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本の感想46『「悩み」の正体』香山リカ

日本人はコミュニケーションをとっているというよりも、「空気の読み合いのゲーム」をしてるんじゃないだろうか。まあ、それすらもコミュニケーションの一つだと言ってしまえるかもしれない。

テレビ番組や、友人との会話を思い出してほしい。誰もがその場の空気を壊さぬように、自分の意見をときには押し殺し、和を乱さぬようにする。美点といえば美点だが、無意味で虚無的で生産性がないことがしばしばだ。

テレビや映画の感想を友人達と語り合う時、最初の2人くらいが「めっちゃ面白かった」という雰囲気を作り上げたが最後、大して面白くもないと思いつつもいかにもそれっぽく肯定派に加わる。(これらは家族やかなり近しい友達の間などでは起きづらいが、知り合いや軽い友人、職場の同期など準パブリックな環境で起こりやすい。)

こういった傾向は、日本人に特に多いらしい。

日本人は、精神医学の世界で「メランコリー親和型(メランコリー型)」と呼ばれるタイプだ。文字通り、メランコリー(憂鬱な気分)に親和(なりやすい)するタイプ、となる。このタイプの特徴を見てみよう。

・自分の気持ちより周りの秩序を大切にする
・几帳面で責任感が強い
・対人関係に配慮がいく
というようなプラスの面がある。しかしこれは裏を返せば、

・真面目すぎて、細かいことにこだわりすぎ、「どうでもいいや」と割り切れない
・周囲を傷つけたり人に嫌われることを極度に恐れる
・失敗すると、過度に自分を責め、罪悪感を抱いたり他人からの評価を気にするようになる。

というように、マイナスなところもある。そしてこれこそが、「メランコリー」に「親和」であるということだ。ひどくなると、いわゆる「うつ病」になる。日本人は多かれ少なかれ、誰しも傾向的にうつ病を持っているんだろう。

それを知ったことで、少しは気持ちが軽くなれればそれで良し。「あぁ、日本人とは、私とは、こういうものなのだ」と。(無理やりオチにもっていく)



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