アクティブファンドは「つみたて」で:最初からドンと大きなお金を託してしまうのは、絶対に避けましょう。
投資信託を理解する、納得するためのフレームワークの一つに、「5つのP」があります。
運用評価におけるポイント
「フィロソフィー(Philosophy)=投資哲学」、
「ピープル(People)=人材」、
「プロセス(Process)=投資プロセス」、
「ポートフォリオ(Portfolio)=ポートフォリオの構成」、
「パフォーマンス(Performance)=運用効果」
のこと。
https://www.pfa.or.jp/yogoshu/ai/ai01.html
株価指数等のベンチマークに連動することを目標とするインデックスファンドでも使えるフレームワークではありますが、より有効に機能するのは、ファンドマネジャーに運用を委ねるアクティブファンドを理解しようとする、納得しようとする時です。
最近、感じたのは、アクティブファンドにおいては、Philosophy, People, Process, Portfolioについてしっかりと理解、納得することの重要性です。もっとストレートに言うと、この4つ(Performanceを除く)を理解、納得しようとする姿勢、心づもりが無いのであれば、アクティブファンドに投資、お金を託すことは避けるべきだと思います。
さらに言えば、Performanceが何より重要(その他の4つはどうでもいい、興味ない、関係ない、とにかく結果を出せ)というスタンスであれば、インデックスファンドを選ぶべきだろう、と。
私は「5つのP」を次のように捉えています。
アクティブファンド(インデックスファンドもそうですが)のPerformanceはPortfolioの内容で決まります。
インデックスファンドの場合は、Portfolioの中身、構成要素、成分は同じです。喩えて言うなら、レシピ、材料は全く同じで皆で同じ料理をつくりましょう、ということです。したがって、どれだけ安い値段(信託報酬)で提供できるか、が勝負になるのです。
他方、アクティブファンドは、ファンドそれぞれでレシピ、材料はまるっきり異なるのが普通です。当然、出来上がるのは違う料理なわけです。その料理の値段(信託報酬)はバラバラになるのは当然で、値段が安ければ安いほど美味しいだろうという人もいるでしょうけど、料理の値段がその味を決めることは決してありません。高いのに不味ければ次から食べなければいいだけの話だと私は思います。
さて、アクティブファンドのつくっている料理、もとい、Portfolioですが、それがどのように作られているのか、を示すのがProcessです。そのProcessをつくりだして、それを実行している主体がPeopleであり、その考えの根幹になっているのがPhilosophyというわけです。アクティブファンドが、料理と決定的に異なるのは、Processを見て、Portfolioを味わって、その内容を理解したり、なるほど!と納得するまでにはそれなりの時間が掛かる、ということです。料理なら、シェフが料理をしている様子を見て、食べた瞬間、時にはお皿の盛り付けを見た瞬間、その香りを感じた瞬間、「美味しい!」と感じられるかもしれませんが、アクティブファンドの場合はそれじゃダメなんです。そう、Portfolioではなく、過去の成績、つまりPerformanceを見て「美味しそう!」として手を伸ばしてしまうこと、それこそが、上述の通り、避けるべきことなのです。いや、Performanceだけを見て「美味しそう!」と感じて手を伸ばすことは仕方ないかもしれません。
ただ、絶対に避けるべきことが一つあります。
アクティブファンドの過去のPerformanceだけを見てドンと大きなお金を託してしまうこと
です。
https://pixy10.org/archives/post-6580.html
アクティブファンドと長くお付き合いしていくうえで最も大事なことは「信用」だと私も思います。その「信用」って出逢ったその日にドンと大きく生まれるものではなく、時間とともにお互いに育てていくものではないでしょうか。Philosophy, People, Process, Portfolioを理解し、納得し、信用するには時間が必要なのです。投資家(=お金を託す側)も、投信会社・ファンドマネジャー(=お金を託される側)も、双方、お互いが、より深く理解、納得しようと努力を続けることによって、その信用、信頼関係が深まっていくのです。
そんなこんなを考えてみると、「つみたて投資」というのは、アクティブファンドを育てていくのに実に適したやり方なのです。少しずつゆっくりと託すお金を増やしていく、その時間が自分がお金を託しているファンドの内容の理解を深めるのに貢献してくれるのです。もちろん、その過程で「なんだか違うな」ということでお別れがやってくるかもしれませんが、そこまで大きなお金を託していない可能性、少なくとも最初にドーンと大きなお金を託している場合よりも、素早くさっぱりと別れられるのではないでしょうか。
「農林中金<パートナーズ>米国株式長期厳選ファンド」
https://www.ja-asset.co.jp/fund/140829/index
現在、このファンドは「つみたて投資」でのみ買付けることができるのですが、「信用をじっくり積み上げたい」という意思表示なのだろう、と改めて感じます。
http://renny.jugem.jp/?eid=5405
「つみたて投資が良質な投信を育てる」。まろさんのご指摘ですが、まさにその通りだと思います。
最近、設定されたアクティブファンドです。
https://info.finance.yahoo.co.jp/history/?code=AW313195&sy=2019&sm=3&ey=2019&em=7&tm=m
このファンドの設定(2019年5月)からの純資産総額をご覧ください。
ドーンと販売された感がムンムンしてます。ファンドを運用している投信会社は実績ある会社であるのは確かです。しかし、投資家からの「信用」を積上げるだけの時間がないままに、こんなに預かっちゃっていいんですか、と感じずにはいられません。
実現の可能性は少ないのかもしれませんが、こんなことを考えました。
「つみたて投資」でしか買付開始することができない、「つみたて投資」を2年以上継続している投資家のみがスポットでの追加買付が可能。
こうした販売の仕方なら「信用」を時間とともに積み上げることが出来る良質なアクティブファンドを育てられるのではないでしょうか。
tsumiki証券が「つみたて投資」のみとしているのも、「信用」は時間をかけて培っていくもの、という思想があるからなのかもしれませんね。「信用とは」にずっと向き合ってきた丸井グループなればこそ、なのかなと思っています。
「5つのP」についての竹川美奈子さんの記事です。
https://doors.nikkei.com/atcl/wol/column/15/051000135/082500015/
あと、先日も書きましたが、インデックスファンドよりも良い成果を得たい、という動機でアクティブファンドを選ぶのも避けた方が良い、と私は考えています。