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【指揮者メモ#370】ブラームス嫌い

【第370回:ブラームス嫌い】

小説「ブラームスはお好き?」を書いたのはフランソワーズ・サガンで、映画化したのが「さよならをもう一度」。仏語では原作通り「Aimez-vous Brahms?」だが、英語版タイトルで「Goodbye Again」となり日本語版もそれに準じたようだ。交響曲3番の3楽章が要所で流れる。これでブラームスをお好きになった方も多い。

しかし、世の中には「ブラームスなんて嫌い」という方が案外といる。評論家の宇野功芳さんは嫌いと公言して有名だった。特に4番が苦手なのは私と一緒(私はブラームス全体は好き)。ただ指揮者として1番を録音していたっけ。

チャイコフスキーもブラームスが大嫌いだった。彼が好きなのはモーツァルトで、ラファエロとかキリストとさえ呼んでいた。素直な音楽が好きなのだろう。実際ブラームスの性格はツン90%のツンデレだったし。

美学的にいえば、カントやヴィトゲンシュタインと同じく「技術が透けて見えると不自然で美しくない」という立場なんだろう。今の我らにはブラームスにそう感じる気持ちは分かりにくいだろうが。

指揮者メモ 伊藤玲阿奈・玲於奈・レオナ

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伊藤レオナ(在NY指揮者)
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