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食養生の話①〜身体が動きづらくなってからのほうが健康食を食べている〜

このところ、左胸から体側にかけての鎧とつっぱりが強くて、体が非常に動きづらい。体幹をまっすぐできず、歩くのは部屋の中の移動がやっと、外に出かける時は電動車椅子を使う。車椅子も道のガタガタが体に響いて乗りたくないくらいだ。

炊事するにも長時間立っていられないので、流しの前に椅子を置いて、座り座りやる。胸の鎧と神経も筋肉もつながっている左手は、食器くらいの重さのものを持つのも億劫。だから、シンクのはじに左の肘をつき、泡のついた茶碗も右手だけですすいだりしている。月曜にはヘルパーさんが来るので、日曜の夜は水につけて放置してしまう。

右手にしても、体は全部繋がってるから、力の入れ方によっては、体幹に響く。例えば、卸金で生姜を擦っても、鎧が動いて体幹に食い込むような感覚を感じるほど。かぼちゃとか人参みたいな硬いものを包丁で切るのはなかなかに難しい。よって、このところはもっぱら、スライサーを使い、スライサーで切れる野菜を多用することになる。きゅうりと茗荷やわかめの酢の物なんてのは、よく食卓に登場する。

とまあ、体が動かしづらいせいで、食事を作るのもなかなかに大変で、このところ、1日家にいて、炊事とお風呂と睡眠とパソコンだけで終わっていっている感じなのだが、食欲はそれなりにあって、お通じもそれなりにある。便の色も普通で、体の動かなさの反面、内臓は結構がんばって動いてくれている気がする。

考えてみたら、身体が動かしにくくなってからの食生活の方が、それ以前の食生活よりもかなり健康的になっている。内臓がそれなりに動いてくれるのはそのせいかもしれない。

1日家で座ってばかりいるので、そうたくさん食べたくなることもない。それが通常の食事を減らす方に向かわず、良いことに、間食したいと思わなくなった。今、目の前にグリーンレーズンとドライいちじくがあるが、食べてもそうしたものを少しつまむ程度だ。ケーキやスナック菓子などもさほど食べたいと思わなくなっている。

がんの人間は糖質を控えた方がいいとか、添加物をやめた方がいいとか、乳製品も良くないとか、そういうことは私もこれまで意識していたが、再発8年ともなると、ここ数年は気持ちも緩んで、友人と外に出た時はいいよねとか、ストレス感じるのもよくないからときどきはいいよねとか、自分に言い訳しながら、ケーキ類やスナック菓子などを食べることも増えていた。
しかし、今の私の少ない消費カロリーでは、多分、こうしたお菓子は消化が大変なのだろう、体自体が受け付けなくなっている気がする。

身体が動きづらいので、食材の買い物も億劫だ。
食事を作るのも億劫だが、外に食べにいくのも億劫。ウーバーは配達料もかかるからもったいないし、やはりちょっと冷めている。なので、なるべく簡単なものを毎食自分で作るようになった。体が動きづらくなった今の方がちゃんと自炊しているというのも皮肉なものだ。

まるで、体がわざと自らを動きづらくして、私の食に対する欲望を諦めさせ、まともな食事に誘っているかのようだ。

以前は大きな中華鍋で大量の焼きそばを作ったりもしていたが、重い鍋を振るのも、洗うのも大変で、大好きな焼きそばも今はお預け。重い圧力鍋を洗うのも大変だから、調理器具も買い替えた。これまで玄米を炊くのは圧力鍋だったが、圧力鍋で炊いたご飯はその後小分けして冷凍したりといろいろ面倒でもある。で、ついパンを食べたりしがちだったが、やはり、ご飯をまとめて炊いて保温状態にし、いつでもすぐに食べられるほうが楽なので、玄米も上手に炊ける圧力IH炊飯器を買った(IHの電磁波というのがちょっと気になるが、炊いている時は離れた場所にいるようにしている)。

