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大会レポート⑫ 交流戦 八重山OB対龍谷OB

 大垣日大高校OBと桐生第一高校OBの一戦が終わった明石トーカロ球場では、第二試合の八重山高校OB(沖縄)と龍谷高校OB(佐賀)の一戦が始まろうとしています。

 先攻は一塁側の八重山、沖縄県の石垣島にある八重山高校は2020年に初めて夏の沖縄県大会優勝を果たしました。前日の甲子園シートノック、そして入場行進ではともに一番手として登場。初めての聖地甲子園で、堂々としたプレー、行進を見せていました。
 後攻は三塁側の龍谷、春1回、夏3回の合計4回の甲子園出場経験があります。春の選抜では2勝しているものの、夏の甲子園ではまだ0勝。2020年の代が夏の甲子園初勝利を掴み取っていたかもしれません。

 両チームのスターティングラインナップは以下の通りです。
 八重山は当時の3年生である選手20人とマネージャーの波照間早希さん、合わせて21人全員がベンチ入り。1番の宮良忠利選手から6番の亀川優選手、9番の花城羅文選手の7名は独自大会決勝と同じ打順、同じポジションでの出場です。
 対する龍谷はベンチ入り12人での戦い。スタメン9人中6人が右打者となっており、左投手2人がベンチに控えている八重山に対してどう戦うのかに注目です。

 龍谷の先発はサウスポーの橋本将投手。セットポジションから投じられるボールはストレート、変化球ともに打者の外角にしっかりと集められています。その制球力を活かしたピッチングで、八重山打線とどのように対峙するか注目です。

龍谷の先発の橋本将投手

 八重山は橋本投手の立ち上がりを攻め、二者連続で出塁。無死一二塁といきなり先制のチャンスを作ります。
 ここで打席には3番の下地寛太郎選手。低めのストレートを捕らえた打球は大きく弾んだゴロに。これにショートの福重友太選手が素晴らしい反応を見せます。ショートバウンドで捕球すると、そのまま流れるように送球。二塁でアウトを奪います。
 その後四球を与え満塁となりますが、またも福重選手がスーパープレーを見せます。5番伊志嶺拓磨選手のライナー性の打球は、前進守備のショートの頭を越えようかという打球でしたが、これを福重選手がジャンピングキャッチ。
 この回は福重選手のチームを救う2つのビックプレーもあり、無失点で終えました。

龍谷のショート 福重友太選手(右)

 八重山の先発マウンドを託されたのは、背番号1をつけた砂川羅杏らいあん投手。独自大会では全試合に登板し、決勝戦では4番手として胴上げ投手に輝きました。
 高校卒業後は共栄大学に進学。高校時代と同じく比嘉久人選手とバッテリーを組み、2024年の全日本大学野球選手権にも出場しました。今日もその比嘉選手とのバッテリーで勝利を目指します。

 一死から打席に立つのは、先ほどの守備でいいプレーを見せた福重選手。1ボールからの2球目をセンター前に運び、チーム初ヒットを放ちます。さらに続く打者の打席で、二塁への盗塁に成功。走攻守三拍子揃ったところをアピールします。
 二塁にランナーを背負った砂川羅杏投手でしたが、3番の中溝治尋選手から高めのストレートで空振りの三振を奪います。
 続く打者は4番の中島旭教選手。中島選手は延長13回タイブレークまでもつれた独自大会決勝、代打で登場し大会初打席で試合に終止符を打つサヨナラタイムリーを放ちました。その中島選手の捉えた当たりはライトへの痛烈なライナー性の打球に。これをライトの下地選手が身体を回転させながらキャッチするファインプレー、ピンチを脱します。
 初回はともに得点圏にランナーを背負った両チームでしたが、バックの堅い守りもありともに無失点で切り抜けました。

八重山の先発の砂川羅杏投手(右)

 初回はともにピンチを背負った両先発でしたが、2回は立ち直ります。橋本投手は八重山の下位打線をわずか5球で三者凡退に打ち取ります。
 対する砂川羅杏投手はノビのあるストレート、鋭く曲がる変化球で2つの空振り三振を奪い、こちらも2回を三者凡退で切り抜けます。

 試合が動いたのは3回でした。八重山は1番からの好打順となるこの回、先頭の宮良選手がピッチャー返しを放ちます。センター前に抜けようかという打球に対し、セカンドの中溝選手がなんとか追いつくものの一塁には投げられず。セカンドへの内野安打となり先頭打者が出塁します。

八重山の1番打者 宮良忠利選手(左)

 2番打者で当時のキャプテンの内間敬太郎選手も続きます。ライト線へ落とすヒットで出塁。さらに一塁ランナーの宮良選手は一気に三塁まで進塁。これで無死一三塁のチャンスとなりました。

↓内間選手のインタビューはこちらから!

