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大会レポート⑪ 交流戦 聖光学院OB対神村学園OB
土浦湖北高校OBとクラーク記念国際高校OBの一戦が終わったウインク球場では、第二試合の聖光学院高校OB(福島)と神村学園高等部OB(鹿児島)の一戦が始まろうとしています。
先攻は三塁側の聖光学院、2007年から2019年まで夏の福島県大会13連覇を誇る福島県の名門。2020年の独自大会もノーシードからの優勝を果たし、14連覇を成し遂げました。さらに特別に開催された東北地方6県の優勝校による東北大会でも優勝。
県大会と東北大会で、東北地方から春の選抜に出場予定だった磐城高校、と鶴岡東高校、仙台育英学園高校の3校全てに勝利し、2020年の東北No.1に輝きました。
後攻は一塁側の神村学園、春夏合わせて13回の甲子園出場を誇る鹿児島の強豪。2020年の独自大会では、全6試合中4試合がコールド勝ちと強打が魅力です。
2023年の夏の甲子園では、夏の最高成績となるベスト4という成績でしたが、小田大介監督曰く「本当なら2020年の3年生が先にベスト4を目指せる力があった」とのことです。
両チームのスターティングラインナップは以下の通りです。
両チームとも2020年の独自大会で4番を務めた選手がこの試合でも中軸を打ちます。聖光学院は畠中子龍選手が当時と同じく4番、神村学園は井上幹太選手が当時から打順を1つ上げ3番を務めます。
またこの試合では聖光学院の斎藤智也監督と横山博英部長、神村学園の小田監督もベンチ入り。高校時代の監督の采配のもとでの3年ぶりの試合となります。
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神村学園の先発マウンドを託されたのは甫立大地投手。
投球練習から球威のあるボールを投げている甫立投手ですが、大会に向けて寄せられたコメントではホームラン宣言をするなど、投打での活躍が期待されます。
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聖光学院の先頭打者は藤原楓凡選手。真ん中付近に入ってきた甘い球を振り抜くと、高く上がった打球はセンターの頭を越え、藤原選手は快足を飛ばして一気に三塁まで進みます。
初回ノーアウトからいきなり聖光学院に先制のチャンスが訪れました。
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続く2番の佐藤銀時選手。佐藤選手の打球も高く上がり、レフトの定位置へのフライに。犠牲フライには十分な距離で、三塁ランナーの藤原選手がタッチアップしてホームイン。
初回、僅か7球で聖光学院が先制します。
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更に聖光学院は3番、4番と選球眼を活かし二者連続の四球で出塁します。
ピンチを背負った甫立投手でしたが、ストライクゾーンにボールを集め、二者連続で打ち取りこのピンチを切り抜けます。初回1点は失ったものの、追加点は与えませんでした。
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1回裏、聖光学院の先発は渡嘉敷乾投手。196cmの長身を活かしたピッチングに注目です。
こちらの渡嘉敷投手、高校時代は2年生の時点で球速を最速136キロまで伸ばすなど、本格派の右腕。独自大会でも準決勝で先発のマウンドを任せられた渡嘉敷投手が、この試合でも先発のマウンドを任せられました。
その期待に応えるかのように渡嘉敷投手は初回から2奪三振。三者凡退のピッチングで初回を無失点に抑えます。
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2回表の聖光学院の攻撃は、先頭の齋藤智樹選手はサードゴロで相手の悪送球の間に二塁まで進塁すると、8番の吉田晃大選手が右方向へのバッティングで進塁打を放ちます。初回に続いてランナーを三塁に置き、追加点のチャンスとなります。
しかし9番渡嘉敷投手が打ち取られ、先ほどの回にスリーベースヒットを放った藤原選手の打球は三塁ベンチ前へのフライに。この打球を神村学園のサード井上泰伸選手が懸命に追いかけキャッチ。自らの悪送球で背負ったピンチでしたが、そのミスを取り返すプレーでピンチを切り抜けました。
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2回裏、神村学園は一死から5番那根碧選手が死球で出塁。神村学園はこの試合初めてのランナーが出塁します。
続く打者の打球はセカンドへ。聖光学院のセカンド鈴木遥介選手とショート増子英希選手の流れるような送球でダブルプレーに。初めてランナーを背負った大事な場面で、二遊間の連係プレーが光ります。
