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彼女は一生懸命にキッチンのカイワレの成長について話す。どんなに可愛いか、愛おしいかを手振りを加えながら訴える。時折「私って変?」って聞く。
忘れないうちに書いておかねばならぬ。
綾瀬はるかと彼女の白いBMWでドライブした。
特に誰にも言っていなかったが付き合っている。
ハンドルを握る彼女の横顔は美しく、陽光で首に光るネックレスは俺のプレゼントしたものだ。
彼女の運転はなかなかスムーズで、これから行く店の話題で盛り上がる。
ちなみに俺は運転はしない。免許?免許は持っている。でも運転はしない。
お昼少し前、行き先は住宅街の中にひっそりとある瀟洒なレストラン。
店の前に車を停め、車をおりる。ロックをするのに振り返る姿もかわいい。
腕を組んでレストランに入る。
ウエイトレスさんに予約の名前を告げると、奥のスペースに案内される。
壁で仕切られているわけじゃなく、植木やインテリアでプライバシーが守られている。
彼女がメニューをみて注文する。俺はそれを眺めているだけ。
とても可愛い。
飲み物が運ばれてくる。
彼女のは透明感のある濃い赤のジュース。アセロラが入っているんだかいないんだか。俺はいつもビール。
彼女は一生懸命にキッチンのカイワレの成長について話す。どんなにカイワレが可愛いか、愛おしいかを手振りを加えながら訴える。時折「私って変?」って聞く。変なわけがない。変だというなら世間の方がおかしいのだ。
食事が運ばれてくる。
ポテトサラダがこんもり盛られてでてきたのが、カマクラのような形で、彼女はその中にきっと宝物が入っているんだと言ってスプーンで掘り始める。やめなよ、と言ってみるが聞かない。
彼女の顔に笑顔が差したと思ったら、スプーンにオリーブを乗せている。
「ほら、あった」その笑顔はこの世のものとは思えないほどかわいい。
とかなんとかやっていると、ウエイトレスではなく、シェフだと思われる男が料理を運んできた。
おいおいおい、と思う。斉藤工だ。色男感満載。料理に色男の粉が降りかかっている気がして、蓋をしてこいよ、と言いたくなる。
そしてどういうわけか、目の前にいる綾瀬はるかは斉藤工とめちゃめちゃ話が弾み始める。
そんなに話しているとせっかくのパスタがのびてしまうよ。心配して話しかけるが、はるかは俺のことなどまったく眼中になく、工のとりこになっている。
向こうにいたウエイトレスがこちらを見ながら悪い笑みを浮かべている。俺と目が合う。口角が上がってさらに悪い笑顔になる。
工がちらっと俺を見る。そして一瞬悪い笑顔を浮かべる。
わあーーーーーーーーーーーーーーーっ。
という昨日の夢。
忘れないうちに書いておかないと、なかなか綾瀬はるかとデートなんかできやしないからな。
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