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Resu
2014年5月1日 20:56
天使の手羽先1本80円。タレをかけながらジュージュー焼いているヒゲ面のおっちゃんは、ときおり背中に手を伸ばしては、生えてきた羽をもぎ取る。おっちゃんに走る一瞬の切ない表情と、あえぎ声。客足は一向に伸びる気配がない。
2014年5月4日 23:34
マッチ売りの雪女から、マッチを買う。湿気ってないか不安だ。「もう春なんだからマッチなんて売れないでしょう」「どうしてもコタツがほしいんです」「溶けないの?」「少し溶けるぐらいが気持ちいいんです」知らなくてもいい性癖を聞かされた気分で、帰宅する。そろそろコタツはしまおうと思う。
2014年5月5日 23:40
横向きに寝転び、枕に頭を沈ませた。まぶたを枕の生地に触れさせて、まばたきをする。かしかし、と、まばたきをする度に、まつげが生地をこする音が聞こえる。かしかしかし。まばたきの回数を調節して、リズムを作ってみたりする。まつげが枕にこすれる音で遊んでいるのは今、世界中できっと私だけ。
2014年5月6日 23:45
交際が始まった記念の日に、彼はこう言った。「これが第一話なんだ」何かひとつ思い出が増えるたびに、彼は話数を説明する。「いま第八話ぐらいだね」「今回で十七話かな」あるとき彼と大喧嘩をしてしまい、恐れていた言葉が降ってきた。「今日で最終回だから」でも私は、再放送がある事を信じている。
2014年5月11日 21:09
めそめそしっぱなしの私を見かねて、猫がプリンターから出力されて帰ってきた。二次元になった私の猫は、ぺらぺらと宙を舞っていたかと思えば天井に張りついていたり、生前は入りたくても入れなかった本棚の隙間に挟まってご満悦だ。ただひとつ困りごと。おいしい餌の描き方、誰か教えて下さい。
2014年5月18日 04:44
クリア直前でセーブして、電源を切った。エンディングは見たくない。どんなに魅力的な物語も、いつかは幕を下ろす。だから最後まで見届けない。そうすれば最高のクライマックスのまま、物語は永遠に。「でもその先の事、想像つくでしょ?」夢の中で主人公が悪戯っぽく笑う。あなたを死なせはしない。
2014年5月23日 21:43
傘として生まれたので、雨の日にはよく差された。日除けにも、風除けにも、雪除けにも使われて、人と自然をさえぎるのが仕事だった。「自然は人が苦手だから、人に傘を作らせて、触らないようにしている」そんなことを云うのもまた人だった。自然は何も語らず、人は自然を語る。傘はどちらでもない。