本の感想62『四人の署名』コナン・ドイル

人から情報を引き出すときのコツ

ホームズは、事件の情報を集めるとき、聞き取り調査をすることがしばしばある。

有効な情報を持っていそうな人間と直接接触し、話を聞くのだ。その際、彼は身分を隠すか、目的を隠すことが多い。

例えば彼が今、『ある船の(外観などの)特徴を捉えたい』という目的があるとする。船の持ち主と接触する時、彼は自身が探偵であることはもちろん隠す。船を借りたい純粋無垢な顧客のフリをして、目的の人物に近づく。

「ホームズ:困ったなぁ、あの船を借りたいんだけどなぁ。(船は犯罪に使われていて既に無いことを知っている。)ほら、早いことで有名なやつ。白色だっけな?」
「船の主:いや、機体は黒だよ。」
「ホームズ:そうだったそうだった。名前はレインボー号だったよね?」
「主:いや、オーロラ号さ。」
「ホームズ:たしかにそんな名前だったな。今日はありがとう、また頃合いを見て借りにくるよ。」

こんな感じで、相手に反論させるようにしゃべらせている。

人間は基本的に、天邪鬼で秘密主義だ。「この情報は私にとって非常有効で価値があるものだから、ぜひ知りたい!」という態度で相手から来られると、もったいぶるか、怪しむか、口をつぐんだりする。犯罪や、恋愛、金銭、利害関係に関わっていれば尚更だ。

有益な情報を聞き出したいときは、相手にその情報に価値があると思わせてはいけない。知りたい情報があるということすら気づかせてはいけない。目的があることを悟られてはいけない。

大事な場面ほど感情を殺す

ワトソンとホームズでは、女性に対する見方が全然違う。ワトソンは、我々一般人と同じように、ある女性に対して美人だと思ったり、慈悲深い性格だなあと感じる。対してホームズは、同じ女性を見たときに、整った顔をしていると観察したり、慈悲深い性格のようだと認識する。

同じようであるが、冷静さや感情の有無が違う。どちらが正しいとかというわけではないが、例えば手に入れたいというときは、ホームズのような考え方が強いだろう。

感情的になってしまうと、あたふたしたり、相手の出方にいちいち振り回されたり、よく考えもせず行動してしまう。その点、感情に惑わされず、余裕を持って、相手の立場で考えて行動できれば、獲得率が変わってくる。

ホームズは、「人物でさえ、ある一つのものを構成する要素に過ぎない」と捉える。




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