本の感想28『四畳半神話大系』森見登美彦
運命というものは存在するのだろうか?未来の話だから、100%の運命なんてものは存在しない気がする。直感的には。
運命というのはいろいろ想像が膨らんで面白い。
いま、サッカーの試合を見ている。目の前にあるビールは飲み干す予定だったが、それを止めることで試合結果が変わるかな?みたいな。
あるいは、試合に負けて「あの時こうしてれば」とか試合に勝って「こうなる運命だった」とかも人は良く考える。
自身、「あの時こういう選択をしていても結局最後はこうなっていたんじゃないか?」とか、「結局こうなる運命だったんだ」とか考えてしまうことがある。この考え方は明らかにくそだ。貧弱なメンタルから発生し、自分に同情しようとするクソ野郎のやることだ。
運命には色々あるけど、悪かったことを運命のせいするのだけは良くないことは分かる。
とまあ、こんな風に考えているけど、しかしどうやら人によってはどうしようもなく運命につきまとわれてしまうらしい。
この小説の主人公がそれだ。この小説は、四つの世界線の主人公を描いていて、その分かれ道となるのが大学一年生のサークル選びだ。4つの異なる道を選んだそれぞれの主人公がいるが、どれを選んでもドロドロの大学生活へと導く悪友の小津や樋口師匠に出会ってしまう。
こんなストーリーを読んでしまうと、あるいは偶然によって何かが上手くいき過ぎたり悪くなり過ぎたりすることがあると、運命というもの(あるいは神か?)を信じたくなってしまったりもする。
少なくともいえるのは、未来の自分は過去の自分の結果だということかなぁ。
本の感想としては、言い回しのユーモアやギャグ線の高さ、例えのうまさ面白さ、共感性、ストーリーの巧妙さなどかなり面白かった。