大会レポート⑥ 交流戦 津久見OB対明桜OB
あの夏を取り戻せ~全国元高校球児野球大会2020-2023~の交流戦1日目、三木総合防災公園野球場での第一試合。津久見高校OB(大分)とノースアジア大明桜高校OB(秋田)の試合が10:00にプレイボールとなりました。
三木総合防災公園野球場は兵庫県中南部の三木市に位置する球場。広さが両翼97.5m、センター122mとなっています。
三木総合防災公園は標高約130mに位置する公園で、災害時には広域防災拠点として機能します。またスポーツ施設も豊富で、野球場だけでなく陸上競技場や球技場、テニスコートなどもあります。野球場は令和6年4月より「サンティドリームスタジアム」という愛称がつけられました。
先攻は一塁側の津久見、昭和42年(1967年)の春の選抜、昭和47年(1972年)の夏の甲子園では全国優勝を果たしており、大分県では春夏通じて唯一の甲子園優勝経験校となっています。そんな古豪の津久見ですが、昭和63年(1988年)の夏を最後に甲子園からは遠ざかっており、平成の間は甲子園出場がありませんでした。しかし令和になり、古豪の復活を印象付ける大分県大会優勝を成し遂げました。
後攻は三塁側の明桜、前身の秋田経済大付属高、秋田経済法科大付属高時代も含めて合計16回甲子園に出場しています。2020年の夏はそれまで2年連続で敗れていた鬼門の準決勝を突破し、勢いそのままに全国一番乗りとなる独自大会優勝を成し遂げました。
両チームのスターティングラインナップは以下の通りです。
津久見は4番の岡部優四朗選手、5番の河津翔大選手、6番の渡邉泰宜選手、明桜は1番の中峯幸成選手、3番の平尾蒼凱選手、9番の田中大夏選手と両チームとも夏の県大会の決勝戦のスタメンだった選手が3人づつ名を連ねています。
場内アナウンスで両チームのスターティングラインナップが読み上げられる中、選手たちはベンチの前に整列して試合が始まるのを今か今かと待ち望んでいます。
審判団が現れ、集合の合図がかかりました。それに合わせて駆け出す選手たち。
いよいよ第一試合の幕が上がります。
まっさらなマウンドに上がったのは明桜の先発、サウスポーの野島陸投手。野島投手は大阪柏原ボーイズの出身。中学時代もチームメイトだった9番ライトの田中大夏選手と共に秋田へと渡り、明桜高校の門を叩きました。
その野島投手の1回のピッチング、バックの堅い守りもあり、津久見の上位打線をわずか6球で三者凡退に抑えました。上々の立ち上がりとなりました。
対する津久見の先発マウンドには、背番号16の首藤慎之介投手が上がりました。
明桜の先頭打者はショートを守る中峯幸成選手。独自大会では主に9番を打ち.538の高打率を残し、下位から上位打線へのチャンスメークに貢献しました。
そんな中峯選手はカウント1-1からの高めのストレートを捉えてライト前へ。独自大会同様に出塁してチームを勢いづけます。
出塁した中峯選手は相手のバッテリーエラーと進塁打で一気に三塁へ。一死三塁と明桜が初回から先制のチャンスを作ります。
ここで打席には3番の平尾蒼凱選手。平尾選手は高校卒業後、四国アイランドリーグplusの徳島インディゴソックスに入団し、2023年シーズンまでプレーしました。
四国の地で磨かれた平尾選手の打撃力が発揮されます。カウント3-1からの5球目を振り抜きセンター前へ。先制点は明桜に入りました。
なおも明桜の攻撃は続き、ヒットと死球で二死満塁と追加点のチャンスを作ります。
7番の森元彪向選手の打球は三遊間を破るヒットに。三塁ランナーが生還し、明桜が追加点を挙げました。
ここで津久見は投手交代。先発の首藤投手に代わって、斉藤健祐投手がマウンドへと上がりました。斉藤投手は独自大会では応援団長として、スタンドから選手を鼓舞し続けていました。
満塁のピンチという難しい場面での登板となりましたが、球の出所が見えにくいフォームからの緩急を活かしたピッチングでこのピンチを切り抜けました。
