「手を動かす」が大事、をあらためて実感: 目的別7ステップ財務分析法(著・三富正博さん)を読んで
ゴールデンウィークに読んだ一冊です。
本との出会いをくださったのは、ろくすけさん。
2010年に出版された本です。財務分析を、実際の会社の財務諸表を題材にしたケーススタディが6社紹介されています。3つの立場で2社ずつです。
最初に、社員・従業員の立場。この立場で取り上げられたのが住友金属工業、カルチュア・コンビニエンス・クラブの2社(この2社は既に上場廃止となっています)。
2つ目の立場が投資家。この立場で取り上げられたのがヤクルト本社、HOYAの2社。
最後の立場が就職活動中の学生。この立場で取り上げられたのが あさひ、三菱商事の2社。
4つの視点:成長性、収益性、安全性、効率性 からの財務分析。それぞれどんな指標に注目したら良いのか、を説明されています。
数年分の財務諸表、決算書等を基に財務分析することで、
「分岐点」を見つけること
自分なりに「問い」をつくり「仮説』を持つこと
の重要性、特に「仮説」の重要性が強調されています。分析だけで終わってしまっては「もったいない!」ってことです。
そこで感じたのは、自分で「手を動かす」ことが非常に大事だ、ってことです。
「問い」を引き出し、それに対する「仮説」をつくる際に、自分で「手を動かす」方が面白い、ユニークなものがつくれるのではないか、と。
ネット証券でもそうですし、Yahoo!ファイナンスでも、財務諸表、決算の数値は簡単に検索可能、財務指標も主だったところは手軽にチェックできます。でも、自分で「手を動かす」のと違って、これで簡易に済ませてしまうと決算短信や決算説明資料を見なくなるでしょう。もちろん、ネットで入手できる情報でスクリーニングしてその後決算短信等の原典に当たるということもあるとは思いますが。
僕自身、ちょっとずつですが自分で「手を動かす」を増やしています。
決算期ごとの短信等を見ながら、Excelに数字を入れていく過程で、財務諸表までのパートもチラチラと目に飛び込んできます。そこから新しい興味や関心、分析の視点に気づかされることがあります。こうした過程が「問い」を引き出し、それを「どうしてなんだろうか」と考える機会をつくってくれます。
自分で「手を動かす」その回数を重ねていくことで手際も良くなって、調べる効率が上がり、同じ時間でより幅広くリーチできるようになった感じです。
ろくすけさんのこのご指摘、僕も「その通り!」と考えています。僕自身も勤務先の業務で財務分析はやってきました。もう若くはないですけど、「手を動かす」ことでまだまだ進歩できる面がありそうだ、と日々感じています。
財務分析と「バリュートライアングル(成果、戦略、文化)」「5つの資産(金融資産、物的資産、人的資産、顧客資産、組織資産)」とが絡められているのも、この本の大きな特徴です。
誰かに調べてもらった結果を摘むのではなく、自分で手を動かしての財務分析、楽しいものですよ!
決算書の数字を出発点に、自分で「手を動かし」て分析する。そのプロセスを通じて事業に対する理解を深め、自分なりの着目点・仮説を持つ。
それらが将来の想像する際の解像度を高めてくれる。
こうしたプロセスを経ていない想像は、一種の「幻想」「妄想」「思い込み」と呼ぶべきものかもしれません。
本で取り上げられていた6社の中から2社、その後、最近を調べてみました。
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