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俺のヒーローに会ってきた

 門田匡陽というミュージシャンをご存知だろうか?

 もし君が平成のインディーズバンド界隈に関心があれば名前を聞いたことくらいはあるだろうし、なければ読み方もわからないかも知れない。

 後者の君のために説明すると、読み方は“もんでんまさあき”であり、孤高の表現者だ。ちなみに難読だけど予測変換でちゃんと出てくるよ。

 彼は斬新な音楽をシーンに届けてはどこかへ行ってしまう掴みどころのない、カメレオンのようなアーティストだ。

 2000年代初期にはナーバスで退廃的な世界観を持ちながら少年マンガ的な王道の格好良さを兼ね備えたスリーピースバンド“BURGER NUDS”で活動したかと思えば、年代の後半ではツインドラムと変幻自在なコーラスワークで紡ぐおとぎ話である“Good Dog Happy Men”として不況の平成の世に渾身のファンタジーを鳴らす。

 そして本名名義のソロ活動を挟み、ジャンルや楽器の縛りから解放されたかの如く自由なアレンジで、ポップなニューウェイブで「夜しかない街」を描き出す“Poet type-M”というソロプロジェクトも手がけてきた。

 俺は3番目のPoet type-M期から入った口だが、彼の音楽は面白すぎる。遡って音源を全て揃えたくなるのだ(実際に一般流通してるやつは揃えた)。

 俺はニコニコでバーガーナッズの無断転載動画にハマる
⇨もうやってないのかぁ😥と落ち込む
⇨同じ人がPoetなんちゃらって奴やってる〜😃と現行の活動にアクセスし、そこから遡ってどっぷりとハマっていった。

 好きなジャンルが雑食傾向にある君に刺さり得る音楽がここにある。

 しかし、このジャンルレスな点や一つの名義に留まらない点が実力に対して知名度が今一歩な理由だろう。そしてまた各プロジェクト間に充電期間を経るため、活動が盛り上がってきて次に期待したところで待ち時間が生じてしまうところもひとつだろうか。

 前提はこの辺にして本題に入ろう。

 今年ついに孤高のミュージシャン門田匡陽が、本名名義で音楽シーンに帰ってきたのだ。Poet type-Mの活動終了からしばらく時間が空いたが、久々の新アルバム『Pure』を手土産にヒーローが帰還した。厳密にいえば、戻ってきたのは2020年で、デモ音源の投稿やライブ活動、SNSでの配信はおこなっていたけどね。

公式Xより

 これ以前のフルアルバムは2017年にリリースしたバーガーナッズ名義の『Act2或いはAct3』であったため、実に6年ぶりの作品だ。

 Poet type-M時代のような振れ幅の広いアレンジに、更にキャッチーになった歌メロが乗ったそれは多くのファンが待ち侘びた宝石箱のようであった。

 そしてさらに、このアルバムを引っ提げてツアーも開催された。その東京公演(千秋楽)に行ってきたんだ。

 もう最高に楽しかった。そして今回の、またこれ以降のライブが彼の全盛期と確信する。

 なぜなら最強だったからだ。

 何が最強かって、セットリストだ。

 裸一貫の本名で、1人のミュージシャンとして再出発したことにより、これまでの名義で生み出してきた代表曲の数々が強力なカードとしてプログラムに組み込めるのだ。

 それを浴びることはそりゃあもう堪らない体験だった。

 一つの公演に、竹槍一本で敵陣に特攻するが如きシンプルさを持つバーガーの曲と旗を織るように綿密なシーケンスが管理されたポエトの曲が両立されるのだ。過去のライブでもセルフカバーとして演ることはあったが、縦横無尽に国境を跨いで繰り出される名曲たちは圧巻だった。

 とっちらからずに成立したのは公演の柱となる新譜『Pure』の収録曲たちがこれまでの活動のエッセンスをしっかり継承しているからであろう。

 自由で瑞々しい新曲たちが別世界からやってくる他名義の曲を繋ぎ止める媒体のようになっていた。

 だから俺らはなんの違和感もなくただただ「次は何がくるんだろう😊」とドキドキワクワクに期待し、放たれるポップスやロックンロールに沸くことができた。

 さらに終演後、嬉しいサプライズもあった。なんと門田匡陽氏本人が物販に立ち、アルバムを買った人はサインまでしてもらえたのだ。

サブスクが便利すぎてまだCDを持っていなかった俺はドキドキして列に並んだ。しかし、残念なことに俺の目の前数人のところで在庫が切れてしまったのだ。

 がっかりした俺に更なるサプライズ、何か希望したものにサインしてくれるってよ😳

 俺はチケットの半券に書いてもらい、少しだが門田氏と話すこともできた。

 ドキドキしてあまり覚えていないが、「やっぱりミュージシャンは新譜がカッコよくてこそですよね〜😃」みたいなわかったような口を聞いていたと思う。

 なんか変な言い回しになってしまったが、本心だ。表現者は新境地を追い求めてこそだと思っている。

 あと、6年ぶりにライブに行けた嬉しさや、CD買うよーって話をしたかな? うん、ゲットするぜ。サブスクでは作品を借りるだけで所有できないからな。

 そしてMC中に言っていたが、バーガーナッズの音源がサブスクで配信されることが決まったようだ。

 それが今日。

 これは今回のライブでも披露された『逆光』という曲だ。むっちゃかっこいいから聴こうぜーー😎

 しかも、Good Dog Happy Men時代の音源に関しても今年内を目処に配信されるのだとか。

 全部持ってるけどこれを機に広まっていったらと思うととても楽しみだ。次の活動も楽しみにしてるぜ。

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