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本の感想43『果てしなき多元宇宙』筒井康隆

この世界は、幾重もの糸がタテヨコに織られた布のようなものだと考えてみよう。

タテ糸は、歴史、つまり世界ひとつひとつ。
ヨコ糸は、時間。

タテ糸のうちのある一本の世界に、俺やあなたは住んでいて、一本横のタテ糸に移動するとまた別の世界が存在する。ヨコ糸は、それぞれの世界での「ある一時」だ。こんな感じで宇宙は無数の世界から成り立っていると考えてみよう。という世界線の小説。

話としては、ある少女が元いた糸から別のタテ糸、つまり別の世界へ押し込まれてしまう話だ。ある世界では彼女は女優だったり、ある世界では電話のダイヤルが5個しかなかったりする。身近にいる人も、それぞれどことなく違ったり、全く真反対の性格だったりするのだ。それぞれの世界でなんやかんや起こる。

このようなパラレルワールド的SF物語は、数多くあるね。リボーンって漫画(アニメ)もパラレルワールド出てこなかったか?「こっちの世界の自分を助けるためにきた」みたいなアニメとか、こっちの世界の自分は助かったけど別の世界の自分は死んでしまってる、みたいな映画もぼんやりと記憶にあるな。

パラレルワールドでないにしても、地球と全く同じような世界は存在しうるんじゃないかな。あるいはちょっとだけ違った世界とか。なぜなら宇宙は広い。想像もできないくらい広い。YouTubeとかで宇宙の広さを説明してくれてる動画とかを見てみてほしい。地球外生命体の信者に早変わりだ。

この世界に住む自分が、宇宙のなんらかの神秘的な作用で別の世界に紛れ込んでしまわないとも言い切れない。そこがちょっとだけ住んでた世界と違うだけなら、自分の気が狂ったと思っちゃうのかな。だって他の世界に来たなんて考え浮かばないでしょ。

あるいは本当にそうなった人がいて、別世界からのループの主張を医者や家族に相手にされず、友人に馬鹿にされ、孤独の境地からこういう小説を書いているのかもしれないね。


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