歴史的文豪も推す、「聞き上手」という能力
人の話を聞くことがうまいこと>話しがうまいこと
という論はあまり納得しない。ただ、皆さんも聞き飽きてるし見飽きてるように、「聞き上手」というのはどうやらコミュニケーションに効くらしい。
というのも多くの本を読んでると、この「聞き上手」ということについて多くの作家が肯定しているという事態に直面するからだ。しかも時代を問わず、古典や近代文学、あるいは海外の作品などさまざまに見受けられるから、どうやら信頼できそうだ。
いくつか紹介する。
「ハムレット」より
かのシェイクスピアの名作ハムレットの中でも、この「聞き上手は得」という考え方がでてくる。
王に仕えるポローニアスという人物が、フランスに発つ息子に対してさまざまな注意をするが、その一部を抜粋。
「二度聞いて、一度物を言え。」
「人の意見を受け入れて、自分の判断は差し控えるのだ。」
人には自分の倍喋らせろ。そうすれば関係がうまく行く、ということを息子に言い聞かせている。
心理学の講義でちょろっと聞いたが、(多くの)人というのは相手の二倍ほど喋ってようやく同じくらい話したと感じ、満ち足りた会話だったと思うらしい。
だから、人と話してて良い印象を持たせたかったり、デートとか商談とかで相手に満足感を与えたかったら、いっぱい喋らすのがいいのかも。
自分の判断を差し控えろ、については次項で触れる。
「グレート・ギャツビー」より
この本はアメリカ文学を代表する小説。一文も無駄なところが無いともいわれ、20世紀に英語で書かれた本の中で最高と評価されることも。(俺としても読んでおくことをオススメする)
小説の初めから名文が飛び出すが、その一部を抜粋。主人公(語り手)が過去に父に言われた内容、またそれを守り続けた結果主人公が悟った内要が語られる。
「人のことをあれこれ言いたくなったら、ちょっと考えてみるがいい。この世の中、みんながみんな恵まれているわけではない。」
「(父が言ったことが影響して)今でも私は何かにつけて判断を差し控えることがある。そうなると、おかしな人間がやってきて自身をさらけ出そうとする。」
「普通の人間が態度を保留(批判しない、良し悪しを言わない)していると、普通ではない人間が目ざとく寄りついてくるということだ。」
語り手は、「人の話を聞き、それをあれこれ警告や否定をしないでいた」結果として
人々に「自らの内面、気持ち、秘密話、聞きたくない話まで」打ち明けられた、と言います。それが良いか悪いかは置いといて。
このように(意識的にも無意識的にでも)聞き上手な人間は、他人の内面を覗く機会に恵まれるという捉え方ができる。
最後にフィッツジェラルドの素晴らしい表現を紹介して次に移る。
「判断を控えるということは、無限の可能性を生むことである」
その他作品
他にも様々な作品の中で、「人の話を聞く」ということは良いこととされ、重宝されている。あるいは、作品の重要人物が、「聞き上手」という能力を身につけていることが多い。
ワトソン(『シャーロックホームズ』シリーズ)が
「君は話の相手役として適しているという素晴らしい才能がある」
と、シャーロックホームズにいわれてる場面がある。
村上春樹の小説に出てくる主人公も無口なことが多いが、これも自分からはあまり話さない性格であることを思わせる。無理やりかな?笑
まとめ、感想
今関わりのある人との関係を改良したり、初対面の人に対して自分の印象を良くするには「聞き上手」が良いかもしれない。
とりちがえほしくないのは、聞き上手な人(性格)になる必要は一切なくて、場面場面でこのテクニックが使えたらいいよねという点。
あと見方を変えると、グレートギャツビーの主人公やワトソンのように、金持ち、優れた人物、一風変わった天才など、そういった彼らとの出会いや仲良くなる瞬間を逃さない人は聞き上手なのかも知れない。