セカンドの鈴木遥介選手は高校時代は選手とマネージャーを兼任。独自大会では記録員としてベンチ入りするなど、様々な面でチームを支えました。
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3回表、初回以降は無失点ピッチングが続いている甫立投手を、バックが盛り立てます。
まずはランナーを一塁に置いた場面で、この回からマスクを被った山口想渉選手が一塁への鋭い牽制球でアウトを狙います。惜しくもアウトとはならなかったものの、簡単に走らせまいとランナーにプレッシャーを与えます。
さらにファーストの那根選手は、ファースト後方に上がったファールフライを追いかけ、後ろ向きになりながらキャッチする好プレー。
1つ1つのプレーが起こるたびに神村学園の選手たちは大きく盛り上がります。
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3回裏、神村学園は二死から9番内田涼平選手が死球で出塁すると、スチールを仕掛けます。しかしここはキャッチャーの川島浩輝選手の好送球に阻まれアウト。聖光学院のバックもピッチャーを盛り立てます。
この回で降板した渡嘉敷投手は死球2つを許したものの、3回をノーヒット。毎回奪三振の好投を披露しました。
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4回表、神村学園は2番手の仲里翔晴投手がマウンドへ上がります。
仲里投手は沖縄県出身。甲子園を目指して地元を離れ、神村学園の門を叩きました。独自大会の決勝でも4番手として登板。反撃を許さないピッチングで優勝に貢献しました。
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1回表以降は両チーム無得点と、1-0のまま膠着状態に入りかけていた試合が大きく動きます。
この回先頭の鈴木遥介選手が四球を選ぶと、齋藤智樹選手はセーフティーバントを仕掛け間一髪セーフ。聖光学院にチャンスが訪れます。
この場面で打席の吉田選手に送られたサインは送りバント。ベンチの斎藤智也監督も現役時代さながらの采配で、全力で勝利を目指します。そのサインに応えた吉田選手は三塁線への絶妙なバントを決め、自らも出塁。
二者連続となるバントヒットで満塁とします。
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一死となり打順は1番に戻り藤原選手の打席を迎えます。
追い込まれてからの5球目のストレートを引っ張った当たりは、もう少しでホームランとなるフェンス直撃のタイムリーツーベースヒットに。3-0と点差を広げ、なおもチャンスが続きます。
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続く佐藤選手は2球目でスクイズの構えを見せます。点差が広がっても、手堅く1点を取りにいく姿勢は崩しません。相手バッテリーを揺さぶった佐藤選手は四球を獲得。再び満塁とします。
満塁で迎えた川島選手の打球はショート後方へのフライに。これを神村学園のショート堤悠貴選手は体勢を崩しながらも捕球します。
これを見逃さなかったのが三塁ランナーの吉田選手。タッチアップのスタートをきって4点目のホームを踏みます。さらに二塁ランナーの藤原選手もホームへの送球の間に三塁へ進塁。聖光学院が現役時代と同様、隙のない走塁で得点を重ねます。
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聖光学院も4回から投手が交代。2番手として髙橋健太投手がマウンドに上がります。
高校2年の秋には7回参考記録ながらもノーヒットノーランを記録した髙橋投手。この試合でも強力神村学園打線をノーヒットに抑えたいところです。
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神村学園は2番の堤選手がライトとセンターの間に落ちるヒットで出塁。神村学園にチーム初ヒットが生まれます。このヒットが反撃の狼煙となるでしょうか。
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ここで3番の井上幹太選手に打順が回ります。
井上幹太選手は高校卒業後、金沢学院大学に進学し1年秋から試合に出場。大学4年間を通して、外野手で3度、指名打者で2度の合計5度のベストナインを獲得している強打者です。
カウント2-0からの3球目。ライトへ引っ張った打球は打った瞬間にホームランと分かる一打。打球はライトスタンドに突き刺さるツーランホームラン。点差を広げられた直後に、その差を縮める非常に大きな一発となりました。
