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0から始める研究生活 後編 #新生活に向けて

noteを見ていただいて、ありがとうございます。注意欠如多動性障害(ADHD)・精神障害者手帳2級で博士(生命科学)のred_dash です。いよいよ緊急事態宣言の対象が全国に広がりましたね。現在も外で働いていらっしゃる皆様、お疲れ様です。おかげさまで社会的な機能が保たれています。家で活動自粛している皆様、お疲れ様です。おかげで感染拡大が抑制されています。


 今回は前回に引き続き、私にADHDとしての診断が下るまでの経緯をまとめます。ADHDやその関係者の方はモデルケースの一つとして、同じ轍を踏まないための参考にしてください。私はこの記事をもって過去を振り返ることで、過去を受け入れて総括し、新生活に向けて前向きになりたいと考えています。

長々と書いていますが、私が伝えたいことはただひとつです。
『ADHDの無自覚症状を甘くみてはダメです。環境が変わると劇的にダメになることを把握して欲しいのです。』
 妻が私の悩みの根本をADHDと見抜いてくれなければ、今の私がどうなっていたか、想像するだけでも恐ろしいです。


 前回は、学生時代は比較的成績優秀だったはずの私が、博士研究員として働き始めた途端に上司とうまくコミュニケーションできなかった様子を書きました。

 博士研究員として働き始めた時期は、妻と新居に引っ越して新婚生活を始めた時期と一致します。妻は新婚生活の当初から、なんとも言葉にできない違和感があったようです。私が推測するに、
1. 引っ越しの際に私が持ってきた荷物が多量だったために、妻の物とどちらを残すか調整に苦労したこと
2.荷物をの片付けることが下手であったこと
3. 職場で上司とのコミュニケーションがうまくいっていないこと
4. 妻と私のコミュニケーションでも度々すれ違いが生じること

などがその理由だったと思われます。違和感の元を探って妻はインターネット上で情報収集を行い、私が発達障害に当てはまる可能性を指摘してくれました。

 妻に促されて、私は心療内科へ行きました。初診の時点で先生からは「心療検査をしないとはっきりしたことは言えないが、事情を聞く限りADHDですね」との内容を伝えられました。
 それから検査を待つ日々は不安と絶望に彩られていました。発達障害やADHDに関する情報を広い集めては「自分はADHDに違いない」「この観点からは違うのではないか。認めたくないぞ。」と自問自答と混乱の日々でした。
 発達障害を判断するための心理検査の当日。試験の手応えと集めた情報を加味すれば、もはや疑いようはありませんでした。私はADHDです。「今まで自分は何をやっていたのだろう?」「なんとムダに苦労してきたのだろうか?」「これからも苦労と苦悩が続くのだろうか?」頭の中がグルグル回っていました。翌日、私は研究室へ行けなくなりました。ほどなくして、休職に至りました。


 休職から1ヶ月ほど経って、上司と復職の相談をした際に言われた内容の主旨は今でも覚えています。
「こちらの予測とあなたの行動が異なる」
「博士研究員としてあなたの状況を考えれば、手を動かす他にないことはわかるはず」
「状況は理解出来ているようだから、統合失調症...という訳ではないのか」
「ADHDとあなたは言っていたが、よくわからない。ADHDのことはよく調べていない。」
 彼が困惑していたことは、よく覚えています。彼からすると、私はただの努力不足、ただの怠慢に見えていたのかもしれません。私は、彼が予測していたほどの仕事ができなかったな、申し訳ないなと感じる一方で、彼に私の困り感を理解するつもりはないな、とも感じていました。
 結局、復職はかなわず年度末に退職。この春に至ります。

 

 最後に、ADHDの方へ私からのメッセージです。
 たぶん私たちは、普通の人と横並びで始まるレースでは勝てません。まず無理です。だから代わりに、誰に理解されなくても、誰よりも早く遠く大きな目標を見つけて走りましょう。
 きっと私たちは『物事の順序』をうまく考えられません。諦めましょう。代わりに、目標の達成に必要なことを思い付いたらどんどんやりましょう。遠く遠くへ先回りして投資しましょう。できることが増えれば、誰かが順序の並び替えはやってくれます。
 考えすぎと言われても、素早く判断をしましょう。先読みをしましょう。間違ってもいいので、実行しましょう。忘れないように、メモをして、繰り返す。自分を信じて突き進みましょう。


 私は研究者をやめません。諦めてたまるか、こんちくしょう!
 発達障害当事者の皆様・周囲の皆様も苦労があるかと思いますが、障害だけを理由に希望を諦めないでもらえたら、嬉しいです。

 発達障害に関する知識を集めて、私とみなさんで共有しながら、前へ進んでいきたいと思います。

それでは、よい1日をお過ごしください。


※前回の記事はこちら

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