ホタテにセロリのみじん切り熱々ごま油 甘美な香りのモスカート・ダスティ
夏、秋は人気シーズンでなかなか押さえられなかったが、気温が下がった最近はバーベキューの予約が取りやすい。
寒空の下、震えながら火おこしを急ぎ暖を取りつつまずは前菜に箸をつける。生のホタテにみじん切にしたセロリを載せ、鍋で熱々にしたごま油を回しかけたものだ。
ワインはイタリア北部ピエモンテ州の微発泡のものと、同じく北部ヴァレ・ダオスタ州の赤ワイン(これは肉に合わせる用)、予備にスペインのカスティーリャ・イ・レオン州のルエダ地区の白ワインを持ち込んだ。微発泡から開ける。
ラ・スピネッタ, ブリッコ・クワリア, モスカート・ダスティ, 4.5%, 2,242円,
La Spinetta, Bricco Quaglia, Moscato D’Asti, DOCG, Italy
ピエモンテ州のブリッコ・クワリアと言う名前の単一畑のモスカート品種から造られるやや甘口のワイン。80年代後半からリリースされ、ラ・スピネッタの名声を世界に知らしめたワイン。ビール程度の軽快なアルコール度数がカジュアルなバーベキューにぴったり。
グラスに注ぐとたちまちにぎやかに泡立つ。やや濃いめの色調。
香りには花梨や杏子、梅酒のやや甘やかな果実香、菩提樹や香木、黄色い花のフラワリーなフレーバー、シナモンやカルダモンのスパイスのタッチ、様々な要素が複雑に絡み合う芳香。まるで香水のよう、いつまでもかいでいたい。
心地よい泡の刺激、ジューシーでアプローチャブル、そして甘美な果実味、穏やかながら的確に折り込まれた酸味、柔らかい残糖もあり果実味の幸せがたっぷりと伝わるワイン。
ホタテとセロリの前菜に。セロリの爽やかな香味とごま油の香ばしさに彩られた弾力のしっかりとしたホタテの料理の風味のボリュームに、ワインのやや強めの果実味がバランス。相性: ★★★★☆
続いて牡蠣のアヒージョを用意する。ガーリックを少々、適当に切ったブロッコリー、きのこを鉄鍋に並べ、その上に牡蠣を敷く。オリーブオイルをドボドボと投入して焼き台に。食感を守るため牡蠣に火を通しすぎないように気を付けつつ、タイミングを見計らって火から引き上げる。
プリプリの牡蠣にきのこの落ち着いた素朴な香りが心地よい。オリーブオイルで煮詰められて凝縮した下記の旨味に、ラ・スピネッタのワインの力強いフレーバーと果実味がバランス。甘美な伴う果実味が牡蠣のほろ苦さに反発しないか心配したが、ガーリックのスパイシーな香りも手伝い料理とワインがしっかり繋がった。入れ忘れてしまったが唐辛子を入れると、さらに繋がりが良くなりそう。相性: ★★★☆☆
炭を少量つぎ足しつつ火力はすっかり安定。続いて網に北海道産ホッケを載せる。炭に滴り落ちていく脂に食欲がそそられる。
焼き上がりが冷めないうちに身をほぐして口に運びつつ、引き続きラ・スピネッタのワインに。炭火のスモークを伴うホッケの淡白な風味とリッチな脂に、ワインの泡の刺激と力のある果実味が調和。料理にガーリックやスパイス、香草を効かせるとこのワインとの相性はさらに高まりそう。ワインの複雑な香りが持て余されてしまったか。相性: ★★★☆☆
鶏肉、豚肉、牛肉をひととおり焼き上げて平らげ、子供たち用の焼きいも、焼きリンゴの後に最近使い始めた飯ごうを取り出す。米2合を洗い、めんつゆと生姜で調味し紅鮭を2切れ入れフタをして焼き台に載せる。30分ほど待ってフタを開けると生姜の爽やかな香りに乗った鮭の磯の香りが嗅覚を心地よく刺激する。ここで仕上げに塩を軽く振り、さらにとどめに大きめのバターのかけらを投入する。
ビールと微発泡ワイン、赤ワインが開いてしまい、予備の白ワインに手を付ける。
マルケス・デ・リスカル ブランコ レゼルバ リムザン, ヴェルデホ, DOルエダ スペイン, 2021, 1,451円
Marques de Riscal, Verdejo, Limousin, Spain, 2021
スペイン内陸部のカスティーリャ・レオン州のルエダでヴェルデホ品種を用いて造られる。フランス産アリエ地区のオーク樽を使用して発酵、その後に澱とコンタクトを行う。穏やかな樽の香りと澱から抽出される旨味も味わいのポイント。
香りにはグレープフルーツなどの果実香を穏やかに、柑橘の果皮や干しワラのニュアンス、ややシンプルな印象。
風味には中庸の酸味、果実味でバランスが良い、やはり鼻腔を抜ける干しワラがニュアンスに富む、しばらく時間が経つとマロラクティック発酵のためか、まろやかで乳飲料のような余韻が心地よい、フィニッシュにはきっちりとドライ。
飯ごう炊きの鮭ご飯に。ワインのニュアンスに富む干しワラのタッチ、中庸の果実味、酸味が鮭の脂に心地よく寄り添う。バターで底上げされた鮭の脂のコクが、ワインの余韻のまったりとしたタッチに調和。まずまずの組み合わせだが、樽の効いたシャルドネといった明確でわかりやすい個性を持ったものによりよく合いそう。相性: ★★★☆☆
バーベキューでいろいろと焼いたが、一番印象に残った相性は、前菜のホタテとセロリの前菜に、スピネッタの複雑で甘美な香りが素晴らしい調和だった。
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