続く2回は野島投手、斉藤投手が好投を続けて互いに三者凡退。0-2で明桜がリードしたまま3回を迎えます。
3回表、野島投手はこの回も津久見打線を三者凡退に抑え、ここまで1人も塁に出さないパーフェクトピッチングを継続しています。
そんな野島投手に追加点をあげたい明桜打線はその裏、この回から登板した柳生翔眞投手相手に無死二三塁とチャンスを作ります。
ここで迎えた5番の山本楓斗選手の打球はサードへの痛烈な当たりとなります。しかしこの回からサードの守備に就いた清家綺斗選手は身体でボールを前に止めます。その後の処理も冷静で、本塁への送球でスタートしていた三塁ランナーをアウトに仕留めました。
一死一三塁となり打席には奥野陸希選手。両打の奥野選手は第一打席では左打席に入りましたが、この回は右打席に入りました。
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カウント2-1の4球目、一塁ランナーがスタートをきり、大きく空いた三遊間を破るヒットとなりました。脚も絡めた攻撃で、明桜が追加点を奪います。
更に点差を広げたい明桜打線でしたが、スリークォーターとアンダースローの投球フォームを使い分ける柳生投手の変幻自在の投球術に封じ込められ、更なる追加点とはなりませんでした。
4回表、二死で打席に立つのは前の回からマウンドに上がった柳生投手。当時は副主将を務めており、独自大会の決勝戦では同点の8回に決勝点となるタイムリーヒットを放ちました。
外角の球を逆らわずに流した当たりは右中間へ。津久見のチーム初ヒットが生まれました。
しかし後続が倒れ、得点には至りませんでした。
その後は両チーム無得点で迎えた5回裏、津久見は5番手としてエースナンバー1番を背負った安部誠也投手がマウンドに上がりました。独自大会の決勝戦では、1点リードの9回にクローザーとして登板し、胴上げ投手となりました。
↓安部投手のインタビューはこちらから!
その安部投手を相手に、明桜は3番平尾選手、4番小野航太郎選手、5番山本選手のクリーンナップが3人連続でレフトへのツーベースヒットを放ち、一気に2点を獲得します。
なおも一死三塁のチャンスを作り、7番森元選手の犠牲フライでこの回3点目。0-6と点差を更に広げます。
更に明桜は6回にも2点を加え、8点差で7回表の津久見の攻撃へと移ります。
津久見は一死から大嶋陸選手のライト線へのツーベースヒットでチャンスを作ります。続く打者がレフトフライに倒れるも、篠田響選手が死球で出塁し、一二塁とします。
このチャンスで打席には先発投手だった首藤慎之介選手。本大会では一度退いた選手が再出場できるリエントリー制を採用しているため、代打で再登場という形になりました。
その首藤選手の打球は三塁線を破り長打に。二塁ランナーが生還し、更に一塁ランナーもホームイン。津久見のチーム初得点が生まれました。
続く安部誠也選手もライト前ヒットを放ち、二塁ランナーの首藤選手が一気にホームイン。相手守備が打球の処理をもたつく間に打った安部選手は三塁まで進みました。投手陣のタイムリー2本で一気に3点を獲得しました。
更に清家選手のセカンドへの内野安打でもう1点獲得します。
しかし津久見の反撃もここまで。その裏の明桜の攻撃の途中で制限時間となり試合終了。4-8で明桜の勝利となりました。
14安打8得点と明桜の強力打線が火を噴く試合となりましたが、津久見もタイプの違う5人の投手の継投や、最終回に4点を返す意地を見せるなど、両チームの長所が見られた試合でした。
また、明桜はこの試合で途中出場した選手も含め、野手全員が安打を記録しました。
両チームの選手成績は以下の通りです。
※リエントリー制により交代が複雑なため、誤りがある場合がございます
文:二瓶祐綺
写真:あの夏を取り戻せ実行委員会
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