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恋愛部長
2021年6月15日 11:33
彼は、もはや恋人と言う存在を超えていた。何も言わずに気持ちが伝わって、別に何か特別なことをしなくても、一緒にいれば安らげた。これが、結婚というものなのかな、と真由は思っていた。だから、あえてその一歩を踏み出すことに、必要性も感じなかったのだ。ずっと。奏多と一緒に暮らしだして、もう5年経っていた。付き合いはじめてすぐに、奏多のアパートの更新時期が来たので、「お金がもったいない」という理由
2021年5月28日 15:26
自分の人生に爽やかなイケメンが絡んだことがない。それは、ハッキリ断言できる。別に、面食いではないし、アイドルおたくとかでもないので、男性の顔立ちに何か執着があるわけではないのだが、思い返すと、小学生のころから中高大、そして就職した今に至るまで、イケメンの彼氏はおろか、イケメンの友人すらいたことがない。何をそんなに避けられているのかわからないけど、自分の周りにいた男性たちは、すべからく、中の下か
2021年5月28日 15:00
記念日は、嫌い。あなたの誕生日はとくに、嫌い。あなたと一緒にいられないから、じゃない。あなたが、誰かひとりといっしょにいるから。******今日も、彼は、来なかった。来週は必ず行くから、と約束したのに。彼の職場の近くに借りたこの小さなアパートの一室に、彼は顔を見せることもなかった。もしも、電話をくれたら、すぐにでも車で迎えに行って、彼の家でも、どこへでも、送って行くことだってで
2021年5月24日 13:46
若い頃の美しさとは、何も知らないがゆえの傲慢さの所産だ。自分が他人から、中途半端にしか愛されないかもしれない、なんて、絶対に思いつくはずもない。自分は人生の主役であり、他人の人生でも同じように主役のように光り輝いているものだと、あの頃は、思っていた。何のてらいもなく、無邪気に。**********真矢は、朝からため息をついていた。早朝から、担当役員が出かけるのに付き合わされて、出社す
2021年5月24日 13:32
元彼に何とかして復讐してやりたいなら、「今すごく幸せだ」って、見せつけてやることだって、どこかで読んだ。ホントにそうだと思う。この3年間それだけを心のよりどころにして生きてきたくらい。そうよ、私、変わったわ。すごくキレイになったって言われるし、いまは3人の男からアプローチされてるの。どう? 私を振ったこと、きっと後悔するはずよ。だから、これが、私のあなたへの復讐なの。****
2021年5月24日 13:20
初めての男は忘れないって言うけど、それはちょっと不正確かもしれない。正しくは、初めて好きになって、振り向いてもらえて、寝た男、だと思う。大山香織は、ため息をついた。街中は、ハロウィンが終わった途端、手のひらを返したように、クリスマスイルミネーションに衣替えしている。一晩明けただけで、まるで違う街に来たように、キラキラまばゆい光が目に突き刺さる。あれから1年もたっているのに、1ミリも忘れ