 このチャンスで3番下地選手の打球はライトへのやや浅めのフライに。三塁ランナーの宮良選手はタッチアップを狙いますが、龍谷の当時のキャプテンで、ライトの森悠人選手は鋭いバックホームで三塁ランナーを釘付けにします。龍谷も簡単に点は与えません。

↓森選手のインタビューはこちらから!

 続く4番比嘉選手の打球もライトへのフライに。落下地点はライトのほぼ定位置です。今度は三塁ランナーの宮良選手はスタートをきりました。ライトの森選手からは先程同様鋭い送球が帰ってきますが、宮良選手は相手キャッチャーをかえくぐりホームイン。
 待望の先制点は八重山にもたらされました。八重山はこの得点が全国の舞台での初得点となりました。

喜びを分かち合う宮良忠利選手(中央右)と比嘉久人選手(中央左)

 1点のリードを奪った八重山は、その裏からバッテリーが代わります。ライトを守っていた下地投手がマウンドに上がり、キャッチャーに田島旭人選手が入ります。代わった下地投手はテンポよく変化球で2つの空振り三振を奪います。
 打順が1番に戻った龍谷は陣内悠人選手と福重選手の連打で二死からチャンスを作ります。ここで打席には3番の中溝選手を迎えます。日本文理大学に進学した中溝選手はこの大会直前まで明治神宮大会に出場。NPB球団にドラフト指名された投手から複数安打を放つなど、勢いに乗った状態でこの大会にも乗り込んできました。
 初球でした。外角の変化球を上手く流すと、打球はレフト後方のライン際に落ちるヒットに。この当たりで二塁ランナー、更には一塁ランナーの福重選手もホームイン。2点タイムリーツーベースヒットで龍谷が逆転しました。

 1点を追いかける展開となった八重山は4回、3人連続で代打を起用するという怒涛の代打攻勢を仕掛けます。しかし、橋本投手の長身を活かしたピッチングの前に三者凡退に終わってしまいます。
 その裏からは大橋和哉投手が登板。追加点を奪いたい龍谷は一死から6番森選手が四球で出塁すると、エンドランなど脚も絡めた攻撃もありチャンスを拡大し、8番西原海音選手のタイムリーで1点を追加。点差を広げます。

 その後は両チーム無得点のまま迎えた7回、制限時間を考えるとこれが八重山の最後の攻撃となることが予想されます。八重山はベンチ入りの選手全員が出場しましたが、5回からリリーフで登板した幸喜大雅投手は唯一打席に立っていません。この回ランナーを1人出すと幸喜投手に打席が回るということで、選手たちからも「幸喜に打席を回すぞ」といった声が飛んでいました。

 その大事な7回の攻撃。先頭の上地大盛選手が死球で出塁すると、続く東川平亮輔選手はレフト前に落ちるヒットで繋ぎます。産賀磨南斗選手はサードゴロでランナーが入れ替わる形とはなったものの、幸喜投手に打席が回りました。
 その注目の幸喜投手の打席。緩い変化球を振り抜いた打球はライト前へのヒットとなります。この当たりで二塁ランナーの東川平選手が一気にホームを狙いましたが、ライトの中島選手からワンバウンドの好返球でタッチアウト。得点には至りませんでした。

龍谷のライト 中島旭教選手(右)

 最後は上地悠利也選手が空振り三振に倒れ、7回表の攻撃が終わったところで制限時間を迎え試合終了。3-1で龍谷の勝利となりました。

 八重山は独自大会決勝戦と同様に20人のベンチ入り選手全員が出場。さらに20人全員が打席に立ちました。投手陣も4投手の継投で合計10奪三振と、4投手それぞれが持ち味を発揮しました。
 対する龍谷もベンチ入り選手12人全員が出場。得点した3回と4回はいずれも連打で得点しており、打線がしっかりとつながりました。投手陣も再三のピンチを招いたものの、1失点に抑える粘り強さが見られました。

 両チームの選手成績は以下の通りです。

文:二瓶祐綺
写真:あの夏を取り戻せ実行委員会


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