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本の感想35『午後の曳航』三島由紀夫

友人から勧められて、三島由紀夫を読む気になった。とりあえず本屋にあった一冊を適当に購入し読んでみると、何とも良いではないか。

懐かしいような「気持ちの抱き方」「感情の湧き方」が非常にうまく表現されていて、自分の中に見出せるものも多い。

村上春樹と同じで、モノゴトに対する表現の仕方も上手い。状況が鮮明に、キレイに脳内に浮かぶ。

こんな感じの、ちょうど良い小説を求めていた。三島由紀夫のほかの小説も読み漁ろうと決めた。

以下は、本を読んでて思ったことや学び、気づきを挙げてみる。

自慢は控える

同じ話をするにしても、誰かに自慢することを目的として話してしまうと、居心地が悪く、胡散臭くなる。

純粋な経験談、体験話を話すならそれは面白く聞こえるが、自慢を目的としてしまうと薄っぺらくなってしまうのかなぁ。まるで自分の店の商品を売り出す文句みたいになってしまう。同じ内容の話なのに違うように聞こえてしまうから注意。

自分が親になれる気がしない

自分の劣等感、叶えられなかった夢、理想、引け目など、何かしらを子供に押し付けてしまう気がする。

俺という存在が子供にとって、世界を狭くし、独創性を潰し、真実を隠蔽するだけの物体になりかねない。

刑法第四十一条

14歳に満たざるものの行為は之を罰せず。

14歳以下には何もできないという油断、愚かな思い込み、差別、こういったものがこの法律を生み出したのか?

明らかに子供を馬鹿にしている。そもそも人間は大人も子供も一続きの生物に過ぎない。「大人」と「子供」が存在するのは言葉のせいだ。

「裏切り」は日常的に存在する

子供が抱いていた大人へのカッコよさ、友人への憧れ、恋人への期待、そういった大きな裏切りはもちろん、些細な裏切りも日常的に味わい続ける。

「この人ならこう言うだろう、こう反応するだろう」と言う無意識の期待や予想が、それぞれ人にはある。勝手に作り上げた想像にも関わらず、それが違うと裏切られた気持ちになる。

後書き

良い小説というものは、感想を書くのが難しい。いや、「書くべきでない」と言い切ってもいいかもしれない。文字にしてしまうと、言葉に表せないような繊細な気持ちまで失われてしまう気がする。




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