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若者はタコツボに入るべからず。

フットワークの重い大企業。

 先日、上役と面談する機会があったため、退職を仄めかしたら血相を変えて説得されたが、常日頃、悉く忌み嫌ってはぞんざいに扱う奴らに、今更何を言われたところで馬の耳に念仏である。

 転職経験があるからこそ分かることでもあるが、鉄道会社に限らず、規模の大きい組織で退職しようと思うと、上役から何段階もの引き留め工作があり、転職などでタイムリミットが決まっている場合を除いて、何かと手続きを踏むまでに時間を要する。

 そのため、年度末で退職を予定する場合の、意向を切り出すタイミングはとても重要で、組織によってはすぐに辞めようと思い立っても、何だかんだで半年もの時間を要する場合がある。

 就業規則上は1ヶ月前に退職届を出せば良いはずだが、それを字面通りに受け取って、突然退職願を出すと何重にも妨害工作が行われるのだから、やはりこの世の中は理不尽と不条理の塊でしかない。だからこそ、これまで早々に離脱するために、知恵を絞っては常識や世間体から抗って生きてきた。

賃金労働者の価値観とは相容れない。

 職業柄の不摂生が引き金となり健康を害した過去から、退職理由としては、命を賭けてまでやるような労働ではない。これで十分な筈である。それにも関わらず、同じ組織に20年以上在籍している、現状維持バイアスの塊のような上役陣には、私の理由が理解不能らしく、こちらとしても、前時代的な宇宙人と会話している感覚で、話が先に進む気がしない。

 他所では通用する訳がないと否定されれば、そんな学習性無力感に支配されているような、残念な人材しか居ない環境には染まりたくないと返す。何より業務独占資格である電気工事士の有資格者が職に就けない前提なら、その資格すらないお前らが言えた口ではないだろう。と言えば多方面に飛び火して、後々の消化作業が面倒になるので口には出さないが、取り敢えず組織の役職にしがみ付いているだけで、偉そうにしている残念なおっさんが、若者を見下していることは伝わった。

 生きていくにはお金が必要だ。(だから働くしかない的なメタファー)と言われれば、それならばなぜ住所不定無職の方々が生きていられるのか。生活保護のセーフティーネットのある国で、お金がないと生活に困窮するという発想は、賃金労働者の世界しか知らない証拠ですと意味深な回答をする。

 一所懸命に働いて妻子を持って一人前などの、前時代的な価値観を提示されれば、生憎、何ら責任を負う立場にないので、命を賭けてまで労働して賃金を得る必要性を感じませんと返し、平行線な一幕であった。

 やはり、労働は罰で資本家こそ資本主義社会の頂点だと思っている私と、労働そのものに価値を見出せる、プロテスタント的思想な賃金労働者の価値観が強い存在とでは、見ている世界が異なり、相容れない存在であることを改めて確認した。

変人は都合良く動かない。

 良い成績、良い大学、良い会社が、良い人生を歩むための必要条件だと誤解している人が大多数なのが、義務教育で賃金労働者を量産する日本社会の構図だが、これは国や企業にとって都合が良いだけで、自身の価値観で本当に良いものなのかは、一考する価値があるだろう。

 少なくとも幼少期の段階からそんな思想を持つ時点で、変わり者の部類であるのは間違いないだろう。

 因となっているのは、いくら労力を掛けても周りと同じような行動ができない、今で言う発達障害の嫌いがあったからこそ、画一的な学校教育のシステムに違和感を覚え、周囲の人から世の中はそんなものと軽くあしらわれたところで、決して素直には受け入れない天の邪鬼と化し、社会に適合しない変わり者のまま世の中に放たれて現在に至る。

 そんな私は普遍性や他人の予定調和を何よりも嫌い、押し付けられた時には意地でもぶっ壊したい衝動に駆られる性だから、画一的な組織からすれば扱いづらく、余計なことしかせず、人件費を圧迫するだけの無駄な存在だと思われているに違いない。

 しかし私からすれば、これだけ目まぐるしく変化する時代に、画一的でいつまでも現状維持バイアスに囚われては、斜陽産業にしがみついている人間が、この先の未来で生き残れるとは思えない。

 成長するためには挑戦が必要で、挑戦には失敗が伴う。だから保守的になると失敗を恐れて挑戦しなくなる。人としての成長は望めないと思うのは自然な流れだろう。

 私は早期退職によって、会社の看板に頼ることなく、個人投資家として独力で生計を立てる挑戦をするに過ぎない。もちろん、成功するつもりで挑戦はするが、どんな結末を迎えるかはやってみないことには分からないし、何も始まらない。

 仮に失敗したとしても、全力で取り組めば何かしらの学びがある筈だから、その度に人として成長していく。どうせ賃金労働者として真面目に働いたところで、世代会計で少なくとも3,000万円以上の損失を被ることが確定している世代である。

 常識的な生き方では全体的に徐々に没落する運命な一方で、国にとっては源泉徴収によって搾取し放題なため、シルバーデモクラシーの歯車として、都合良く使われるだけの人生となるのが目に見えている。

 だからいっそのこと、ある種の開き直りで、社会のレールから外れた落ちこぼれ感を、課税所得上で醸し出すことによって、合法的に納税の軽減措置や免除で懐をガードしつつ、賃金労働者よりも手厚い便益を受ける道に、希望を感じずにはいられないこと自体が不思議である。

 実態としては金融資産所得による分離課税によって、課税所得上からは想像がつかないような、割合良い生活ができるシミュレーションなのだから、やはり働く者に罰金を課し、働かない者に賞金を与える、無職万歳な国であることは間違いないだろう。


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