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ソース味たこ焼き 日本のあわ

3ヶ月に1度ほど、子供のリクエストでホットプレートをたこ焼きプレートにして、大量のたこ焼きを作る。たこ焼きを食べるとお酒が進み(ワインの前にビールからスタート)、そして食欲が増し、いつも後悔するほどに食べ過ぎてしまう。満腹でもついもう一つと食べてしまうほど、たこ焼きが魅力をもっている証拠だ(飲み過ぎたアルコールで満腹中枢がおかしくなっているのもある笑)。
 
過去にはソースのたこ焼きに、信州のコンコード品種がすばらしい相性をみせてくれた。塩だれのものには南アのコクのあるシュナン・ブラン品種がなかなかの相性だった。

今回のネタにはたこと、子供が好きな刻んだウィンナーを使う。たこ焼きの材料を買いに行ったOKストアで、メルシャンの日本のあわという名前のワインを見つける。日本のローカル品種甲州と国際品種のシャルドネがブレンドされたスパークリングワインで2,000円ほど。手間とコストのかかる瓶内二次発酵(一次発酵してできたワインを瓶に詰めた状態で二次発酵させて泡を閉じ込める)ではなくシャルマ方式(タンクでまとめて一次発酵してできたワインを二次発酵させて泡をワインに閉じ込める)だろう。
それにしてもOKストアのワインセレクションはなかなか面白い。ビギナー向けの1,000円以下のワインも充実しているし、ほぼ毎日ワインを飲む私のような客が手に取りたくなるようなものも所々に陳列されている。コンビニのワインコーナーとは大いに異なる刺激がある。

大人用のたこ焼きは生姜を多めに。

ワインに合わせていく。
シャトー・メルシャン, 日本のあわ, Brut,11%, 1,979円(OKストア)

甲州、シャルドネ品種。ブドウは山梨県、長野県、福島県で栽培されたもの。適材適地のブドウのブレンドもまた日本ワインの自由な表現だ。ステンレスタンクおよびオーク樽にて18~20度で約14日間発酵。
香りには和柑橘、和梨、微かにグレープフルーツ、酸の強いりんご、ほのかに青いトマトのニュアンス。
風味にはみずみずしい果実味、泡の刺激はかなり強め、酸味がキリッと効いて、中盤からほろ苦さがゆるやかに広がる。シャルドネの果実味に緩和されつつもフィニッシュにはやはり甲州らしいほろ苦いグリップも。
たこ焼きの前に先日作って残っていたブリ大根に合わせる。

ブリの脂におしとやかな甲州の果実味が寄り添いつつ泡の刺激が甘辛の煮つけをリフレッシュしてくれそうになるが、甲州の若々しい青いトマトのような香りがブリに反発してしまう。★二つと三つの間か。相性: ★★★☆☆
続いてたこ焼きに。甘辛のソース、粉もんのふかふかした触感に泡の刺激が心地よい。中から出てきたタコを噛んでいると広がる風味にも甲州の穏やかな果実味はしっかりと寄り添う。相性: ★★★☆☆
 
続いて、セラーに残っていたボジョレー・ヌーボーにもたこ焼きを合わせてみる。
ルー・デュモン, ボージョレ・ヌーヴォー・ヴィエイユ・ヴィーニュ・ドゥ・プリュトス・ドゥ・ソワサント・ディザン, 2022, 4,070円
Lou Dumont, Beaujolais Nouveau, France, 2022, 12.5%

ブルゴーニュのジュヴレ・シャンベルタン村にワイナリーを構える日本人醸造家、仲田晃司さんが手掛けるワイン。ヴィエイユ・ヴィーニュは樹齢の高いぶどうの木を意味し、20年超は経過しているはずだ。
色合いはヌーボーとは思えない、古木の力強さを感じる濃い色調、エッジは鮮やかな明るい紫。
香りにはスミレのフラワリーなフレーバーな豊か、フレッシュで力強さのあるブドウはたっぷりとした抽出。
風味には抽出たっぷりでブドウの旨味が力強い、ガメイ品種にも関わらずしっとりと舌が乾くようにタンニンを強く感じる、中庸ながらメリハリのある酸味、充実の風味の素晴らしいヌーボー。
たこ焼きに。ワインの果実味とタンニンが濃厚でワイン単独で飲んだときの口内の完成度が高く、たこ焼きには渋味がやや強いか。さすがの古木のブドウのパワー。それでもガメイ品種のチャーミングな面影はしっかりと存在し、甘辛ソースに繋がってくれる。相性: ★★★☆☆
 
もう一種類のボジョレー・ヌーボーに。こちらは今年飲んだ10種類ほどのボジョレー・ヌーボーの中でも特に好みのもので、タイユヴァンがセレクトしたもの。タイユヴァンは1946年にフランス・パリの9区で創業した歴史あるレストランで、1973年から30年以上にも渡り3つ星を守り続けてきた名実ともにフランス最高峰のレストランのひとつ。そんなおフランスの高級レストランがセレクトしたヌーボーを、なにわのB級グルメに合わせる背徳感もスパイスに。
 
タイユヴァン ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォー ヴィエイユ・ヴィーニュ, 4,950円
Les Caves Taillevent, Beaujolais-Villages Nouveau, Vieilles Vignes, France, 2022, 13%

フランス最高峰のレストランのひとつタイユヴァンが、クオリティを認めた生産者から買い付けてタイユヴァン名でリリースするヌーボー。
香りにコンポートとジャムの香りが一番強い。ジョルジュ・デュブッツのヴィラージュものよりも格段に、微かにスミレ、ラベンダーのフレーバーなニュアンス。
風味には重量感のある果実味、酸味は中庸、余韻にタンニンがしっとりと残る。
たこ焼きに。タンニンは穏やかで古木のブドウの力強さは感じるが重々しさは適度に抑制されていて甘辛のソースに良い相性。相性: ★★★☆☆
 
泡の刺激はB級グルメの特徴の甘辛、粉もんをしっかりとカバーしてくれたが、もう少しワインの果実味が濃い方がバランスしそう。ガメイ品種が使われるボジョレー・ヌーボーとの相性もまずまずだったが、もう少しカジュアルな仕上げのワインの方がたこ焼きには合いそうだ。

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