【指揮者メモ#368】表拍・裏拍と感じるリスク
【第368回:表拍・裏拍と感じるリスク】
拍について「オモテ・ウラ」という言い方をするが、おそらく日本語だけの概念で、英語では「strong beat / weak beat」または「downbeat / upbeat」。
詳しい説明は省くが、これらは欧米の言語が強弱や長短でリズム(詩・韻律)を作ることに起源がある。つまり、言葉のアクセントに強拍(息をより吐き出す)という感覚が根底にあることを押さえないといけないわけだ。
だから、これを本当の意味で感じ取る早道は、欧米語の発話に慣れることだが、各国の言葉や訛りに左右される。チェコ語独特の語頭アクセント、音を曖昧にして繋げまくる黒人英語など。これらが音楽にも顔を出す。
平坦な発音かつ母音(あいうえお)の数が作詩の基本だった日本語と発想がまったく違うので、時として西洋音楽の拍子にえらく独特な解釈をしたり、「全部オモテじゃん!定義は何?」と困惑する人が出てくるのは当然だ。
なので私は、日本人には「オモテ・ウラ」と教えず、曲に応じて適切なメソッドで対応するようにしている。
指揮者メモ 伊藤玲阿奈・玲於奈・レオナ
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