
【指揮者メモ#392】失明した作曲家〜超個性的なディーリアス
【第392回:失明した作曲家は超個性的】
佐村河内守氏を除けば(笑)クラシックではディーリアスしか思い浮かばない。バッハやヘンデルも視力が弱まったとはいえ失明まで行ったのだろうか。ディーリアスの場合は梅毒によるものだったらしく、完全に失明してからは口述筆記で乗り切った。
彼の作品はいつかちゃんと勉強してみたい。あれこそドイツ的な構築性から最も遠い一例ではないか。無限旋律はワーグナーからの影響にせよ、交響的な発展を使わずに長めの器楽曲を書いた。凄まじく個性的な音楽。
ただ、それゆえに演奏者によって出来が左右されるかもしれない。楽譜をなぞって通り一遍にやっても退屈に聞こえさせがちな種類の音楽に思える。今の私ではディーリアス解釈は語れないけれど。
ふと、「若葉して 御目(おんめ)の雫(しずく) ぬぐはばや」を思い出した。失明しながらも来日して戒律を伝えた鑑真を想って、芭蕉が詠んだ句だ。いつの日か私は、ディーリアスが溜めた涙を生命力あふれる若葉でぬぐうような演奏が出来るだろうか。
指揮者メモ 伊藤玲阿奈・玲於奈・レオナ
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