また、大量の油を使う料理はあとの炊事が大変なので、お湯で流すだけでもいいくらいの油を使わない料理が増える。酢の物とか和物とか。味噌汁とか。夏場にそれなりの大きさの鍋でお味噌汁を作ると、余ってしまって残りを冷蔵保存するなどの手間も出る。そこで、小さなミルクパンを買って、味噌汁は毎食1杯分のみ作って、食べ切ることにした。それまでは具沢山の味噌汁を作って、味噌汁とご飯だけでもいいやと思っていたりもしたが、今の体だと、大量の野菜を切る作業や作りすぎの後処理の方が大変である。味噌汁は味噌を摂るということを主眼にして、具は1種か2種類程度。ちなみに、今日のお昼はしいたけともやし。出汁も割り切って、無添加の顆粒のものを使っている。

おかずに関しては野菜中心。作り置きできて何度か食べられるものにして、作業量を減らす。
毎週、自然栽培の野菜が通販で送られてくるが、以前は他に食べたいものがあれば、すぐに買い足したり、外食していたせいで、せっかくの自然栽培の野菜を枯らしてしまうこともあった。しかし、買い物が億劫な今、あるものでなんとかしようとするため、食材廃棄もなくなってきた。いいことだ。
前回届いたのは、長茄子、ピーマン、空芯菜、じゃがいも、大葉、おくら。足りないものは、すぐ近くに車椅子でも行けるスーパーがあるので、買い足す。今週ならキノコ類やもやし、きゅうりと茗荷、ニラ、大根。

そこに、たまに小さめの魚やわかめ、ひじきなどの海藻を足す。
海産物は魚屋でまとめ買いしたり、このところは、友人のお魚屋さんが届けてくれたものを冷凍しといて、時々使う。しじみやあさりは砂出しして冷凍しておけば、出汁も入れず味噌汁になるので重宝する。

そんな感じでこのところのおかずは、ご飯の供になるものとか、作り置きで何回か食べられるもの。冷めてもそれなりに美味しいものになる。
そして、そういうものって、たいていが和食なのだ。

ちなみに、今日のお昼のメニューはこんな感じ。
玄米に七穀を混ぜて炊いたご飯を軽く茶碗1杯と梅干し。
ご飯の上に、オクラと鰹節を醤油で和えたもの、紅生姜、大葉とみょうがを刻んでちりめんじゃこと和えたもの、この3つを乗せた。これを焼き海苔で包んで食べる。オクラや大葉は買った時、一袋分を全部茹でたり、刻んで小さなタッパーに入れておいて、冷蔵保存。食事3回分くらいにはなる。

あとは、ひじきとにんじんと油揚げの煮物。週の頭に大量に作ったものを保存しておいて、5日〜1週間くらい、1日1回食卓に乗せる。ひじきは生のひじきを冷凍しておいたので、水で戻したりする手間もなく、鍋の中で勝手に溶ける。あと、今日は白キクラゲを通販で買ってたので、がんばって白キクラゲをボイルして、きゅうりとの酢の物を作った。

油揚げなどは買った時に全部刻んでおいて、冷凍。使う分だけ出す。
なるべく食材はまとめて切って、切る作業の回数を減らす。また、立ってまな板の上で切り続けると腕も腰も痛くなってくるので、椅子に座って、膝の上に大皿を置いて、柔らかいものはそこで切る。
スライサーで切れるもの、にんじんやきゅうりなどは、台所ではなく、テーブルに持ってきて、テレビを見ながら、作業することもある。
そんなに仕事をしていない今、時間に追われることもないから、ゆっくり時間をかけてやる。

そんな感じで、1日、2、5食。2食プラス果物という毎日だ。
朝起きて、シャワーを浴びたら、だいたい果物を食べる。
今ならスイカか白桃。すももなど。
もしくは、有機にんじんジュース(缶)に自然栽培のレモンの発酵シロップか、もしくはレモンすりおろしペーストを入れて、プロポリスを垂らして飲む。

昼は玄米ご飯と味噌汁の一汁一菜。たまに二菜。
上記した今日の昼ごはんのような食事だ。タンパク質はたまに。
ちなみに、一昨日の昼は冷凍しといたハタハタをフライパンで焼いて、大根おろしと食べた。

夜は玄米ご飯の一汁一菜を量少なめか、たまには簡単に麺類などで済ましたりする。ちなみに昨夜は即席袋麺の納豆そば。オクラ3本としいたけを足した。小さい土鍋で煮て、そのまま食べるので洗い物も少ない。
一昨日の夜は、以前買ってて、そろそろ食べないとと思っていた盛岡冷麺をたべた。冷蔵庫でしばらく眠っていたキムチと、きゅうりと茹でたもやしに塩と胡麻油をからめた簡易ナムルを乗せたのだが、キムチが辛かったのか、そのあと足が浮腫んでしまった。今の私の体に大量の唐辛子は厳禁のようだ。

