
【指揮者メモ#394】ハンブルク人の性質〜ブラームスと父親
【第394回:ハンブルク人の性質】
いま瀬戸内の海を車窓から見ている。今日は曇りで、霧がかっている。あたり一面が白く、この辺りでは珍しい光景だ。康成の「夜の底が白くなった」を思い出すほど。
テレマンやCPEバッハなどが活躍し、ブラームスの故郷でもあるハンブルクは一年を通じて雨が多くて曇りがちという。なので、あの暗めの音楽になるというのはアンチブラームスの言い分。けれど、ハンブルクの男性は感動や嬉しさを隠したがる傾向があったとも読んだことがある(知り合いにハンブルク人がいないので分からない)。
ブラームスが母親の死に捧げた「ドイツレクイエム」の演奏会に父親が出席していた。演奏中に周囲が涙していても冷静で、感想を求められても「結構でした」だか「悪くない」だかひと言だけ述べたという。とすると、息子のツン90%のツンデレは父親同様ハンブルク男の性質なのだろうか。私などは、残り10%のデレに心を持っていかれるのだけれど。
ちょうど今、曇りと霧におおわれた瀬戸内の海に細長い光の筋がさして見とれてしまうような感じかな。ターナーに近い風景だけれど。
指揮者メモ 伊藤玲阿奈・玲於奈・レオナ
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