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神村学園の攻撃はまだ止まりません。続く4番の山口選手も高めの球をフルスイング。打球は大きな弧を描きながらレフトスタンドへ吸い込まれていきました。
右へ左への二者連続弾で4点あった点差はたちまち1点差に。神村学園のクリーンナップが火を噴きます。
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3点を失った高橋投手でしたが、三振と外野フライで後続は出塁すら許しません。リードは保ったままこの回を終えました。
5回から神村学園は先ほどホームランを放った山口投手が登板、聖光学院はセンターを守っていた吉田投手が登板します。山口投手は2イニング、吉田投手は1イニングをともに無失点ピッチング。試合は6回裏に突入していきます。
聖光学院は6回裏からエースナンバーの1番をつけた小松優都投手が4番手としてマウンドに上がります。独自大会準決勝では先発した渡嘉敷投手のあとを受けて4回無失点、5奪三振の好リリーフ。当時の自己最速を更新する144キロを記録しました。
仙台大学に進学後は身体が一回り、二回りも大きくなり、球速も150キロを記録したとの情報もあるようです。今日は大学で成長した姿を高校時代のチームメイト、そして恩師の前で見せたいところです。
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11月末の寒空の下という非常に厳しいコンディションではありましたが、小松投手は球場のスピードガンで140キロを計測。勢いのある直球と切れ味抜群の変化球で二者連続で三振を奪います。
ここから前の打席でホームランを打っている3,4番との対戦に入っていきます。
まずは3番の井上幹太選手。金沢のスラッガーと最速150キロ右腕による注目の対決です。直球勝負で追い込んでいく小松投手に対し、井上幹太選手もフルスイングで応えます。フルカウントまでもつれた対決、最後は高めに外れてフォアボールとなりました。
ホームランが出れば逆転という場面で4番の山口選手に打席が回ります。山口選手は低めのストレートを捉えるも、ショート正面へのゴロ。この対決は小松投手に軍配が上がりました。
実は小松投手と山口選手、2025年からは新たに発足したマルハン北日本カンパニー硬式野球部でチームメイトとなります。あの夏を取り戻した仲間と同じチームに、2人のこれからの活躍にも注目です。
試合は7回に突入。聖光学院はこの回から登板した内原翼投手を相手にランナーを1人出すと、二死で小松投手に打席が回ります。小松投手は上手く流すと、打球は左中間を破るツーベースヒットに。この当たりで一塁ランナーの増子選手が一気にホームへ。相手キャッチャーのタッチをかえくぐり、追加点をもたらします。
小松投手は前述の独自大会準決勝では2安打2打点で「打撃は好き」と語っていた小松投手。大学ではDH制のため、久々の打席でのヒットが貴重な追加点のタイムリーとなりました。
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7回裏、時間の都合上最終回となるこの回、先程自らのバットで自身を援護する打点をあげた小松投手が、最終回のマウンドにも引き続き上がります。2点のリードを守ったまま試合を締めくくり、チームに勝利をもたらしたいところです。
先頭の代打仲里選手から空振り三振を奪うと、続く井上泰伸選手はセンターフライ。最後は途中出場の有川輝選手から空振り三振を奪って試合終了。
5-3で聖光学院の勝利となりました。
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聖光学院は斎藤智也監督のもと、4投手による手堅い継投、バントや脚を絡めた攻撃で着実に得点を重ねる当時の聖光学院の野球が発揮されました。登板した4投手はいずれも奪三振が2つ以上、毎回奪三振で合計12奪三振の奪三振ショーでした。
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一方の神村学園も二者連続ホームランが飛び出すなど、当時の打線の力強さを思い起こさせるような試合でした。また1つ1つのプレーに大きな盛り上がりが起こり、選手たちの仲の良さも感じられました。
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両チームの選手成績は以下の通りです。
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文:二瓶祐綺
写真:あの夏を取り戻せ実行委員会
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