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本の感想36『三島由紀夫レター教室』三島由紀夫

この本は、レター教室というより「人間教室」だなぁ。後書きに面白い物があったので最初に紹介する。

他人は決して他人に深い関心を持ち得ない。もし持ち得るとすれば自分の利害に絡んだ時だけだ。

世の中を知るということは、この哲学をしっかりと頭に叩き込むことから始まる。

「人を好きになる、というのは他人に深い興味があるんじゃないの?」と問われるかもしれない。でもこれも、生物学的に反論できる。

人を好きになり、その人に関心を持つ=その人のことを知りたいと思うのは、自分の欲求を満たすためだ。自分(の脳)が好ましく感じている異性を手に入れることは、自分への幸福感や充足感につながる。感情というものは本来無く、細胞(脳)がアルゴリズムに従って行動しているだけだ。

さて、話を戻し、大原則の中の「利害」は何を示しているのか?もちろんお金はそうだが、それだけではない。

人が、他人から何かを受け(手紙をもらう、メールをもらう、打ち明けられる、相談される)、それを重大視したり興味を持つ理由は四つある。それが

◯(大)金、◯名誉、◯性欲、◯感情、だ。(俺にはこれに「悩みを解決する」も入ると思う)

4つ目の「感情」は内容が広くなってしまうが、喜怒哀楽やユーモアとかだと思えばいい。この「感情」が一番難しい。

「2万を10分で稼げる話がある。」
「あなたを部長に推薦したいという動きがあるので、」
「あなたと夜2人きりで飲みたいので」

これら3つのような物なら、無礼やマナーなど考えなくていい。どんな悪文でも心を揺さぶるという目的を達せられる。

しかし、感情でもって他人の感情を動かそうとなると、なみなみならぬ情熱や状況や、あるいはなみなみならぬ技術が必要とされる。

誰しも経験があるだろうが、他人の個人の愚痴や感情の訴えは、本当に面白く感じない。ひたすら「なんのこっちゃ」の話を聞かされ続ける身にもなって欲しい。しかも、俺が相手に対して関心や興味があり、感情が理解できると勘違いしてるから腹立たしい。

みんなも、感情的な話をするときは気をつけよう。よっぽど話がうまい(文章が上手)か、かなり珍しい部類に入る体験じゃないと、相手は興味を持たない。それが手紙ならゴミ箱行き、という訳だ。




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