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新生活の時ほど、新調しない。

ピボットを意識する。

 4月からの新生活を機に、必要なものを一通り揃える方は多いと思う。小売店なんかでも新生活応援フェアを打ち出すくらいだ。それが世間一般的な流れだろう。

 しかし、私は捻くれているが故に、新生活での新調は極力控えるようにしている。しみったれた考えも2割くらいは認めるが、8割くらいは慣れない生活がしばらく続くのだから、自前の道具くらいは使い慣れたもので揃えたい気持ちが強い。

 ちょうど転職でバスケットボールのピボットになぞらえて、業界か業種のどちらかを軸にして、もう一方を変える考え方に似ている。

 そんな思いから、必要に迫られて購入するものに関してはやむを得ないものの、別になくても困らなかったり、買い替えは半年以上先でも大丈夫そうなものに関しては、目先の生活に慣れてから変えれば良いため、極力、手入れや修理に留めている。

 サムネイルのルンバ654は、新天地でもまだ使用に耐え得ると判断したため、自己責任で分解清掃、部品換装と、事実上のオーバーホールを行った。

 転居する度に分解清掃と、安価なものは部品交換して新天地に持っていくものだから、互換品を含めた部品が手に入らなくなるまで、つつがなく稼働し続けそうな耐久性で驚かされる。

 ダスト容器横の製造年シールが2016年となっているから、かれこれ8年目に突入している。Wi-Fi機能すら搭載されていないため、新陳代謝の早い今どきの時短家電では、もはや動く化石に等しい。

 思い返せば、ホームベースの充電端子がすり減ってお釈迦になり、中古品を見つけて交換しているし、エッジクリーニングブラシは片手では数えられないほど変えた。

 フィルターも純正品は決して安くないが、インクジェットプリンタのように、粗悪な互換品で本体の性能が落ちたら本末転倒だから、訴訟大国で問題になっていない純正品が信用に足る。

 そうして新品同様とはいかずとも、使い慣れたアイテムの機能が回復した状態で新生活を迎えられると、良い気分でありながらも、操作や性質は熟知しているため、新生活と自分の生活リズムを調整することに集中できる。

ロングセラー品でなければ、予備は必須。

 そうした万全の準備を行い、新天地に着いてから、初めに通販で受け取った商品が、家電製品や家具ではなく、スニーカーのインソールな辺りが実に捻くれている。

 ニューバランスの上位モデルはアウトソールにC-CAPを搭載している関係で、ソール部分のカラーリングは固定されており、それに対する反骨精神と、革靴が好きではないことから、公私兼用狙いでオールブラックの997Hを選択した節はある。

 日本向けの標準仕様だと、靴紐の柄が煩いため単色の並行輸入品を敢えてチョイスする程度にこだわったものの、アウトソールの仕様が違うが故に公式には生産終了となってしまい、仕方なく適合するであろうインソールだけ注文して、使い潰すべく交換した次第である。

 2019年に交互運用するために2足購入し、いくら体重がアイドル並みとはいえ、公私兼用で使って5年目に突入しているため、既に靴底も履き口もヘタっている。

 それでも慣れない新生活で、適合する靴がどこに売っているかも分からず探し求めたり、履き慣れない靴で歩き続ける事態は、何としても避けたかったため、状態の良い方を再組成して今に至る。

 ロングセラー品ではないものを気に入った時ほど、廃盤になる前に、あらかじめ予備を兼ねて複数買っておくのは鉄板である。

人が消費しなくなれば、企業は減産する。

 そもそも、なぜ手入れや修理などせず、減価償却期間ほど使用して、100%の性能ではなくなったり、壊れて不具合が出たら、新しいものに買い替えてしまうかと言えば、その方がコストパフォーマンスが高いからに他ならない。

 修理代金と同等か、ちょっと上乗せするだけで、今どきの新品が手に入るなら、陳腐化した従来のものを、わざわざ修理して使い続けるよりも、そちらの方が理にかなっていると考えるのは当然である。

 先ほどのスニーカーのオールソールを例に出すと、メーカーで断られても、ミ○ターミニットなどで修理してもらえる。

 しかし、標準ラバーソールが7,150円、ニューバランスにおすすめされているヴィブラム社製のものは、12,100円〜と、正直、廃盤品にさえなっていなければ、同じスニーカーを新品の定価で買った方が安上がりなため、オールソールする気にはなれない。

 メーカー的にも、ちまちまと儲からない修理を繰り返されるよりも、頻繁に買い替えて貰えた方が利益になり、新製品の開発予算も確保できるため、大量生産、大量消費が、資本主義社会の構造上、有利になるのは間違いない。

 しかし、そんな経済的先進国のロジックを、発展途上国の人たちが見たら、まだ使えるものを、修理で支払う対価と大差ない理由で、買い替え時に捨ててしまうのだから「もったいない」と思うことだろう。

 それに地球上にある資源は有限である。何も原材料に限った話ではなく、ゴミの処分場だって物理的なキャパシティがある訳で、無尽蔵に消費し続けて処分場が足りなくなれば、困るのは将来世代である。

 バブル期を経験している世代は、問題が表面化する前にどうせ寿命を迎えるから、自分たちには関係ないと開き直って逃げ切るのも、選択肢としてはあるかも知れないが、そうして大量消費を繰り返すと、企業も利益になるため、安直に大量生産してしまい、修理して長く使える製品ほど、割高なため淘汰されてしまう。

 私は急逝しなければ、恐らく生きているうちに資源不足や、ゴミ問題に直面する世代の一員として、企業に大量生産したところで、消費者がそれを求めていないと、圧力をかける形で、少しでも現状が是正された方が良いと思っている。

 だからこそ、買い替えとコスト面で大差なければ、敢えて修理や手入れを行い可能な限り延命を試みる。企業の広告で食っているメディアは、それを若者の〇〇離れと煽るが、地球とメディアのどちらが先に滅びるべきかで考えれば、答えは自ずと見えてくるはずだ。将来世代のためにも、できることを徒然と。


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