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【特集】あの夏を取り戻し、プロへ挑戦する選手たち

 感動と興奮の『あの夏を取り戻せ~全国元高校球児野球大会2020-2023~』からおよそ11か月。あの夏を取り戻した元高校球児たちがあの夏を超え、更なる高みへと羽ばたこうとしています。
 10月24日に行われる『プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD』あの夏を取り戻せに参加した選手たちの中からも、プロ志望届を提出した選手たちがいます。
 今回はあの夏を取り戻し、プロに挑戦する選手たちを紹介していきます。

小林禅 投手(佐久長聖ー東北福祉大)

 まず紹介するのは東北福祉大の速球派右腕、小林禅投手。
 小林投手は佐久長聖高時代は外野手でしたが、肘の怪我の影響でマネージャーに転向。チームをサポートし、あの夏の独自大会優勝にも貢献しました。
 高校卒業後は仙台六大学リーグの名門、東北福祉大学にマネージャーとして入学しました。転機が訪れたのは大学二年の秋、遊びで投げたボールが151キロを計測。このことがきっかけで、マネージャーから投手に転向することとなりました。
 その後は紅白戦やオープン戦で150キロを計測するなどしましたが、公式戦での登板はなかったため知る人ぞ知る選手という存在でした。
 そんな彼が全国にその名を知らしめたのが『あの夏を取り戻せ』でした。甲子園で行われた特別試合では佐久長聖OBの先発投手として登板。すると最高気温14℃の寒空の下、初球からいきなり149キロを計測。さらにこの日最速となる152キロを計測し、観客席からはどよめきが起こりました。その後も速球と変化球を駆使し、1回を無失点に抑えるピッチングを披露しました。注目の集まる甲子園のマウンドで152キロを計測したことで、小林投手の存在を多くの人が知ることとなりました。
 現在は最高球速が157キロまでアップしたという小林投手。リーグ戦での登板はないものの、他大学や社会人チームとのオープン戦で好投したという情報や映像が数多くアップされています。
 あの夏はマネージャーだった右腕がプロに指名されるのか注目です。

小林 禅(こばやし ぜん)
188cm 79kg 右投右打

【あの夏を取り戻せでの成績】
 11/29 対松山聖稜OB 1回 被安打0 奪三振0 四死球1 自責点0
 12/01 対関大北陽OB 1回 被安打3 奪三振0 四死球0 自責点2

甲子園のマウンドで躍動する小林禅投手

加田拓哉 外野手(帝京ー桐蔭横浜大)

 続いて紹介するのは、東東京の名門、帝京高校のキャプテンを務めていた加田拓哉選手。
 帝京高校入学後は1年の夏からベンチ入り。2020年の独自大会では主に四番を務め、攻守でチームを引っ張りました。
 あの夏を取り戻せでは、富山県の高岡第一OBとの一戦で四番センターでスタメン出場。初回、二死二塁のチャンスで第一打席が回ってきて、チャンスを拡大させる内野安打を放ち、その後のタイムリーで生還しました。3回のピンチでは、センターからの好返球で二塁ランナーの生還を阻止。攻守にわたる活躍を披露しました。
 桐蔭横浜大でも3年春からリーグ戦に出場し、打線の主軸として活躍。2024年の秋季リーグでは計6本のホームランを放ち、10月7日の横浜国立大戦では1試合3本のホームランを放つ大活躍となりました。
 昨年の佐々木俊輔選手(巨人)に続き、2年連続で帝京高出身のプロ野球選手が誕生するかに注目です。

加田 拓哉(かだ たくや)
175cm 83kg 右投右打

【あの夏を取り戻せでの成績】
 11/30 対高岡第一OB 2打数 1安打 0打点

甲子園でノックを受ける加田拓哉選手

井上幹太 外野手(神村学園ー金沢学院大)

