【現代語訳】植木枝盛「『国賊』とはいったい何か」(原題「何をか国賊と云うか」1877(明治10)年)
原文:植木枝盛 現代語訳:山本泰弘
いにしえより、政府に対抗する者がいれば人々は安直に国賊・反乱者と呼び、あまりに簡単に「賊」という字を用いてきた。どんなことであっても政府に対抗する人民がいれば「賊」呼ばわりし、その一方で政府についてはたとえ暴虐で圧制をなしても「賊」と断じることはない。
「賊」というのは、そのような意味では全くない。「賊」とは盗む、殺す、傷つけることだと字典に載っている。「盗賊」、「海賊」がその例である。なぜそれが政府に対抗する者を指す字だというのか