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【#観物語:映画】「荒野に希望の灯をともす」(故・中村哲医師のドキュメンタリー)

 夏が近づくにつれ、私たちが目にする田んぼには水が張られ、田植えがされ、苗は日に日に育っていく。これは、自然の恩恵と農家の努力のなせるわざだが、水路やダムで農業用水を供給するインフラを造り上げてきた先人たちのおかげでもある。
 世界には戦乱や気候変動のため水が途絶え、農業ができなくなり困窮する人々が数多くいる。はるか彼方、アフガニスタンの地で人々を救うための用水路建設に生涯を捧げた日本人が、今は亡き中村哲医師だ。

 映画「荒野に希望の灯をともす」は、1990年代から20年以上にわたり中村医師を追い続けた記録である。

 彼はもともと、登山隊の一員として訪れた辺境の無医村に医療を届けたいと志し、現地に診療所を開く。
 そこでの歳月を経るうち、過酷な世界情勢と気候変動による干ばつに苦しめられる人々を真に救うためには、遠くの大河から水を引く水路を建設しなければならないと決意するに至る。水が大地を潤して農作物の恵みをもたらし、人々と経済の健康を保つからだ。

 それまで行ってきた診療を仲間に託し、彼は土木工学を学び、現地の人々を説得して、途方もない難事業に挑み始める。自ら先頭に立って作業する彼の姿に信頼と期待を抱いた人々が数を増し、水路は一歩一歩完成に近づく――。

 この映画は、この夏、県内各地で上映会が開かれる。水と農業という面から、私たちと決して無縁ではない中村医師の生き様を、胸に刻み語り継いでいきたい。


〔予告編〕


〔映画公式サイト〕


〔山形県内上映会〕



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