投資信託業界歴30年の父親が娘とその夫に伝える資産形成の本音の話 (著・今福啓之さん)
もうすぐ4月24日に発売されるのですが、星海社さんから頂きました。かなり長いタイトルですね。
著者の今福さん。本のタイトルの通り、投資信託業界の「中の人」。その業界で30年のキャリアをお持ちの今福さんが、ご自身の娘さん夫婦に「本音」を伝える、というのがこの本のユニークなところです。
自分の大事な家族の資産形成のアドバイスにはタテマエではなく本音。そりゃ、そうですよね。
今福さんのプロフィールです。
”日本人にとって投資信託が当たり前の、いわば「衣食住・投信」のような世界” を、という想いをお持ちの今福さんの「本音」が31、述べられています。
ざっと並べてみると、こんな感じです。
星海社さんの上のページにある「試し読み」では、「6 告白:僕の積立20年で実は後悔していること」まで読めちゃいます。2割弱が「試し読み」出来ます。
この本で最も重要なメッセージの一つ。それは
地上波民放の日中のそこそこ良い時間帯にまでNISAの話題が取り上げられているので、「焦り」を感じる人もいらっしゃるかもしれないな、と感じています。
今福さんがご指摘の通り、NISAは無期限になったので慌てて始めなくても良いと思います。最も避けたいのは、慌ててご自身にとって大きなお金を動かすことだと思います。
慌てずに始めた方が長続きする、僕はそう思います。株式投資で成果を得るには時間が必要だから、です。自分の資産に長い時間を与えるためには、早く始めることは確かに大切です。しかし、急いで始めたが為に長く続かないのであれば、結局、与えた時間は短いものになってしまいます。
”いつ始めてもいつまで持っててもいい” 焦る必要はない。そう思います。
個人的に印象に残ったのは
8 「途中のリスク」と「最後のリスク」
17 悪いけど投資に「複利効果」なんてないから
です。
「途中のリスク」と「最後のリスク」
これは資産形成におおよその目標額を設定する場合のお話(普通は、そうなんですかね:なお、僕自身は特に設けていません)。いわゆる”出口戦略”のようなところでしょうか。
別の箇所になりますが、こうも書かれています。
僕の考えは違いますが、こういう考え方もアリといえばアリかも、です。
「途中のリスク」「最後のリスク」ですが:
リスクをコントロール、リスクに晒されている資産の量を抑えることで極端に大きな変動を避けることはある程度可能。これが「途中のリスク」と捉えました。
「途中のリスク」で手堅くいきすぎると、目標とした出口、目的地(金額)には到着できない可能性もありますよ。これが「最後のリスク」。
こうしたことを考えると、どれだけリスク資産を持つのか、持てるのか、が重要ですので、そもそも投資に充てる金額、「入金力」がポイントになってくるんでしょうね。
悪いけど投資に「複利効果」なんてないから
「複利効果」という言葉がそもそも問題、おかしな表現なのかな、と感じました。
投資信託の文脈で僕自身もかなり長い間、誤解していました。
この本の154ページに
というフレーズがあります。「複利効果」を正しく捉えることの難しさを実感しました。
アクティブファンドを擁護しようと思う
アクティブファンドについて書かれた27個目のセクション。
という定義で コンセプトファンド というコンセプト、概念が提示されています。今福さんの造語だそうです。
コンセプトファンドを
と表現されていますが、僕もそう感じます。僕自身、なんでもかんでも「アクティブファンド」で一括りになっている現状を憂いているので、共感しました。
本の感想、ご紹介はここまで、です。
ご興味をお持ちになったら覗いてみてください。
最後に。今福さんの所属される日興アセットマネジメントさんのページを眺めていたところ、こんなメッセージがありました。
「儲ける」という言葉は、投信に馴染まない
今福さんのメッセージでした。「当たり前」になってこそ長く続けられる、長く持っていられる。そういうことなんだろう、と思います。
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