肉食に関しては、ダメという人もいれば、人それぞれという人もいる。
私自身の現在の体感としては、肉はあまり食べない方が調子が良い感じがしているので、最近はたま〜にしか食べない。お米については、このごろは白米よりも玄米の方が美味しいと感じるくらいだ。朝になるとちゃんとお腹が減っているのも良い感じ。

ちなみに今日の晩御飯は、近所で友人がやってるご飯イベントのメニューをテイクアウトする予定。発酵ものを多用し、野菜多めの薬膳ぽいご飯。実は先週末も別の友人の料理のイベントがあり、とり天と野菜のお惣菜のお弁当を届けてもらった。時々、こういうのに助けてもらいながら、このところの私は結構豊かな食生活を送っている。

まあ、なるべく体に良いものをということで、自然栽培の野菜を取り寄せたり、炒め物やドレッシングに使うオリーブオイルも低温圧搾の絞りっぱなしのにしたり、お醤油や味噌も樽で熟成したものとか、普通よりは値段の張るものを買っているので、エンゲル係数はどうしても高くなる。この先、この体で収入がどうなるかもおぼつかないから、こういう食事がいつまで続けられるかも未知数だ。しかし、これはこの8年間の自分の経験から考えても、やはり添加物がない食品のほうがたくさん食べても胃もたれせず、きれいに消化されている感じがする。できることなら続けたいし、折角、このところ健康食習慣がつき始めているので、これを続けて体調を保ちたい。

8年前に乳がんの再発がわかってから1年半か2年ほどは、甘いもの制限、添加物制限、精製された小麦粉や白米制限、サラダ油禁止などなど、結構厳密な食養生をしていて、実際に腫瘍も縮小してきていたのであるが、その後、食が乱れて、なるべくまた戻そうとしてきたけれど、なかなかうまくいかなかった。しかし、ここ2ヶ月ほどの和食中心の少食な食生活は、最初の頃の食養生よりも健康的ではないかという気がしている。

人間というのは本当に誘惑に弱くて、がんになって死ぬかもしれないよと言われても、甘いものをやめられなかったり、ジャンクなものを食べたりしてしまう。もちろん、気分転換にたま〜には良いのかもしれないが、甘いものは万病の元、できれば誘惑には負けたくない。

これだけ体が動かないのに、なんとか工夫して食事を作り、食べているというのも、何かに導かれているようでもある。今、少しずつ習慣になりつつある和食一汁一菜のシンプル食を定着させて、病に立ち向かっていきたいと思う。

最後になったが・・・。
私はがんの再発後、がんが良くなる食についてはかなり調べたと思う。
少し、指導も受けた。食養生にはいろんな説があって、玄米菜食が良いという人、塩分は敵という人もいれば、ミネラルの多い本来の塩ならそこまで減らさなくていいという人もいる。肉は良くないというのも良く聞くが、これも人によって違うという人もいる。果物を食べるタイミングにしたって、食事の前に食べた方がいいという人もいれば、後の方がいいという人もいる。

結局、最終的には食べてみた後の体調や感覚で、自分がいいと思う方を選択するしかないのだと思うが、最初はいろんな人が研究を重ね、実践している方法を参考にして、自分なりの方法を見つけていくしかないのだろう。

なので、私がこれまでに知り、実践してみたものを中心に、このnoteの中で少しずつ紹介できればと思う。それが万人にとって良いかはわからないし、食というものはそれほど単純なものでもないというのも実感している。食材だけでなく、食べる時の環境や気持ちもかなり影響すると思う。
なので、あくまで参考ではある。けれど、それらを紹介することで、無農薬の野菜や昔ながらの製法の調味料などをがんばってつくっている生産者の応援にもなるかもしれないし、これから少しずつ、具体的な食材やレシピも挙げながら、私のこれまで8年間の食体験「食養生の話」として、時々、書いていければと思う。

※私がこの食生活を続けられるよう、サポートよろしくお願いします!

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