塾講師バイトを通して考えた教育の理想像【春から大学生になるあなたへ②】
おはようございます、カメリアです。
本日は塾講師バイトの最終授業日です。研修を終えて五月から授業に入り、学年が切り替わるこのタイミングで辞めることにしました。辞める理由については教職課程に関する記事の方で触れようかなと思います。
今日の授業終わりに塾講師を辞める(生徒には異動と伝えることになりましたが)ことを言いつつ、約一年間生徒たちを見てきて感じたことを話せるといいな、と教室長から言われた前回のMT。その後、最後に生徒に何を言おうかと二日間考えましたが、うまく形になりません。最終授業まであと数時間です!
そこで、書きながら整理していこうかなと思います。同業者(バイト)の方、塾講師バイトに興味のある方、過去に塾講師をやっていた方、などなど、ぜひ読んでくれたら嬉しいです。
教員という夢について考え直す
私は応募時の履歴書の志望動機に「将来教員になりたいから」と書きました。そのことは勤務先の教室でも伝えており、時々将来を見据えてのアドバイスも社員の方々からいただきました。たとえば、先日、生徒の心をぐっとつかむ語りを入れる教室長から、アドラー心理学に関する本をいただきました。吉田尚記さんの『あなたの不安を解消する方法がここに書いてあります。』(河出書房出版社、2020)という本で、中学生に刺さる内容になっておるそうです。最終授業の語りに迷った時の助けになるようにプレゼントしてくださったのだろうなと思い、目次から気になった部分をかいつまんで読んでいます。
さて、私の勤務する塾では、年に二回ほど「評価面談」というものを行います。配布されたチェックシートの項目で自己評価を行い、その後教室長による他己評価を行い、その結果をもとにこれからどのように勤務していくかを教室長と話し合います。
この評価面談で、私は将来の夢について一度考え直すことになりました。
私の教員志望への思いは、もろいようで揺るぎないものでした。教職課程を途中でやめても両親に止められないように、履修代は両親に借金してバイト代で返済する形をとりました。しかし、企業へのインターンを考えることも、就職のためにTOEICの勉強をすることも、大学一年生の間にまったくしませんでした。
私は教室内であまり自分の話はしませんでしたが、教室長は私がどのような人間かしっかり見ていたようです。「本当に教育で行くのか」と私に問い、さまざまな経験を重ねてから進路決定することを、具体的で面白いエピソードとともに話していただきました。
私には憧れの人がふたりいます。塾で二年半お世話になったH先生と、高校で二年間世界史を教えてくださったA先生です。共通点は、「私のことをよく見ていて、その上で見捨てなかった人」でした。きっと、これが私の理想の教師像です。
「こんな人間になりたい」
さて、こんな裏事情を生徒に話すわけにもいきませんね。私が生徒に話したいのは、自分の話ではなく生徒に関する話です。
私は中学国語を教えています。前回の授業の初めに、生徒には「将来の夢は何か」「どんな人間になりたいか」を小さな紙に書いてもらいました。回収したり言わせたりはしません。ただ、自分が何を思っているのか、認識するきっかけを作りたかったのです。「意見文を書く」という授業内容の導入も兼ねていましたが、中3生が受験の面接前日に夜遅くまで内容を練り直す羽目になるほど「将来の夢がわからない」「志望理由が言えない」という状態になっていたので、そうならないためにまず自己認識を深めてほしかったのです。
中学生の頃、私は漠然とした不安を抱えていました。主に就職についてでした。学校では明るく元気な生徒で、保健委員会の委員長として委員会をまとめ率先して仕事をこなし、合唱部の部長には一年生の後期から有象無象の集団を引っ張っており、学校生活に不安はありませんでした。それでも、両親には自分のことがうまく言えない、面接練習では原稿がないと志望理由すら言えない。「どうしよう」で頭がいっぱいで、毎晩涙を流していた時期もありました。
その状態を抜け出せるようになったのは、Twitterや日記を始めたことがきっかけでした。つまり、自分の考えていることや自分の状態を他人が見てもわかるように言語化することで、俯瞰での自己認識が可能になったのです。
私が大学受験でさほどメンタルを崩さなかったのは、その時その時の気持ちをTwitterに吐き出し、一日を振り返っての感想を日記に書いていたことで、メンタルをコントロールしていたことが大きな原因です。
さらに、漠然とした不安の解消には「知識」が有効です。これはわかりやすいですね。地震が怖いなら地震のメカニズムを知り、漠然とした不安を抱えているなら心理学を学べ、ということです。この書き方では範囲が広すぎますが、要するに不安の正体を認識したらそこに関する知識をぶつけることである程度解消することが可能になるのです。
一般的な中学生がひとりでここまで考えることは難しい。人との出会いが自分を成長させるのは、自分と違う経験をした人の話を知ることでその経験を疑似体験できることにあります。だから交友関係は広く深いほど良いように感じますが、それも遠回りな時もあります。結局、自分がどんな人間になりたいかを考え、基準を作り、その基準に照らし合わせつつ、その基準を変えつつ、そうして毎日を過ごすことで、ブレない人間が出来上がるのではないでしょうか。
そして、私もその途中過程にいます。中学生も大人も、変わらない部分だってあるのです。
それぞれの「こんな人間になりたい」に向かって頑張ってほしい。先生にできることは、たいていそのサポートです。
私も生徒も、未来を創る人間のひとり。一緒に頑張りたいです。
いい感じにまとまったので、この辺で終わりにします。
ここまで読んでいただきありがとうございました。