甘いもの」
klein「小さい」→ Kleinigkeit「ちょっとしたもの、つまらぬもの」
geschwind「速い」→ Geschwindigkeit「速さ、速度」
-lich + -keit
ähnlich「似ている」→ Ähnlichkeit「類似」
möglich「可能な」→ Möglichkeit「可能性」
wirklich「現実の」→ Wirklichkeit「現実、実情」
wahrscheinlich「ありそうな」→ Wahrscheinlichkeit「蓋然性」
-sam + -keit
einsam「孤独な」→ Einsamkeit「孤独」
gemeinsam「共通の」→ Gemeinsamkeit「共通点」
grausam「残酷な、無慈悲な」→ Grausamkeit「残酷」
まとめ
以上、接尾辞 "-keit" の付く女性名詞のまとめでした。特徴的な語尾の形容詞に付けられるのがほとんどです。
前回の "-heit" と、今回の "-keit" を調べながら、ドイツ国歌(Das Lied der Deutschen「ドイツ人の歌」)のことを思い出しました。
ドイツ国歌はもともと1番から3番まであるのですが、現在は3番だけが公式に歌われています。その歌い出しは "Einigkeit und Recht und Freiheit" というフレーズで、「統一と正義と自由」という意味です。
それともう一つ、フランス革命のモットーである「自由・平等・博愛」は、ドイツ語では "Freiheit, Gleichheit, Brüderlichkeit" となります。