 大学日本代表候補合宿にも召集された井上幹太選手。
 神村学園では1年秋から中軸の5番を任せられるなど、高校時代から強打の外野手として活躍しました。あの夏の独自大会でも、4番打者として打率4割を超える活躍でした。
 その後、8月に甲子園で行われたプロ志望高校生合同練習会に参加。スカウトから木製バットへの対応を評価されたものの、残念ながらその年のドラフトでは指名漏れとなってしまいました。
 金沢学院大に進学後はリーグ戦が中止となった21年春を除く全7シーズン中、6シーズンで打率3割以上を記録。リーグ通算安打数は100本を超え、22年秋にはMVPにも輝きました。
 昨年のあの夏を取り戻せでは、聖光学院OBとの一戦で3番レフトでスタメン出場。4点を追う4回に反撃の狼煙となる2ランホームランを放ちました。打った瞬間にホームランとなる打球で、その飛距離はまさに規格外でした。
 指名漏れを経験したスラッガーが大学で更なる成長を遂げ、今年こそ指名となるか期待です。

井上 幹太(いのうえ かんた)
185cm 96kg 右投左打

【あの夏を取り戻せでの成績】
 11/30 対聖光学院OB 2打数 1安打 1本塁打 2打点 1四球

聖光学院OB戦でホームランを放った井上幹太選手

岸田明翔 捕手(松山聖稜ー中京大)

 中京大学の代打の切り札である岸田明翔選手。
 高校時代は1年夏から試合に出場。2年春の選抜にも5番キャッチャーでスタメン出場し、2安打を放ちました。新チームになってからはキャプテンに就任しました。あの夏の独自大会決勝では5打数4安打と打線を引っ張る活躍でした。
 昨年のあの夏を取り戻せでは出場機会こそなかったものの、当時のキャプテンとして円陣でチームメイトを鼓舞する岸田選手の姿がそこにはありました。
 あの夏を取り戻してからも活躍は続きます。今年行われた大学野球選手権大会では、青山学院大戦で代打として出場。同点の5回に勝ち越しとなるタイムリーヒットを放ち、勝負強さを発揮しました。更に秋季リーグ戦では大学1号となるホームランを放つなど、4年生になってからも更なる飛躍を遂げており、指名されるかに注目です。

岸田 明翔(きしだ あきと)
175cm 94kg 右投右打

【あの夏を取り戻せでの成績】
 11/29 対佐久長聖OB 出場なし

記念セレモニーでチームメイトと共に行進する岸田明翔選手(前列右)

大澤直弥 外野手(桐生第一ー仙台大)

 仙台大の強打の外野手、大澤直弥選手。
 中学時代は僅か20人の狭き門を突破し、東北楽天リトルシニアの一期生として入団しました。全国の舞台も経験し、高校は桐生第一に入学。あの夏の独自大会ではクリーンナップを務めた試合もありました。甲子園交流試合には代打で出場し、甲子園球場の打席に立ちました。
 あの夏を取り戻せでは4番レフトでスタメン出場。初回に先制となるタイムリーヒット放ち、4番としての仕事を果たしました。また登録は外野手ですが、ファーストとサードの守備も華麗にこなしました。
 大学での出番は少ないものの、これからに期待がかかる選手です。

大澤 直弥(おおさわ なおや)
175cm 80kg 右投右打

【あの夏を取り戻せでの成績】
 11/30 対大垣日大OB 2打数 1安打 1打点 1四球

仲間とハイタッチを交わす大澤直弥選手

福士信晃 内野手(桐生第一ー順天堂大)

 高校と大学でともに主将を務めた福士信晃選手。
 高校時代は広瀬智也選手と共にW主将に就任し、春の選抜出場、さらに12年ぶりとなる夏の県大会優勝と、チームを引っ張りました。甲子園交流試合でも代打として出場、2点を追う最終回に出塁しチャンスを拡大しました。
 あの夏を取り戻せでは大垣日大OBと対戦。ショートのスタメンだった福士選手は、プレーボール直後のセンターへと抜けそうな打球をキャッチするというファインプレーを見せました。また、打撃も2本のツーベースヒットを含む3安打の猛打賞。攻守で持ち味を発揮しました。
 順天堂大学でも主将に就任した福士選手。今年春のリーグ戦では全試合でクリーンナップとしてスタメン出場。大学1号となるホームランを放ったほか、リーグ6位となる打率.326を記録し、東都3部優勝に貢献しました。
 キャプテンシー溢れる福士選手が指名されるか注目です。

