
【指揮者メモ#396】続・音楽の構造
【第396回:続・音楽の構造】
第391回で音楽の構造(どう書かれているか/形式)を表現することについた触れたけれど、構造をつかんで音にすることに長けた演奏家(構造の聞かせ方にも色々なタイプがいるにせよ)を聴くと、音楽の見通しが良くなって、特にうまい人だと遅いテンポでも時間が早く感じられる不思議な気分になれる。
指揮者だったら晩年のクレンペラーやヴァントなんかは代表格だろう。クレンペラーは凄まじく立派な重厚な響きの中に(だけど、わざと軽い音をたまに要求することがあるのが心にくい)ドローンで上から俯瞰して白黒画像で撮影しているような感じが個人的にする。ヴァントは標高などのデータを出しながら俯瞰する。等高線まで見えそうだ。
共通するのは小さな動機まで把握して、同じような音表現になるよう注意していることだろう。たとえば完全四度なんかは典型的に出てくる動機だけど、ヴァントならそれが常に同じように聞こえて統一感をもたらす。すべて有機的に把握できるという信念にみちたモダニストだなと思う。
指揮者メモ 伊藤玲阿奈・玲於奈・レオナ
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