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panda_23:人間関係の悩み

 教職に就いてから、人間関係で悩むことが増えた。
 心療内科に通い始めたのも就職してからだ。
 現在勤務している学校に異動してからも、人間関係ではしばらく苦しんだ。私は新しい環境に慣れるのが非常に遅いため、どの学校でも赴任してから3、4年は常にしんどくて、人間関係の悩みを抱えていた(今も無いわけではないがかなり居心地は良くなってきた…)。
 
 さすがに嫌がらせやいじめなんてものはないし、表立って自分を攻撃してくる人が居るわけではないが、同僚・上司との距離感や関係性の築き方がよくわからなかった。
 「同じ学校の初任者や若手同士で遊びに行った、飲みに行った」とか「他校の同期とよく食事に行ってお互いに愚痴を言いあっている」とか、果てには交際・結婚とか…私には信じられない世界の話に聞こえていた。そんな眩しい人間関係が存在することが驚きだった。

 そういう苦しみを抱えるなかで、「すべての悩みは人間関係の悩みである」と喝破したアドラーの知見は大変参考になった。アドラーの指摘は私の心にクリティカルヒットするものが多くて、手厳しいなと感じつつも、とても勉強になった。

 人は過去に縛られているわけではない。あなたの描く未来があなたを規定しているのだ。過去の原因は「解説」にはなっても「解決」にはならないだろう。

アルフレッド・アドラー

 アドラーは、遺伝や親の育て方、過去の経験といった「原因」によって行動が規定されるという考え方に真っ向から反論した。

 そして、人は未来への「目的」に向かって自分で行動を決めているという「目的論」を主張した。また、自分の意思でいつでも自分を変えることができるという「自己決定性」にも言及した。

 人間関係に悩んでいるとき、つい「私は〜だから、人間関係が上手くいかない」とか「あの人は〜だから、私とは関係を築こうとしないのだ」と原因を求めていた。そして、自分を責めたり、わかってくれない相手にイライラしたりしていた。

 しかし、目的論に立ってみると、少しは冷静に現状を考えることができたような気がする。

 敗北を避けるために、時に人は自ら病気になる。「病気でなければできたのに…」そう言い訳して安全地帯へ逃げ込み、ラクをするのだ。

同上

 こんなに鋭い指摘をされたのは、アドラーが初めてだった。病気すら「目的」のために人は利用する…。私がメンタル不調に陥った理由も…?

 

 過去は変えられない。
 過去をいくら悔いても仕方がない。
 未来の「目的」を変えて、いま適切な行動を選ぶしかない。
 腹落ちするまで、何度も見返したい教えである。


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