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Vol.23 浜松市の介護事情について

近年、日本では少子高齢化が大きな課題となっており、その影響による介護の大変さが様々な場面で聞かれるようになってきたのではないでしょうか?

では、実際にそれら課題は、どの程度のものになるのか具体的に考えたことはあるでしょうか?

今回は、解決策までは導き出すことは難しいですが、現状また将来的な数値やグラフを見ることで、何かしら考えるきっかけになっていただければと思います。

<浜松市の老年人口(65歳以上)>

下記は、浜松市の人口推移について男性、女性別で見たグラフになりますが、今回は、介護について調べていきたいと思いますので、介護保険の第一号被保険者である老年人口(65歳以上)について見ていきたいと思います。

総務省「国勢調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」一部加工

これを見てみると男性の場合は、2020年に98,712人(構成割合:25.5%)が、2045年には120,182人(構成割合:34.6%)と大幅に伸びておりますが、女性の場合に関しては、122,213人(構成割合:31.1%)が、144,430(構成割合:40.4%)と、更に大きな伸びを示しております。

これを見ただけで、老年人口、割合ともに非常に高い伸びを示していることから、今後介護の問題が深刻化してくることが想像できます。

ちなみに、介護をサポートすることが多くなるであろう生産年齢人口(15~64歳)は、男性は、235,578人(構成割合:60.9%)から185,652人(構成割合:53.5%)、女性は、222,106人(構成割合:56.5%)から173,337人(構成割合:48.5%)と減少しており、現在よりも少ない人で、より多くの方のサポートをする必要性が高まってきているように思われます。

<要介護(要支援)認定者数について>

【要介護(要支援)認定者数推移(保険者単位)】

では、次に実際に「要介護(要支援)」に認定された方の推移について見ていきたいと思います。

出典:厚生労働省「地域包括ケア『見える化』システム」

これを見ると要介護(要支援)認定者数は、右肩上がりで伸びていることが分かります。
先ほど見た老年人口の推移からすると、老年人口の母数が増えていきますので、当然のことながらまだこの認定者数も伸びていくことが予想されますね。

【要介護(要支援)認定者数の構成割合】

では、次は認定者数の構成割合について、浜松市、全国平均、静岡平均で見ていきたいと思います。

出典:厚生労働省「地域包括ケア『見える化』システム」

これを見ると、全てにおいて「要支援1」「要支援2」「要介護1」の構成割合が大きく伸びる一方、「要支援2~5」が減少していることが分かります。

ここで特に注目したのは、その中でも浜松市の「要支援1」「要支援2」の大幅な増加、またそれとは逆に「要支援2~5」が大幅に減少しているということです。

ただ、これは構成割合になりますので、実数で見た場合に、どのような特徴があるのかも見てみたいと思います。

【要介護(要支援)認定者数(実数)の推移】

ここでは、要介護(要支援)認定者数について介護度別に見てみたいと思います。

出典:厚生労働省「地域包括ケア『見える化』システム」

ここでは、2007年~2013年の伸び率と、2013年~2019年の伸び率で、どのような変化があるのかを見ています。

これを見ると構成割合が増加している要支援1、2、要介護1に関しては、2007年~2013年も、2013年~2019年も比較的高い伸び率となっております。
細かく見てみると、要支援1、2に関しては、2013年~2019年の方が高い伸び率になっていますが、要介護1に関しては、若干伸び率が鈍化しています。

構成割合が減少している要介護2~5の伸び率は、2007年~2013年は増加しているものの構成割合が増加している要支援1、2、要介護1に比べると小さく、2013年~2019年に関しては、要介護3は若干伸びているものの、要介護4、5に関しては減少しています。

【仮説】

ここまで認定者数の現状について見てきましたが、比較的介護度合いが軽い分類での認定者数が増加していますが、介護度合い重い分類では、伸び率が鈍化したり、減少している傾向が見受けられました。

これは、近年は平均寿命が延びるとともに、健康寿命も延びていると言われていることが要因ではないでしょうか?
実際に全国的な傾向として、下記の資料からもその辺りが窺えます。

出典:令和3年12月20日 「第16回健康日本21(第二次)推進専門委員会資料「健康寿命の令和元年値について

○健康寿命の定義と算出方法

更に、その中でも浜松市の健康寿命は、2019年の厚生労働科学研究班「大都市別健康寿命調査」によると、浜松市は、2016年調査に比べ、男性が0.55歳、女性は0.46歳、健康寿命が延び、女性が4期連続の1位、男性は4位となっているなど、健康寿命が高い都市となっていることもあり、介護者として認定されても比較的軽い部類に属している方が増加しているのではないかと想定されます。

<今後について>

ここまでは、RESAS等で確認できる介護の現状について見てきましたが、これはあくまでも現状としてのことであり、今後、私たちはこれら問題に対して、どのように関わっていけばいいのでしょうか?

出典:厚生労働省「2019年国民生活基礎調査の概況」

厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査の概況」によると、介護が必要になった主な原因は上記のようになっています。

これらは、完全には防ぎきることが出来ない問題もあると思いますが、このようなことを知っているだけで、どのような対策をしたらいいのか、また、こうならないようにどのような予防策を実施すればいいのかなど、対応策を考えることが出来るのではないでしょうか?

【介護需要予測指数(2020年実績=100)】

ただ、下記グラフからも分かる通り、浜松市の介護需要予測指数は、2045年にかけて2020年比で33%も増加していくことが予想されています。

出典:将来推計人口 国立社会保障・人口問題研究所(2018年3月推計)
注記:介護需要予測 各年の需要量を以下で計算し、2020年の国勢調査に基づく需要量=100として指数化
・各年の介護需要量=40~64歳×1.0+64歳~74歳×9.7+75歳~×87.3
※日本医師会「地域医療情報システム」所定の計算式にRESASによる浜松市人口データにて加工

このような状況を踏まえ、【65歳以上人口10万人あたり介護施設数・事業所数(サービス種別・地域間比較):2020年】を見てみると、どのような施設が他地域と比べて充実しているのか、またそうでないのかを知ることが出来ます。

出典:RESAS「サマリー機能」よりダウンロード

これらを知ることで、今後、どのような施設を充実させていく方がいいのか、また施設として充実しているのではあれば、実際の介護者数とを照らし合わせながら、どのようなことが出来るのかなどソフト面の充実をさせていくことが出来るのかもしれませんね。

また、国や地方自治体では、2025年(令和7年)を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制である「地域包括ケアシステム」の確立を目指しています。

これらは、国や地方自治体、また介護従事者等だけが考えていくべきものではなく、私たち一人一人が自分事として考えていくことが必要ではないかと思っています。

私自身も、まだまだこの辺りの知識はありませんが、いつ自分が当事者となるか分かりませんので、今回見てきたような現状を踏まえ、じっくりと考えていきたいと思います。


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