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#お金のむこうに人がいる (著・田内学さん)

昨日、Kindleに本が届きました。↓の記事に書いた通り、届くのが待ち遠しかった一冊です。

早速、読みました。期待通り!でした。

強く印象に残った箇所について書いてみます。

社会は、あなたの財布の外側に広がっている。僕たち一人ひとりは助け合っている社会の一員だ。ところが、自分の財布の中のお金だけを見て暮らしていると、登場人物が自分だけになる。社会の話が、自分と切り離された話になる。だから「お金さえあれば生きていける」と錯覚してしまうのだ。

田内 学. お金のむこうに人がいる元ゴールドマン・サックス金利トレーダーが書いた 予備知識のいらない経済新入門 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.178-181). Kindle 版.

この「社会が自分の財布の外側だ」という感覚、認知をいつ、どうやって持つことができるのか、それが大きな課題だと感じました。

経済の羅針盤では、「誰かが働いて、モノが作られる」「モノの効用が、誰かを幸せにする」の2つが何より重要だ。お金の話は道具の説明でしかない。

田内 学. お金のむこうに人がいる元ゴールドマン・サックス金利トレーダーが書いた 予備知識のいらない経済新入門 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.680-681). Kindle 版.

本の中で登場する”経済の羅針盤”。そこではっきりと「お金は道具でしかない」と示されています。”そうだ!”と納得、腹に落ちる人といない人がいるだろう、おそらくです、腹に落ちない人の方が多いかもしれない。

ちょっと自分の話をします。

毎月、自分自身の投資の状況についての記事をつくっています。

こうした記録を始めた頃、15年以上前。その頃からごく最近になるまで、この記録は僕自身の”財布の「内側」”のこと、と思っていました。毎月、増えたり、減ったり、また同時に「お金」のようにも認知していました。

それがここ一、二年でしょうか。ここで確認される時価は”財布の「内側」”ではあるのだけれど、今の僕の感覚、認知の仕方は #お金の向こうに人がいる で言うところの”財布の「外側」”になっている。お分かりになってもらえるかしら。

時価を見てそれが「お金」だという感覚を持っていない、ということです。保有している資産を今換金すればその時価相当のお金になるのかもしれない(税金は控除されるでしょうけれど)。でも「お金に換えたい」なんて一切考えていません。財布の”外側”にあって、社会に対して効用を産み出そうとしている「人」が集まった会社の事業に参加させてもらっている、そういう感覚です。それらの事業がしっかりと効用を生み出し続ける、価値を認められ続けることが何よりも大事なことだと考えるようになりました。

僕の投資において働いてくださっている鎌倉投信さんのWebサイトのページです。

こうしたページを見ると、僕が投資したお金の向こうに「人」が沢山集まっていて、世の中に効用を届けようと働いてくださっている姿が思い浮かびます。

数字にごまかされて、効用に見合わない労働や資源が投入されているのを放っておくと、社会はどんどん疲弊していく。

田内 学. お金のむこうに人がいる元ゴールドマン・サックス金利トレーダーが書いた 予備知識のいらない経済新入門 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.1255-1256). Kindle 版.

お金の向こう側の「どんな人たちが働いているのか」「そこから生み出されるモノやサービスが便利さ、快適さが実現されているか、幸せを届けられているか」。そういうことを考えるべきなんだろう、って。そういう関心や好奇心が湧いてこないと、いつまで経っても財布の内側ばかりが気になってしまうのだろう、そんなことを強く感じました。こんな風に考えられるようになった理由で一番大きいのは、財布の「内側」的な話になってしまうのですが、やはり資産の時価がそれなりに大きなものになったから、です。でも、それだけでもない、とも思っています。投資先の会社の事業やそこで生み出される価値や効用への関心を高めてくれるような、そんな投資信託と巡り逢えたこともとても大きいものがあったと感じています。

加えて、もう一つ。とても強く記憶に刻みつけられた箇所があります。

少子化問題は、助け合いという経済の目的を忘れた現代社会を象徴している。人々が助け合って生活するために経済が存在していて、お金は助け合う手段の1つに過ぎないということを思い出さないといけない。

田内 学. お金のむこうに人がいる元ゴールドマン・サックス金利トレーダーが書いた 予備知識のいらない経済新入門 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.1914-1916). Kindle 版.
かつて、地域社会には、お金を使わずに支え合う経済が存在していた。お金を使うのは外部の人たちに働いてもらうときだけだ。お金はその交渉力を生かして、知らない人に働いてもらうための手段だった。ところが、お金を使う経済があたりまえになり、経済の目的は「お金を増やすこと」になってしまった。GDPを伴わない無償の助け合いは経済活動としてカウントされず、道徳の領域に追いやられている。

田内 学. お金のむこうに人がいる元ゴールドマン・サックス金利トレーダーが書いた 予備知識のいらない経済新入門 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.1910-1914). Kindle 版.

経済は「お金」の話ではない。経済=「お金」という図式が課題を増やしてしまっている、また、それらの課題の深刻さに拍車を掛けている、そう感じました。


投資を増やすことは未来のために働く人を増やすことを意味し、何に投資するかはどんな未来にしたいのかを表している。

田内 学. お金のむこうに人がいる元ゴールドマン・サックス金利トレーダーが書いた 予備知識のいらない経済新入門 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.1935-1936). Kindle 版.

「投資とは何か」については、僕の書いた↓の記事と相通じるところがある!そう感じました。

お金の向こうに「人」を見ること、それを「そうだ!」と腹の底から納得してくれる人が一人でも増えるきっかけを、この本がつくり出す。そんな想像を膨らませています。


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renny | 投資家
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