「西洋の敗北」は、欧米諸国の「死亡診断書」なのだが、「日本の死亡診断書」は?

 「西洋の敗北」(エマニュエル・トッド著)は、
主に欧州諸国と米国についての

「死亡診断書」
である。

 「西洋=ザ・ウエスト」は、かつてのパワーをもたらした宗教的、社会的、国民的な基礎を失って死亡しており、既にゾンビと化している。
 そして、そのゾンビもだんだんと影が薄くなってきており、ニヒリズムとナルシシズムの中に消え去りつつあるという。
 本書は、「西洋」がいかに死につつあるのかを、ロシア-ウクライナ戦争という視点に立って、解明していくものであった。
 
 ボクとしては、本書を読んで、おかしいとか、間違っているとか、賛成できないというところは、無かった。
 「うん、そうだよね」「死んでるよね」とつぶやくしかない。
 しごく当たり前のことが、普通に書いてあるだけの本である。
 この本は英語圏で出版できていないのだが、実に不思議である。
 英語圏の知識人のタブーに触れているのだろうか?
 
 もちろん、ボクは欧米人ではないので、欧米各国の詳しい事情については分からない。
 欧米事情という点では、教えられるところが多かったし、驚いた点も多い。
 
 ただ、「日本の死亡診断書」は書かれていない。
 
 現在は、日本・台湾・韓国も、「西洋」の一部である。
 そして、「西洋」と同じように死につつある。
 しかし、トッドは、「日本の死亡診断書」を書いていない。
 欧米諸国の死亡診断書と同じようなロジックに従えば、同様の死亡診断書を書けそうである。
 まあ、これは当事者である日本人が書くべきことなのだろう。
 ボクはバカだから書けないのだが、誰かアタマの良い人がやるべき仕事だろうな。

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