日経ヴェリタスを読んで :ドンキとファミマが挑む偏愛商品開発の新境地
日経ヴェリタスを読んでいて、小売りが総菜に集中投資している記事が気になりました。その中でも特に「背徳感」や「偏愛」をテーマにした商品開発という言葉に心惹かれました。最近、ネットフリックスで「ルシファー」を見ているからかも・・・・・
近年、コンビニエンスストアやディスカウントストアで注目を集めているのが、「偏愛」をテーマにした商品開発。特にドン・キホーテとファミリーマートが展開する独自の商品戦略は、従来のマーケティング手法とは一線を画す興味深いアプローチとなっています。この新しいマーケティング手法の特徴と成功の背景を考えてみます。
1. 従来型と「偏愛」型の商品開発の違い
従来の商品開発では、できるだけ多くの消費者に受け入れられる「万人受け」の味や商品設計を目指すことが一般的でした。しかし、この新しいアプローチでは、むしろ特定の好みや「偏愛」に焦点を当てることで、熱狂的なファン層の獲得を目指しています。この戦略転換の背景には、多様化する消費者ニーズへの対応があります。
2. 各社の特徴的な取り組み
ドン・キホーテの「偏愛めし」戦略
「みんなの75点より誰かの120点」というコンセプトを掲げるドン・キホーテでは、開発者自身の強いこだわりを商品に反映させています。「ゆず味噌なんこつ」「わさびポテトサラダ」「西京味噌金目鯛おにぎり」といった商品は、一般的な味の組み合わせから外れた独特の魅力を持っています。特に「フライドチキンの皮だけ弁当」や「欲望のままに作った厚切りロースのピラミッ丼」は、その大胆な発想で話題を呼んでいます。
ファミリーマートの「ファミマル秘ランキング」
一方、ファミリーマートは社員の個人的な「推し商品」を前面に出す戦略を採用しています。「ファミマル秘ランキング」では、社員の純粋な好みや偏愛に基づいた商品紹介を行い、「濃厚贅沢コーンポタージュ」や「ポテトチップス 絶品うすしお味」といった商品について、率直な感想やこだわりを共有しています。
3. 「偏愛」商品が支持される理由
人間心理からの分析
人間には「禁じられた果実」や「背徳的なもの」に惹かれる本能があります。例えば「フライドチキンの皮だけ弁当」のような商品は、通常の食事の規範から外れた「罪深さ」を感じさせますが、このような背徳感がかえって商品の魅力を高めています。
現代社会との親和性
現代社会では個人の価値観が多様化し、「普通」や「標準」から外れることへの抵抗感が薄れてきました。むしろ、自分だけの「こだわり」や「偏愛」を持つことが、個性の表現として肯定的に捉えられるようになっています。
さらに、SNSの普及により、かつては「マイナー」とされた趣味や嗜好を持つ人々が繋がりやすくなっています。「偏愛」商品は、その独特な特徴からSNSで話題を呼びやすく、同じ嗜好を持つ人々の間で共有される傾向にあります。
4. 企業側のメリット
商品開発者や企業側の視点からも、このアプローチには大きな利点があります。市場調査や顧客ニーズ分析に多大なコストをかけることなく、開発者自身の「好き」を突き詰めることで独自性の高い商品を生み出せます。また、SNSでの話題化による宣伝効果も期待できます。
5. これからの展望
「偏愛」商品の成功は、人間の心理的欲求と現代社会の変化が巧みにマッチした結果と言えます。企業がこのような独創的な取り組みを続けることで、消費者の選択肢がより豊かになり、それぞれの個性や好みに合った商品との出会いが増えていくことが期待されます。今後も、画一的な「万人受け」商品だけでなく、特定の嗜好に深く訴求する商品開発が、マーケティングの新たな潮流として注目されていくと思われます。
最後までお読みいただきありがとうございました。