福士 信晃(ふくし のぶあき)
177cm 78kg 右投右打

【あの夏を取り戻せでの成績】
 11/30 対大垣日大OB 3打数 3安打 1打点

ツーベースヒットを放ちベンチに笑顔を見せる福士信晃選手(左)

中溝治尋 外野手(龍谷ー日本文理大)

 速球にも負けない鋭いスイングを見せる中溝治尋選手。
 龍谷高校時代は内野手として活躍。あの夏の独自大会決勝では3番セカンドでスタメン出場し、マルチ安打の活躍でした。
 日本文理大に進学後、外野手に転向。昨年のあの夏を取り戻せ直前の明治神宮大会では、その年のドラフトで西武ライオンズから2位指名を受けていた大阪商業大の上田大河投手から2点タイムリースリーベースを放ちました。更にその次の打席ではセーフティーバントを決めるなど、器用さも見せつけました。
 明治神宮大会での勢いそのままに乗り込んだあの夏を取り戻せでも、八重山OB相手に躍動します。1点を追う3回に逆転となるタイムリーツーベースヒットを放ち、チームの勝利に貢献しました。
 九州の巧打者が指名されるかに注目です。

中溝 治尋(なかみぞ なおひろ)
170cm 70kg 右投左打

【あの夏を取り戻せでの成績】
 11/30 対八重山OB 3打数 1安打 2打点

甲子園でノックを受ける中溝治尋選手

哘崎新 投手(青森山田ー青森大)

 最後に紹介するのは青森大学の最速150キロ右腕、哘崎新投手。
 中学、高校とともに青森山田でキャプテンを務めた哘崎投手。今でこそ150キロ右腕として注目される彼ですが、高校時代は怪我の影響などもあり野手としての出場が多かったです。キャプテンとしてチームを引っ張り、あの夏の独自大会で優勝したことが評価され、日本学生野球協会の表彰選手にも選ばれました。
 高校野球を終えた哘崎投手は青森大学に進学し硬式野球部に入部します。しかし入部直後の4月に退部という決断を下しました。その後およそ2年間、東京の野球塾などで実力を磨きました。そして青森に戻った大学3年の春、周囲の人の計らいもあり青森大学の野球部に再入部することとなりました。
 大学3年秋のあの夏を取り戻せでは宮崎日大OBとの一戦で先発投手として登板。東京でのトレーニングのお陰で140キロ台後半まで球速が伸びたストレートを軸に、1イニングを無失点に抑えました。
 その後、大学4年の春に公式戦デビュー。更に秋のリーグ戦では大台となる150キロをマークしました。
 異色の経歴を持つ右腕が指名されるか注目です。

哘崎 新(さそざき しん)
182cm 80kg 右投右打

【あの夏を取り戻せでの成績】
 投手成績
  11/30 対宮崎日大OB 1回 被安打0 奪三振1 四死球1 自責点0
 野手成績
  11/30 対宮崎日大OB 1打数 0安打

青森山田OBの先頭打者として打席に立つ哘崎新投手


 ここまであの夏を取り戻せに出場したドラフト候補たち8名を紹介してきましたが、この8名だけでなく今年の大学4年生たちは皆、高校3年時に甲子園中止を経験している選手たちです。
 甲子園中止という経験を乗り越え、大学野球の舞台でレベルアップした選手たち。1人でも多くの選手に吉報が届くことを祈っています。

文:二瓶祐綺
写真:あの夏を取り戻せ実行委員会

 ドラフト候補たちの活躍の模様は11月28日までスカパー!の配信にて見ることができます。ぜひご覧ください。


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