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【指揮者メモ】ブラームス1番への批判

【ブラームス1番への批判】

彼がこの交響曲を世に送り出したのは43歳のとき。ビューローに(「第九」の後の)「第十」などと言われ、今も人気曲ではあるが、専門家からは評価に留保が付けられることもある。論点は主にふたつ。

ひとつは美学面。ブラームス自身の個性が、ベートーヴェン式のソナタ形式や暗から明の型にムリヤリ押し込まれていること。優等生として批判を恐れ過ぎた結果、自分自身の表現ができていないということだ。

これは確かにあると思う。後の交響曲や器楽曲と比べたらすぐに分かることで、1楽章と4楽章はどうも妙に立派過ぎて「らしく」ない。だから“ブラームスらしさ”が好きな人は飽きが早く来るかもしれない。

もうひとつは作曲技術面(オーケストレーション)。ベートーヴェンの作曲法を徹底してるけれど、初期ピアノ作品が真面目過ぎて音の配分に失敗しているのと同じで、頭で作り過ぎている傾向が。だから案外とオケが鳴りにくい箇所がある。

おそらく有名だから出てくる細かい批判だが、一理ある。

指揮者メモ 伊藤玲阿奈・玲於奈・レオナ

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伊藤レオナ(在NY指揮者)
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