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本の感想6『脳には妙なクセがある』池谷裕二

人間が合理的に行動できないのは、脳が無意識にものごとを判定してしまうせいもある。

合理的に行動できないことで、損したり勘違いしたりとあまり良いことはない。それをちょっとでも改善しようよということで、内容をまとめました。

直観的にイメージで判断する脳

「有機栽培」「オーガニック食品」という言葉を頻繁に目にする。スーパーやカフェ、コンビニとか。こういったフレーズを見るとつい惹かれてしまう自分がいる。健康に良さそうだ、安全そうだ、と。

ところが様々な方面から、否定の声もある。

「昔ながらの伝統的な栽培法がベターな保証はない」
「農薬を使わない自然派野菜が優れていると感じるのは妄想に過ぎない。しかるべきところでしかるべき農薬を使わないと、かえって健康に悪い農作物もできうる。」
「オーガニック食品が健康によいという科学的根拠はいまだに欠如している。」

などなど。

こうなると、マーケティングの手法として使われているにすぎないという印象をうける。

このように、人間は根拠のないことでも、表面的に「◯◯そう」というイメージを固めてしまう。

この例は農薬だけではない。

遺伝子組換食品、人口保存料、水道水など、科学的な面での深い知識もなく、わたしたちは先入観だけで悪い印象を持ちがちである。

見えないものにダマされる脳

良く日本人は「ブランド」に弱いと言われる。確かに、iPhoneユーザーがこんなに多いのは日本だけというの事実でも裏付けが取れる。

そんなブランドに関して面白い実験がある。ワインを味わう時の脳の反応をMRIで調べる、というものだ。

まず、人はワインを飲むと「内側眼窩前頭皮質」という脳の部位が活動するが、これは知的快楽を生み出す部位。簡単に言うと、おいしいワインを飲むことは快感であり、その部位の脳が反応するのだ。

被験者に「5種類のワインを飲み比べてほしい」と伝え、それぞれのワインの値段も告げる。実際には三種類しかなく値段もデタラメであるのだ。

そして被験者に感想を聞く。すると、予想がつくように、値段の高いものがおいしいという人がほとんどなのだ。しかもMRIで脳を見てみると、教えられた値段が高ければ高いほど、内側眼窩前頭皮質(知的快楽を感じる部分)の活動が活発になっていた。

つまり食事の「おいしさ」は、味や成分といった科学分化だけで決まるものではなく、「高級なものを食べている」という実感や、先入観も大きくかかわっているというわけになる。

味は同じ。しかしそれを感じている脳みそは異なった働きをし、本人は違う味を感じるし違う体験をする。これはおもしろい。よくケンカが原因で飯が不味くなった、というのを聞くがあながち間違いではないのかも?

ブランド、オーラ、ムード、そういった「見えざるモノ」に動かされるようにヒトの脳はデザインされているのだ。

自分では冷静に、客観的に、科学的に。相手にはこれらを利用して、生きていきたい。


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