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本の感想39『空想工房の絵本』安野光雅

絵本の紹介は初めてだ。絵本といっても読みごたえがあって、その世界観と、日常であまり触れることのない知識に脳が活性化された気がする。この本は1ページごとに絵があって、それぞれに解説や作者の思いが書かれている。面白かった考えを紹介していこう。

〇「一寸先は闇」

著者の好きなことわざらしい。科学的調査でも、天気予報が外れることがある。経済学者も株で大損する。

一寸先の、わからないことを知りたがる人が大勢いるから占い師は成り立つ。確かに人間社会も、「一寸先は闇だからこそ成り立つ」っていうものが数多くあるなぁ。

〇哲学者ジョルダーノ・ブルーノ

「もし星の一つ一つが太陽と同じ(ような)ものであるとするならば、多くの星の中には太陽のように惑星を持っているの違いない。すれば、その中には地球のように知的生物もいるだろう。
したがってこの広い宇宙の中にはキリストのような偉人が二人か三人あるとしても不思議はない」

この、「知的生命体がいる」までは誰でも考えられるけど、キリストのくだりまでもっていけるのが面白い。

科学の発展で、宗教はなかなか昔の理論が通じなくなってきたといわれるけど、このキリストみたいな人複数いる説からも神(一神教)の存在を否定できる。

宇宙は信じられないくらい広い。どこかに生命体は必ずある。とすると、彼らにもあがめる対象があるのではないか?そしてそうなれば、文明が違えば宇宙に違う神が存在してしまう。あるいは、この地球と寸分違わぬ姿の星があったとしても、神が二人になってしまう。すなわち、唯一絶対の神は存在しない。

ちなみに引用部分の考え方を提供した哲学者ブルーノは、法王庁の怒りに触れて殺されたらしいよ。

〇線香花火は、起承転結のモデルみたい

線香花火が終わると、闇が来る。それは、次の花火に火をつけるまでの期待のある闇だとも言える。

感性に嫉妬しちゃう。

〇ローマ法王が地動説を認めたのは割と最近

2008年12月11日に、ようやく法王のベネディクトが協会の過ち(地球は回っていないという主張)を認めたという。

2008年ってめっちゃ最近だよね。このご時世に、地球が動いてることを頑なに否定しつづけちゃうんだから宗教というものは怖い。

科学を進歩させてくれる人間を殺し、文明の進歩を殺す。

〇感想

魅力的な絵と、魅力的な解説が多かったなぁ。作者の教養の広さを感じ、やはり読書(というか広い知識?みたいなもの)は大事だなと思った。

物事の見る目が変わる。


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