自費出版で本を作り、自分の本屋で売る
一年前にはない夢ができた。
夢ってもっと若い頃に見るもので、年齢を重ねたら諦めなければいけないものだと漠然と感じていた。
若い頃は、毎日生きるのに必死で、自分のやりたいことをやって生きていくなんて甘いとも思っていた。自立して生きていくからには、お金を稼がなくてはいけないし、大した資格も持っていないわたしは会社を辞めるなんてとんでもないと思っていた。仕事は苦しいこともたくさんあったけど、楽しいこともあって、それなりにやりがいを感じていた。でも、本当にやりたいこととは違うとずっと思っていた。ただ、そのやりたいことは何なのか、考えることすらしなかった。最初から諦めていた。
結婚をして、子供を産んでからは、ますます自分のために使うお金も時間もなくなっていった。心を騙して、自分を奮い立たせていなければ、働くことも生きていくことも出来なかった。
うつ病になったのは、仕事を続けて27年が経った頃。それまで全く時間がなかったわたしに、考える隙間ができた。毎日、何が間違えていたんだろう。もう取り返しがつかない。と悲嘆していた。
だが、少しずつ回復していくにつれて、これはチャンスなのかもしれない。と考えるようになった。神様がじっくりこれからの人生を考える時間をくれたのだと。そこからたくさんの本を読んだり、仕事を辞めた友達の話を聞いたりして、心にふつふつと湧いてくるものがあった。
諦めるのではなく、方向転換だ。
これからは自分の身体と相談しながら、なるべく無理なく、嫌なことをしないような生活をしていかざるを得なくなったのだ。
そこで出会ったのがnoteだ。
おそるおそるアウトプットをするうちに、文章を書くのが楽しくて夢中になった。
ただただ書いているうちに、記事が増えていった。
そしてあるエッセイ講座を受けているうちに、自分の書いた文章をまとめてみたい。と思うようになった。そこで、noterさんが文学フリマなどで、本を自費製作をして、売る人が何人かいるのを知った。
わたしも作ってみたい。挑戦してみたい。
でも、そんな夢みたいなこと、この歳で…
と自分の心が否定してくる。馬鹿げていると。
いや、この先もっと歳をとっていくのだ。今やらなくてはきっと後悔する。若い頃きちんと考えなかったツケが今きているのだ。
やるべきだ!
そう考えたらいてもたってもいられなくなった。
そしてZINEを作る講座を申し込んでしまった!
お金も払ってしまったし、もう後戻りは出来ない…
自分に喝をいれて前に進むしかなくなった。
その頃、イベントで訪れた本屋さんで、一棚貸し本屋さんがオーナーを募集しているのを知った。
若い頃から本屋さんに、一度でいいから勤めてみたかったことを思い出した。残念ながら、今は棚がいっぱいで募集をストップしているとのことだが、諦めたくない。棚が空くまでいつまでも待つことにした。
いつかオーナーになったら、自分の本をそこで売る!これが今のわたしのかなえたい夢になった。
夢って何歳からでもみれるんだ。そしてかなえるために頑張ることがこんなに楽しいなんて!
人に言ったら、笑われるかもしれない。
この歳で…夢なんて…と。
でもそんなこと、関係ない。わたしの人生なんだから。あの時こうしたかったという後悔だけはしたくない。やれるだけのことはやっていきたい。
何者になんてなれなくていい。今は夢がかなえばそれでいい。
夢に向けてもうわたしの中のプロジェクトは始動している。なんてワクワクするのだろう。楽しみしかない。
今、人生で何回目かの青春が始まろうとしている。