大会レポート⑨ 交流戦 佐野日大OB対三田松聖OB
帝京高校OBと高岡第一高校OBの一戦が終わった高砂市野球場では、第二試合の佐野日大高校OB(栃木)と三田松聖高校OB(兵庫)の一戦が始まろうとしています。
先攻は一塁側の佐野日大、田嶋大樹投手(現オリックスバファローズ)を擁してのベスト4に進出した平成26年(2014年)の春以来となる甲子園に戻ってきました。
2020年の栃木県の独自大会は決勝戦まで行わず、8つのブロック毎に優勝を決める『交流試合』という形式でした。今回あの夏を取り戻せプロジェクトの開催にあたり、大会への参加をかけて当時同じくブロック優勝だった作新学院、文星芸大付、国学院栃木とのトーナメント戦を選手たち自らの手で行い、優勝した佐野日大が栃木県代表として参加することになりました。
後攻は三塁側の三田松聖、平成16年(2004年)の創部以降、甲子園への出場はありませんでした。前日のシートノック、記念セレモニーで初めて三田松聖のユニフォームを着た選手たちが甲子園の土を踏みました。
兵庫県の独自大会は地区ごとのトーナメントでベスト16を決定し、その16校の対戦でベスト8を決めた段階で打ち切りという形式でした。三田松聖は但丹地区のトーナメントを制しベスト16に進出、勢いそのままに前年の秋の大会で県ベスト4だった長田高校に勝利しベスト8に輝きました。
両チームのスターティングラインナップは以下の通りです。
佐野日大はベンチ入り選手11名、三田松聖はベンチ入り選手9名と、両チームともに限られた人数での総力戦となります。三田松聖は左投げの瀬戸口蓮選手がセカンドを守るなど、試合中も目まぐるしくポジションが入れ代わることが予想されます。
1回表、まずマウンドに上がったのは三田松聖の京田真慶投手。大学では主に野手として活躍している京田投手ですが、この試合では先発としてマウンドへ。投打にわたっての活躍が期待されます。
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先攻の佐野日大は先頭打者の半田陸人選手が一二塁間を破る鮮やかなヒットで出塁します。
一死となって打席には2020年当時のキャプテンである佐藤浩之選手が入ります。2ボール1ストライクから捉えた打球はライトの頭を越えてフェンスに直撃、タイムリーツーベースヒットとなり佐野日大が先制します。
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続く竹歳明弘選手の打球もライトの頭を越えます。打った竹歳選手は快足を飛ばして一気に三塁へ。二者連続となるタイムリーヒットで佐野日大が追加点をあげます。
続く打者が倒れて二死となるものの、佐野日大はそこから一挙4連打。盗塁も絡めた打者一巡の猛攻で、6-0と初回から三田松聖を大きく突き放します。
大量の援護点をもらいマウンドに上がったのは、佐野日大の先発の中山脩投手。中山投手はこの大会の参加をかけてのトーナメント戦で優勝した際、感激のあまり大号泣してしまったと前日の甲子園でのシートノック中に明かされていました。
その中山投手はストレート主体のピッチングで、三田松聖打線を三者凡退に抑えます。
2回表、佐野日大は代わった西村一馬投手から3つの四球で満塁のチャンスを作ります。
ここで三田松聖は吉井俊貴投手にスイッチ。無死満塁の場面での火消しという大役を任せられた吉井投手は、押し出しの四球で1点を失ったものの、初回にいきなり7安打を放った強力佐野日大打線を無安打に抑え、この回を最少失点で切り抜けます。
その裏、佐野日大もピッチャーが交代し、サードで先発出場していた鈴木寛太投手がマウンドに上がります。
その鈴木投手相手に、この回先頭の4番京田選手がレフトへのチーム初ヒットで出塁します。2023年秋の阪神大学野球では2部東リーグの一塁手ベストナインに輝いた京田選手、この試合でもその実力を遺憾なく発揮します。
続く5番出口立弥選手も死球で出塁。得点圏にランナーを進めますが、鈴木投手の前に後続が倒れ、この回無得点に終わります。
3回も続投となった吉井投手は素晴らしいピッチングで佐野日大打線を三者凡退に抑えます。この試合、三田松聖は初めて佐野日大のスコアボードに0を刻みました。
この勢いを裏の攻撃に繋げたいところです。
その裏の攻撃、先頭で打席に立つのは好投を続けている吉井投手。この回から再びマウンドに上がった中山投手相手に、セカンドへの内野安打で出塁。投球だけでなく打撃でもチームを勢いづけます。
その吉井投手の奮闘に応えたのが、当時のキャプテンで1番打者の瀬戸口蓮選手。左中間を破る打球を放ち、タイムリースリーベースヒットとなります。三田松聖は待望のチーム初得点が生まれました。
さらに二死となってから5番出口選手のライト前へのタイムリーヒットでもう1点返します。
三田松聖はこの回2得点で、7-2と点差を縮めます。
2点を失ったことで火がついたのは佐野日大打線。
4回先頭の鈴木選手がスリーベースヒットで出塁すると、途中出場の布施星河選手の犠牲フライなどで3点を追加。10-2となり、縮められた点差をもう一度広げます。
4回裏、三田松聖は先頭の小南優斗選手が出塁すると、9番吉井投手、1番瀬戸口選手のそれぞれこの日2本目となるヒットがタイムリーヒットとなり2点を獲得。
失点した後にすぐさま得点し、10-4と再び点差を縮めます。
5回表、佐野日大は代わった高田悠生投手相手に3本のヒットなどで2点を獲得。最後は三田松聖のキャプテン瀬戸口投手が登板し、打者1人を打ち取ったところで制限時間を迎え、ゲームセット。
最終スコア12-4で佐野日大の勝利となりました。
佐野日大は11安打の二桁安打、そして12得点の二桁得点と、強力打線が力を発揮する試合展開となりました。
三田松聖は3番手で登板した吉井投手が投打で流れを引き寄せ、奮起した野手陣が4得点をあげるなど、ベンチ入り9人での全員野球が光りました。
両チームの選手成績は以下の通りです。
文:二瓶祐綺
写真:あの夏を取り戻せ実行委員会
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