
【指揮者メモ#393】組合の強いアメリカ
【第393回:組合の強いアメリカ】
2003年だったか、最初の師匠がやっていたオペラカンパニーで勉強していた時のこと。セントラルパークでの「蝶々夫人」公演前にオーケストラリハーサルがあった。常設オケではないので、メンバーは演奏家の組合から派遣された人を雇用していた。
驚くことがあった。演奏の途中、まだ続いているところで、いきなりマネージャーが立ち上がり、「休憩!」と大声で叫んだのだ。するとオーケストラは一斉に休憩モードに。指揮者にフレーズの終わりまでさえも演奏させることもない。もちろん終了時刻も同様だった。
解雇が容易なアメリカでは組合がかなり強いという話は聞いたけれど、こんな形とは思わず、正直いって好印象を抱けなかったことも確かだ。真偽不明だが、レヴァインが交響曲の1楽章にある繰り返しを時間を理由に拒否されたという噂が流れたこともあった。また、これはヨーロッパでも一緒だろうが、ワーグナーの楽劇になると途中でオーケストラが完全交替してしまう。まあ、指揮者としては割り切るしかない。
指揮者メモ 伊藤玲阿奈・玲於奈・レオナ
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