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やめる勇気が未来を開く:一歩踏み出すための心構え

日常生活や仕事の中で、いつの間にか「やめる」という選択肢を否定してしまう傾向があります。私もそうでした。料理人としてのキャリアに誇りを持ちながらも、次第にその生活に疲れ、気持ちの余裕を失っていました。それでも、やめることへの恐怖が私を縛り続けていました。

しかし、「やめる」という選択をしたことで、私は初めて新しい可能性に気づきました。

私が退職を考え始めたのは、体調を崩し始めた30代後半の頃でした。厨房の熱気、終わりの見えない忙しさ、そして日々の疲労感。それでも「ここでやめたら自分には何も残らない」と思い、踏みとどまる選択を繰り返していました。

「やめた後の生活がどうなるかわからない」
「家族や周囲にどう思われるか」
そんな恐怖や不安が、決断を先延ばしにさせていたのです。

ですが、あるとき、心療内科で診断された「適応障害」という言葉に衝撃を受けました。「このままでは自分自身が壊れてしまう」という現実に直面し、やっと「やめる」ことを考え始めました。

決断に必要な「勇気」とは

やめることには勇気が必要です。それは自分の失敗や弱さを認める行為のように感じるからです。しかし、実際にはそれ以上に、自分の人生を見直し、新しいスタートを切るための「強さ」でもあります。

私は、「やめる勇気」を持つために次の3つのことを実践しました:

  1. 自分の気持ちを徹底的に見つめる
    自分が本当に望んでいることは何か、続けることが自分にとってプラスなのかマイナスなのかを冷静に考えました。

  2. 小さな挑戦から始める
    いきなり仕事を辞めるのではなく、まずは趣味や副業など、小さな挑戦を始めてみました。それが次の道を見つけるきっかけになりました。

  3. 信頼できる人に相談する
    家族や友人に自分の気持ちを話すことで、不安を軽減し、具体的な解決策を考えることができました。

やめた後に見えた新しい道

やめた直後は正直、不安と後悔に襲われました。「もう少し頑張れたのではないか」と何度も自問しました。それでも、やめたことによって手に入れた「心の余裕」が、私にとって大きな財産となりました。

地方移住という新しいライフスタイルを始めたことで、心が穏やかになり、自分の時間を大切にする喜びを知りました。そして、文章を書くことで自分の経験を共有し、同じように迷う人たちの力になれると感じたとき、やめたことへの後悔は消え去りました。

やめることは決して「逃げ」ではありません。それは、自分らしく生きるための第一歩です。そして、やめた先には、今まで見えなかった新しい可能性が広がっています。


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