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本の感想44『海辺のカフカ』村上春樹

ひとつ紹介したい名言。というか一節。

「目を閉じちゃいけない」
「それも決まりなんだ。目を閉じちゃいけない。目を閉じても、ものごとはちっとも良くならない。目を閉じて何かが消えるわけじゃないんだ。それどころか次に目を開けたときにはものごとはもっと悪くなっている。私たちはそういう世界に住んでいるんだよ、ナカタさん。しっかりと目を開けるんだ。目を閉じるのは弱虫のやることだ。現実から目をそらすのは卑怯もののやることだ。君が目を閉じ、耳をふさいでいるあいだにもときは刻まれているんだ。コツコツコツと。」

これは、ある男が猫を殺すか自分を殺すかの選択を老人に迫っているときに発したセリフである。(これだけ聞くと随分変わった物語に思える。)

上の引用部分は、俺が心に刻んでいる名言だ。なにも殺人をするかしないかに限った話ではない。もっと身近に、宿題課題や皿洗い、公共の手続き、金銭問題、人間関係などなど、目を背けたいような出来事というのは人生においてよく現れる。そういったとき、これを思い出すようにしてる。

人間というのは、嫌なことやめんどくさいことが目の前に来ると目を背けがちだ。人は弱いし逃げる生き物なのだ。

でも、そうやって目を背けてる間にも、時間というものはお構いなしに進んでいく。状況も勝手に変化していく。

そう、面倒なことというのは、基本的に先延ばしにしても良いことは何もないのだ。一番合理的な行動は、「やること」「やらなきゃいけないこと」が生まれた瞬間になるべく早くそれを片付けることである。

「同じ業務内容ならいつやっても労力は同じでは?」という質問が来そうだが、やることを後回しにすればするほど、それを思い出して嫌な気持ちになる回数がふえたり、ストレスをより多い時間募らせるというコストかかってくる。

あとは早めにやれば、落ち度に気づいたときに致命傷にならなかったり、新しい対応策がまだ間に合う可能性が増える。

当たり前のことを言ってるだけだな。本の感想でもない。ただ、これを改善できるかで人生変わってくると思ったのだ。これから幾度となく後回しにしたいような、逃げたいような場面は訪れるだろうから、そういうときは思い出したい。目を閉じちゃいけない。


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